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7. これは世間一般で言う、ヤキモチというやつでしょうか?
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しおりを挟む『何を言う! バカ! 本気にするな!! お前に辞められたら会社が回らなくなるっ。冗談も区別がつかないのかっ』
相変わらず中松さんのスマホからは、怒ったイチ君の声しか聞こえない。
それより、何という恥ずかしい発言。これで一国一城の主なのか!
中松さんを見習え! 仮にも社長だろ!
そう思うと、だんだん腹が立ってきた。
中松さんを何だと思ってんのよ、このポンコツ組長が!
気が付くと中松さんからスマホを引ったくり、イチ君に向かって啖呵(たんか)を切っていた。
「甘えんな、コラ! 男だろっ! しっかりしな! そんな調子でこの先やって行けると思ってんなら、大間違いだよ! 一人でもやればできるってとこ、中松さんにちゃんと見せなよ! 今、中松さんはやっと貰えた休暇中なんだし、執事の仕事はお休み中なの。グリーンバンブーも超忙しいし、もう電話して来ないで。迷惑だから!」
言いたい事だけ言って、ブチ、とそのまま電話を切った。
はっと気が付くと、中松さんが私を見つめていた。
ぎゃをー。
やっちゃったぁあああ――!
言葉遣い悪すぎだって、絶対怒られる――――!!
「美緒」
「はっ、はいっ」
「カッコイイな、お前。見直した」
怒られると思っていたのに、本当に優しい顔を見せてくれて、ポンと頭を撫でてくれた。
「一矢様を叱れるのは、彼を特別扱いしない、美緒や伊織――緑竹家の者しかいない。これからも頼む。あの人はやればできるのに、ちやほやされて育ってきたものだから、それが身に染みて、やってもらって当たり前という癖がなかなか抜けないのが困った所でな。手を焼いていたから、助かるよ。まあ、俺も一矢様が幼い頃からずっと仕えてきたから、ついあれこれと世話を焼き過ぎた。だから、特に俺への甘え癖が抜けないんだ」
「そういうことなら任せておいて。どんどん叱るから。確かにイチ君に意見できるのは、私達家族しかいないかも」
「これからも頼む」
「オーケー」
あれ。これちょっといいカンジじゃない!?
うふふ。親密度一気にあーっぷよね!
私も挫けず頑張ろう。
貴方のハートをずぎゃーんと撃ち落とすその日までは!
応援ありがとうございます!
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