【R18】お前が好きだから、仕方なく付き合ってやる ~笑顔でお断りしましたが、何か?~

さぶれ@6作コミカライズ配信・原作家

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3.社長にキスしたら、何かがおかしくなった模様(全力で否定)

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 その日は朝から社が大変な騒ぎになった。


「アンクレット不良?」


 現在社長室。事の発端は、昨年生産して倉庫に眠らせていた在庫に注文が入り、取引先に出荷しようとした時の事。
 二千足ほどのブーツに付いている、アンクレットに不良があると連絡を受けた。しかも多数。更にブーツにカビが生えているらしい事が発覚したのだ。全て再検品に加え、アンクレットの殆どは修理が必要となってしまった。それを、社長に報告した所。

「アンクレットはともかく、何故ブーツにカビが発生するのだ? 保管状態はどうなっている?」

 社長はさほど驚きもせず、淡々と私に聞いてきた。
 一年間傍に居て感じた事がある。この人――福士成彰社長は、あまり感情を表に出さない。というより、普段は淡々としている。爽やかではあるし、卒なく仕事もこなしていく。何てことがないような、飄々(ひょうひょう)としたそんな感じ。なのに、昨日から知ってしまった。私に対して恐ろしく変態な態度を取り始めた事、生粋のドMである事――

「在庫の保管状態が良くありませんでした」

 社長の性癖について考えていた事を頭の隅に追いやり、こちらも淡々と事実を告げた。

「どういう事だ? 保管と言っても、何時もの倉庫を利用しているのではないのか?」

「はい。箱の中が問題でした。カビの発生は、中にシリカゲルが入っていなかった事が原因だと思われます。昨年度は私がまだ着任する前の生産ラインでしたので、工場を変える前の生産のものだと。以前の工場は、管理がずさんでしたから」

 シリカゲルとは、ケイ酸のゲルを脱水・乾燥させた乾燥剤の事で、大抵の靴箱の中に付いている小さな白や青色の袋に入ったものを指す。この袋中に乾燥剤(シリカゲル)が入っている。これがない状態で倉庫などの高温多湿の所に置いていると、半年から一年足らずで靴にカビが生えてしまうのだ。だから必ずシリカゲルというものを靴箱の中に一緒に入れるか、もしくは靴箱内側上面に貼り付けるか、どちらかの処置をする。まれに袋が破れてしまって、中身が飛び出してしまう事がある。無色透明か青色の小さなビーズみたいな、丸い玉のものがそれだ。

 いい加減な生産工場に依頼すると、シリカゲルが入っていないばかりか、靴を包む袋や紙が入っていない事がある。つまり、箱の中で剥き出しに商品が入っていることがあるのだ。
 街中で千円以下の値段で売られている安いパンプスやスニーカーならまだしも、フクシの販売する商品はオリジナル商品としてブランド化して箱詰めしており、それなりの値段がするものだ。


 しかし海外発注のため、いい加減な箱詰めのものが多少あるのも事実。


 
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