【完結】婚活に疲れた救急医まだ見ぬ未来の嫁ちゃんを求めて異世界へ行く

川原源明

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願いを叶える薬

第63話 乗合馬車の野営

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 借りていた仮診察所内を片付け、その後冒険者ギルドに寄り即納品できるE、Fランクの採取系依頼票を剥がし即納品した結果Dランクに昇格できた。その後Dランクの依頼も少しだけこなして冒険者ギルドを後にし、街の入口近くにある乗合馬車広場移動した。

 乗合馬車広場にいくとまぁ本数が多い、全部ドワイライフ王国王都クロット経由で近隣の国行きだった。

 とりあえず、当初の予定通りおとなりのビオニア王国の王都サンテビ行きに乗る事にした。

 乗合馬車の御者と思しき人に行先を確認しようと思い声をかけた。

「すいません~」
「どうした?」
「これってピオニア王国王都サンテビ行きですかね?」
「そうだよ、どこまでいくんだい?」
「サンテビまでで」
「それじゃあ途中2回野営の8つの町で宿になると思うが食料とかは大丈夫かい?」

 持ち込み品増産できるから問題ないし大丈夫だと思う。

「大丈夫です」
「そうかい、んじゃもうすぐ出発だから乗りな」
「ほい」

 すでに馬車には7人の男女子どもが乗っていた。

 ルールなのか分からないが、奥から摘めて乗っていくシステムらしい。

 自分は一番後ろの席だ、後ろの風景が見れるのでちょうどよかったかもしれない。

 席に座り膝の上にユキを乗せ出発を待っていると、

「ピオニア王国王都サンテビ行きだよ~乗り間違いないか~?なさそうだね~出発~」

 御者の男がそう言うとゆっくりと馬車が動き始めた。

 日本に居た頃馬車は最大20キロくらいしか出てなかったなんて本を読んだけど、60キロ位出してるんじゃないかと思う位に結構早いスピードで走っていた。世界が違えば違うものなのかなんて思っていた。

 初日の晩は、周囲に背丈の低い草が生い茂っている平原の野営地で乗客乗員それぞれ自分たちで用意した食事を食べ、御者の人と女性と子供を除き、男4人で交代で見張りをやる事になった。自分の番は2番目というちょっと中途半端だなとか思いながら寝た。

「おーい交代だぞ~」

 寝ているとパシパシと顔を叩かれ起こされた。

 地面に直で寝るとか本当に寝にくい……。寝た感じがしないんだがなとか思いながら起き上がった。

「はい……」
「月が真上にきたら次の奴起こしたってや」
「了解」
「んじゃ俺は寝るわ、なんかあったら遠慮なく起こしてくれ」
「ねむぃ」

 思わずボソッと口から出た。横で丸くなっているユキを揺さぶって起こした。

「ユキ、起きて見張りだよ」
「キュィ……」

 絶対健康のおかげで睡魔がすぐに無くなったが、絶対健康を持ってないユキを起こすのはちょっと酷かなとか少し思ったりしたが、ユキの方がこの場合戦力なので遠慮なく起こした。

 2人で焚き火の近くにある丸太腰掛けて、周囲警戒と火が消えないように見張りを始めた。

 見張りを初めて早々ユキは自分の膝の上に乗っかり眠り始めるユキ。

「ユキ、ちゃんと周囲警戒しておいてね……?」
「キュッキュ」

 返事はやる気満々なのに、やってる事がやる気0何だが、まぁ何かあればすぐ起こせばいいかと思い、時々周囲を見ながら見張りをしていた。

 どれだけ経ったろうか?

 月の位置を見るとそろそろ交代になりそうだなとか思っていると。

 急にユキが起き上がり遠くの森の方を見ていた。

「ん?なんかいるの?」
「キュィ~」

 自分には木々がなんとなく見える程度なんだが……?

「ほぉ、その狐勘がいいな」

 いきなり背後から声がしてビックリした。そこには鎧を身につけ手に長い槍を持った男がいた。次の見張りの人だった。

「あれ?もう交代です?」
「いや、俺の警戒網に狼が侵入したからなそれで起きてきた。どうやらお前さんの獣魔の方が先に気づいたようだが」
「こっちに気づいてるんですかね?」
「あぁ、既にこちらの動きを見ているからな、1・2・3・4……、全部で12匹か多いな」
「キュィィィ」

 ユキは小さく首を振りながら鳴いていた。

「12じゃないらしいですよ、13とか?」
「キュッキュ!」
「13だそうです」
「もっと奥に1匹いるのか……、お前さん自分の身を守れるのか?」
「どうですかね、1匹2匹なら何とかなるかもしれませんが……」

 正直、1匹でも辛い気がしている。その間にユキが何とかしてくれると信じている。

「おそらく俺が捕らえられてないやつがボスだろう、そいつを何とかすれば奴らは来ないかもしれんが」
「そうなんです?」
「あぁボスさえ何とかすれば群れは引き上げる事が多いからな」
「だって、ユキこの位置から幻影魔法使える?」
「キュッキュ!」

 イエスか、問題は、ボスの戦意を喪失させる手立てだ、それさえうまくやればおそらくは襲ってこない可能性があるか、そうなって欲しいと願い、どうすれば戦意を無くすかだ。

「ユキ、とりあえず奥に居るやつの感覚すべて奪ったうえで、全身に矢でも刺さったように痛みを味わってもらって」
「キュィ~」
「おまえさんなかなかエグイこと考えるな……、というか、そこの狐はホワイトフォックスなのか?」

 そうか幻影で姿を変えているから知られてなかったか。

「そう言う事です、訳あって幻影で姿を変えています」
「なるほどなって……、ん?」
「ん?どうしたんです?」
「いや動きがあったが、引き上げる感じではないな……」

 という事は後退しているが、動きが読めないってことか、ユキの幻影が成功しているなら恐らく心配して寄っていったってところかな?

「キュィィ!」
「ん?」
「まずいな、襲ってくる、全員起こせ!」
「了解」

 急ぎ皆を起こし、13匹の狼が襲ってくる旨を伝えた。
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