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ある盆のこと
ある盆のこと2
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あれは僕が10歳のときだった。
前日に学校でオメガバース診断を受け、結果待ちをしているときだった。
僕の家庭はΩ×βであるため、αが生まれることはそうそうない。しかし、僕の親戚つまり伯父伯母や1人の従兄弟、そして祖父もαであったため、僕も優秀なαで生まれるのではないか!なんて幼いながら夢を抱いていた。
小さい頃からカッコいいせいちゃんにひっつき虫だった僕はαとなって父と伯父の関係のように一緒に会社を継いで行くんだ!そう思っていた。周りの人間も父たちの関係を見て、よく僕たちをそう例えていたため、それは当たり前のように感じた。
早く、来ないかな来ないかな。
ソファに座って足をパタパタとさせながら待つ。
もしかしたら、αかも!
いやいやそんなわけないとうさんと一緒のβに決まっているだろ、なんて父に言われ拗ねかけたが、せいちゃんがお昼から来ると聞いて僕はすぐに機嫌を直していた。
ピンポーン。
あ!来たかも!
オメガバース診断は結果を病院に受け取りに行く形もあるが、母がうちで結果を知りたいといったため、結果郵送という形になった。
母がはーい、と玄関へ向かう。
ガチャリとドアが開いた音がし、しばらく待っていると、パタパタと音が聞こえた。
背の高くて顔の小さい顔が見える。
「せいちゃん!」
どうやらせいちゃんの方が先に届いたらしい。
ぎゅうっとせいちゃんの腰にしがみつく。
せいちゃんはおやおや、と驚くとギュッと僕を抱きしめ返してくれた。顔をぱって見上げれば、サラサラとしたバニラアイスクリームのような髪がゆれ、まつ毛の長いすこしタレ目な目が弧を描いた。
せいちゃんは母よりも背がずいぶん高く、噂では180センチあると聞いた。しかもとてつもなく美形!成績も優秀だから、学校ではモテモテらしい。
「こんにちは、まこと」
抱きついているまことの頭を綺麗な指が優しく撫でる。
嬉しくてまことはグリグリと頭を擦り付けた。
「せいちゃんいらっしゃい」
「どうも、こんにちは、叔母さん。
まことのバース検査結果は?」
「まだわからないの~。もう少ししたら届くと思うけど…」
ピンポーン!
タイミングよくまたチャイムが鳴る。
「あら、きたわ!ちょっと待っててね」
母はそういって玄関へ走っていく。
「まことのバースはなんだろうね」
「うーん、せいちゃんと一緒のαがいいな!」
「お父さんと一緒のβじゃなくて?」
「ううん!せいちゃんといっしょ!」
「ふふ、そうか」
Ωとβの間に生まれる子でαは生まれてこない。
その事実を伝えずにいたのは、せいちゃんのせめてもの優しさだったのかもしれない。
母がパタ、パタ、とスリッパを鳴らす。やけにゆっくりであるため、なんだろう?と思っていると、とても冷静な顔をした母が廊下から現れた。
「母さん!結果は?」
はやく聞きたくて母さんに近づいた。せいちゃんも一緒についてくる。
「叔母さん…?
…!!」
せいちゃんが様子のおかしい母に気づくと、母の持っている書類を見た瞬間、顔を引きつらせた。
そう、母が持っていた書類がまことがΩであったというバース結果だった。
Ωが生まれる確率はαよりも少ない。
母がΩではあったが、自分の娘・息子がΩである確率は相当低い。
しかし、まことはその相当低い確率を引いてしまったのだ。
前日に学校でオメガバース診断を受け、結果待ちをしているときだった。
僕の家庭はΩ×βであるため、αが生まれることはそうそうない。しかし、僕の親戚つまり伯父伯母や1人の従兄弟、そして祖父もαであったため、僕も優秀なαで生まれるのではないか!なんて幼いながら夢を抱いていた。
小さい頃からカッコいいせいちゃんにひっつき虫だった僕はαとなって父と伯父の関係のように一緒に会社を継いで行くんだ!そう思っていた。周りの人間も父たちの関係を見て、よく僕たちをそう例えていたため、それは当たり前のように感じた。
早く、来ないかな来ないかな。
ソファに座って足をパタパタとさせながら待つ。
もしかしたら、αかも!
いやいやそんなわけないとうさんと一緒のβに決まっているだろ、なんて父に言われ拗ねかけたが、せいちゃんがお昼から来ると聞いて僕はすぐに機嫌を直していた。
ピンポーン。
あ!来たかも!
オメガバース診断は結果を病院に受け取りに行く形もあるが、母がうちで結果を知りたいといったため、結果郵送という形になった。
母がはーい、と玄関へ向かう。
ガチャリとドアが開いた音がし、しばらく待っていると、パタパタと音が聞こえた。
背の高くて顔の小さい顔が見える。
「せいちゃん!」
どうやらせいちゃんの方が先に届いたらしい。
ぎゅうっとせいちゃんの腰にしがみつく。
せいちゃんはおやおや、と驚くとギュッと僕を抱きしめ返してくれた。顔をぱって見上げれば、サラサラとしたバニラアイスクリームのような髪がゆれ、まつ毛の長いすこしタレ目な目が弧を描いた。
せいちゃんは母よりも背がずいぶん高く、噂では180センチあると聞いた。しかもとてつもなく美形!成績も優秀だから、学校ではモテモテらしい。
「こんにちは、まこと」
抱きついているまことの頭を綺麗な指が優しく撫でる。
嬉しくてまことはグリグリと頭を擦り付けた。
「せいちゃんいらっしゃい」
「どうも、こんにちは、叔母さん。
まことのバース検査結果は?」
「まだわからないの~。もう少ししたら届くと思うけど…」
ピンポーン!
タイミングよくまたチャイムが鳴る。
「あら、きたわ!ちょっと待っててね」
母はそういって玄関へ走っていく。
「まことのバースはなんだろうね」
「うーん、せいちゃんと一緒のαがいいな!」
「お父さんと一緒のβじゃなくて?」
「ううん!せいちゃんといっしょ!」
「ふふ、そうか」
Ωとβの間に生まれる子でαは生まれてこない。
その事実を伝えずにいたのは、せいちゃんのせめてもの優しさだったのかもしれない。
母がパタ、パタ、とスリッパを鳴らす。やけにゆっくりであるため、なんだろう?と思っていると、とても冷静な顔をした母が廊下から現れた。
「母さん!結果は?」
はやく聞きたくて母さんに近づいた。せいちゃんも一緒についてくる。
「叔母さん…?
…!!」
せいちゃんが様子のおかしい母に気づくと、母の持っている書類を見た瞬間、顔を引きつらせた。
そう、母が持っていた書類がまことがΩであったというバース結果だった。
Ωが生まれる確率はαよりも少ない。
母がΩではあったが、自分の娘・息子がΩである確率は相当低い。
しかし、まことはその相当低い確率を引いてしまったのだ。
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