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願いを叶える薬
第56話 枯れたドライアドの木
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シーサーペント騒動から数日後ようやくオリビの町に到着した。
町の周囲は高い木々に囲まれた石造りの家が目立つ街だった。
積み荷はアイテムボックスの中なのか全員が降りるとリオスさんが使っていた船をアイテムボックスにしまっていた。
「しばらくはこの街の宿に居てくれ、既に父がこっちに向かっているらしいから、そう遠くないうちに会えるだろうよ」
「すいません、いろいろありがとうございます」
「いいよ、いいよ、こちらも君から売れ残りの品と交換で様々な香辛料分けてもらったからね、こちらも感謝しているよ、それじゃあ我々はいくよ」
「はい、ありがとうございました」
「誠明、ユキちゃんまたね」
リオスさんやロアナ姉妹そして他のハイエルフの人たちはオリビの町について直ぐに街を出ていった。
あ、ドライアドの木どれだか聞き忘れたな……。ロアナさんのお爺さんが来たら聞いてみればいいか。
とりあえずまだ日が高いので、少し森の中を探索することにした。
オリビの町をでて、ユキを自由に走り回らせつつ、後について行った。
前を走るユキは街道から外れ真っすぐにどこかを目指しているような感じで道なき道を走る。自分はユキを見失わない様について行くのがやっとだった。
どれだけ走ったか不明だが、崖下に海が見える高台にたどり着いた。
「キュィ~ッキュ~」
「ん?」
高台にたどり着くと今度は、ユキが高台のあちらこちらをくるくる回るように走って何かを訴えているように見えた。
「どうした?」
「キュ~ッキュ~キュィ」
言ってることが分からないが、何か訴えているのは行動を見ていてわかる。ユキがくるくる回っていた所や何か訴えているような仕草を見せた場所に行くと何を訴えているのかがなんとなくわかった。
その高台には、見た感じ雑草や落ち葉や枯れ木等で分りにくいが平らに整地された土地がいくつか並んでいたり、井戸があったり、大木の幹に大きな穴が開いていておとな2~3人が住めるようなスペースがあった。それに崖から海を見渡すと、オリビの町と思しき町が見えた。
「もしかして、昔のハイエルフ達の居住跡地か?」
「キュィ~」
自分の言葉にユキが相槌をうつような鳴き方をした後今度はまた森の中に入って行った。
森の中に入ってすぐに、枯れた大木が目に入った。
周囲の木々はまだ緑の葉を沢山つけているのにもかかわらず、その大木だけは葉を1枚も付けていなかった。
その大木の前でユキはお座りして自分を待っていた。
「もしかしてドライアドの木……?」
オリビの町の近くにあると聞いていたし、先ほどいた高台からオリビの町が見えていた。
「キュッキュ!」
ユキは2度頷きながら答えた。
「何でそんなことわかるんだ?」
「キュィ~キュー」
まぁ言ってる事はわからんが、分かる理由があるんだろう。オリビの町からも近いし、ここでドライアドの木を観察するのもありだな。
「どうしようか、せっかくだしここに住んでみるか?」
「キュッキュ!」
ユキはOKなのか、まぁ衣食住そろっていればいいし、住めるようなスペースもあるし住居跡地に診療所をだそう、そう思い居住地跡地に戻り、吸土の魔石を使い、診療所の地下と同じ大きさの穴をあけた後、アイテムボックスから診療所をだした。
久々にユキと一緒に診療所に入り3階の自宅に戻り寛ぎゆっくりとした時間を過ごした。
翌朝、ユキと共にドライアドの木に向かうと1人のエルフの中年男性がいた。
もしかしてって思ったが、見た感じおじいちゃんとかいわれるような歳じゃないように見える。
「おはよう、君が誠明君だね、私はリオスの父、ロアナ達の祖父である。ライだ」
「あ、すいませんオリビの町で待つように言われたのに……、自分は伊東誠明です。よろしくおねがいします」
「あぁよろしく、君たちをここに導いたのは私の依頼だったからね」
導いた?
ここに向かって走ってきたのはユキのほうだ、ユキを見ると。
「キュィ?」
ユキも“?”が浮いているようだった。
「どうやって導いたんですか?」
「どうやって?精霊の声か姿を見なかったのか?」
「いやそんなものは……」
「キュィ♪」
ユキが姿か声を聞いたのか、それで何かを追いかけるようにここに来たって事か。
「そうか、君ではなく、その子と先に繋がったのだな」
「先って?」
「2人の内どちらかが精霊の姿か声を聞けばここに来てもらえるかと思ってね」
その結果自分より先にユキが精霊を認知したのか。
「そうでしたか、何故ここに?」
「ふっふ、ここはね聖女様がドライアドの実を受け取った場所なんだよ。まだ実を付ける状態じゃないが君たちならここが良いと思ってね」
「何か意味が?」
「うん、この木はね数百年前に 1度枯れてしまったんだよ、ただ100年ほど前に聖女様が一時的に復活させてね、君たちなら出来るんじゃないかと思ったんだよ」
やっぱりすでに枯れた木だったのかと思ったと同時に、聖女様が一時的に復活させた?どういうことだ?
「わかっていないようだね、この木に触れてごらん」
「はぁ……」
ライさんに言われた通り、大木に触れると微かにだが触れた手のひらから何かが大木の方へ流れていくような感触があった。
「もしかしてまた?」
「そう、また実を付ける可能性があってね、ここは海風の影響で魔素だまりが出来なくてね若いうちなら自然の魔素でなんとかなるが、大きくなり魔素を賄いきれなくなって枯れてしまったんだよ」
いわゆる栄養失調みたいな状態なのか。
「それじゃあ今触れた時に木に流れていったような感触は?」
「君の体内の魔素だね」
「じゃあ魔素を与え続ければ……」
「そう、葉をつけ花を咲かせ実ができる」
なるほど、聖女様がここに来た理由もそれか、自分たちには絶対健康があり、それゆえに魔素が枯れるような事がない。
「導いてくれてありがとうございます」
「いや、よいよい、一度枯れたドライアドの木は枯れたことのない木よりも綺麗な花を咲かせるんだよ」
それはちょっと見てみたいかもしれない、どれだけ時間がかかるか分からないが頑張ってみよう。
町の周囲は高い木々に囲まれた石造りの家が目立つ街だった。
積み荷はアイテムボックスの中なのか全員が降りるとリオスさんが使っていた船をアイテムボックスにしまっていた。
「しばらくはこの街の宿に居てくれ、既に父がこっちに向かっているらしいから、そう遠くないうちに会えるだろうよ」
「すいません、いろいろありがとうございます」
「いいよ、いいよ、こちらも君から売れ残りの品と交換で様々な香辛料分けてもらったからね、こちらも感謝しているよ、それじゃあ我々はいくよ」
「はい、ありがとうございました」
「誠明、ユキちゃんまたね」
リオスさんやロアナ姉妹そして他のハイエルフの人たちはオリビの町について直ぐに街を出ていった。
あ、ドライアドの木どれだか聞き忘れたな……。ロアナさんのお爺さんが来たら聞いてみればいいか。
とりあえずまだ日が高いので、少し森の中を探索することにした。
オリビの町をでて、ユキを自由に走り回らせつつ、後について行った。
前を走るユキは街道から外れ真っすぐにどこかを目指しているような感じで道なき道を走る。自分はユキを見失わない様について行くのがやっとだった。
どれだけ走ったか不明だが、崖下に海が見える高台にたどり着いた。
「キュィ~ッキュ~」
「ん?」
高台にたどり着くと今度は、ユキが高台のあちらこちらをくるくる回るように走って何かを訴えているように見えた。
「どうした?」
「キュ~ッキュ~キュィ」
言ってることが分からないが、何か訴えているのは行動を見ていてわかる。ユキがくるくる回っていた所や何か訴えているような仕草を見せた場所に行くと何を訴えているのかがなんとなくわかった。
その高台には、見た感じ雑草や落ち葉や枯れ木等で分りにくいが平らに整地された土地がいくつか並んでいたり、井戸があったり、大木の幹に大きな穴が開いていておとな2~3人が住めるようなスペースがあった。それに崖から海を見渡すと、オリビの町と思しき町が見えた。
「もしかして、昔のハイエルフ達の居住跡地か?」
「キュィ~」
自分の言葉にユキが相槌をうつような鳴き方をした後今度はまた森の中に入って行った。
森の中に入ってすぐに、枯れた大木が目に入った。
周囲の木々はまだ緑の葉を沢山つけているのにもかかわらず、その大木だけは葉を1枚も付けていなかった。
その大木の前でユキはお座りして自分を待っていた。
「もしかしてドライアドの木……?」
オリビの町の近くにあると聞いていたし、先ほどいた高台からオリビの町が見えていた。
「キュッキュ!」
ユキは2度頷きながら答えた。
「何でそんなことわかるんだ?」
「キュィ~キュー」
まぁ言ってる事はわからんが、分かる理由があるんだろう。オリビの町からも近いし、ここでドライアドの木を観察するのもありだな。
「どうしようか、せっかくだしここに住んでみるか?」
「キュッキュ!」
ユキはOKなのか、まぁ衣食住そろっていればいいし、住めるようなスペースもあるし住居跡地に診療所をだそう、そう思い居住地跡地に戻り、吸土の魔石を使い、診療所の地下と同じ大きさの穴をあけた後、アイテムボックスから診療所をだした。
久々にユキと一緒に診療所に入り3階の自宅に戻り寛ぎゆっくりとした時間を過ごした。
翌朝、ユキと共にドライアドの木に向かうと1人のエルフの中年男性がいた。
もしかしてって思ったが、見た感じおじいちゃんとかいわれるような歳じゃないように見える。
「おはよう、君が誠明君だね、私はリオスの父、ロアナ達の祖父である。ライだ」
「あ、すいませんオリビの町で待つように言われたのに……、自分は伊東誠明です。よろしくおねがいします」
「あぁよろしく、君たちをここに導いたのは私の依頼だったからね」
導いた?
ここに向かって走ってきたのはユキのほうだ、ユキを見ると。
「キュィ?」
ユキも“?”が浮いているようだった。
「どうやって導いたんですか?」
「どうやって?精霊の声か姿を見なかったのか?」
「いやそんなものは……」
「キュィ♪」
ユキが姿か声を聞いたのか、それで何かを追いかけるようにここに来たって事か。
「そうか、君ではなく、その子と先に繋がったのだな」
「先って?」
「2人の内どちらかが精霊の姿か声を聞けばここに来てもらえるかと思ってね」
その結果自分より先にユキが精霊を認知したのか。
「そうでしたか、何故ここに?」
「ふっふ、ここはね聖女様がドライアドの実を受け取った場所なんだよ。まだ実を付ける状態じゃないが君たちならここが良いと思ってね」
「何か意味が?」
「うん、この木はね数百年前に 1度枯れてしまったんだよ、ただ100年ほど前に聖女様が一時的に復活させてね、君たちなら出来るんじゃないかと思ったんだよ」
やっぱりすでに枯れた木だったのかと思ったと同時に、聖女様が一時的に復活させた?どういうことだ?
「わかっていないようだね、この木に触れてごらん」
「はぁ……」
ライさんに言われた通り、大木に触れると微かにだが触れた手のひらから何かが大木の方へ流れていくような感触があった。
「もしかしてまた?」
「そう、また実を付ける可能性があってね、ここは海風の影響で魔素だまりが出来なくてね若いうちなら自然の魔素でなんとかなるが、大きくなり魔素を賄いきれなくなって枯れてしまったんだよ」
いわゆる栄養失調みたいな状態なのか。
「それじゃあ今触れた時に木に流れていったような感触は?」
「君の体内の魔素だね」
「じゃあ魔素を与え続ければ……」
「そう、葉をつけ花を咲かせ実ができる」
なるほど、聖女様がここに来た理由もそれか、自分たちには絶対健康があり、それゆえに魔素が枯れるような事がない。
「導いてくれてありがとうございます」
「いや、よいよい、一度枯れたドライアドの木は枯れたことのない木よりも綺麗な花を咲かせるんだよ」
それはちょっと見てみたいかもしれない、どれだけ時間がかかるか分からないが頑張ってみよう。
応援ありがとうございます!
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