②三人の天秤～お前の憎悪は何色だ～

㉒光の過去

光の過去編
私は佐藤新君が好きだった。
私は一ノ瀬光ではなく、伊藤秋穂だった。
私は恋に破れたわけではなかった。
私は高校のころ勉強ばかりしていて恋なんて知らなかった。でも、ある人が恋を教えてくれた。その時から時間を進めるのに時間がかかった。今思えば、こんなに悩むことかと思うくらいに、昔の自分は、無様だった。本当にどうしようもなかった。
からかい半分で向こうは付き合っていた。それを自分では気づけずにずっと、愛なんだと勘違いしていた。
私は、幸せだった。
と思う。
先生にノートをクラス分持っていくのを頼まれて、それを持っていくのを手伝ってくれた。
その時から彼と話すようになった。
彼は明るくてみんなの人気者だった。今思えばなんで、私なんかを好きになったのか不思議だった。
あとで、分かることだが、からかって付き合ってくれていただけだった。
私は、徐々に惹かれていった。彼のことが頭から離れないくらいに好きだった。
私は、一大決心をした。彼に告白をしようと考えていた。私は、卒業式の時に告白をした。
結果は、A判定だった。
つまり、付き合っちゃいます。
それからだ。彼とラインをするようになり。大学生活が一ヶ月過ぎたころに、カフェで彼が、トイレに立った時、彼の携帯を見てしまった。決して見ようとしたわけではなく。
たまたまだ。
（違うでしょ。見たかったのよ）
それで、文字が私の中に入って来た。喜べる内容じゃなかった。
佐藤新。伊藤秋穂と付き合ってるの。
付き合っているっていうか、金出してもらってる。
なんだ、何番目の彼女。
結構なブスでさ。
自分は本当に自分と付き合ってるって勘違いでさ。
笑っちゃうよな。
紹介してくれた、加恋が本命。
そうそう。
こいつは、ブスで会せらんねえ。
いや、会わせてよ。その勘違い女。
皆で、笑おうよ。
いいね、それ。
全部あいつ持ちでさ。
絵文字の大爆笑。
何よこれ。
新は私のことを好きじゃないの。
何でよ。
「おまたせ、そういえば友達に紹介してなかったけか」
「今度、BBQあるからさ、その時来なよ。皆に紹介するから」
この男の言葉の裏にある、企みが分かっている。だから、許せない。
違う自分が浅はかな人間なんだ。
悔しい。
その気持ちで逃げる。
私はその場を逃げる。
その時、私は戦えればよかった。でも、弱くて逃げ出した。その方が傷つかないと本能的に逃げたんだ。
私はマンションに帰り。泣いた。
そして、憎悪になった。
過去の回想終わり