【完結】婚活に疲れた救急医まだ見ぬ未来の嫁ちゃんを求めて異世界へ行く

川原源明

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願いを叶える薬

第75話 被災地王都クロンベ

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 嵐から2日後

 今日は食事不要という事で朝から甲板掃除を手伝っていると、前方に大きな城がある町が見えてきた。

 甲板掃除を手伝っているマイアさんが近くに居たので聞いてみた。

「もしかしてあれがクロンベ?」
「えぇ、そうですよ、ただ先日の嵐のせいか少し様子が違いますね」

 まぁ現代日本でも相当な被害が出るレベルの台風だったし当然だろうなと思うと同時に死傷者も相当な数が出てると思った。

「クロンベに何日間居る予定ですか?」
「そうですね予定は3日ですが、あの様子だと商業ギルドも機能してるかどうか……」

 3日間か、被災地支援やってる暇があまりないな。

「商業ギルド?」
「えぇ、大口の取引ですからね、基本私達の相手は商業ギルドなんですよ」
「機能してなかったら、直ぐに出発ですか?」
「そうですね、その予定ですよ、どうかしました?」

 状況に応じて、クロンベで降りる事になるかな?

「ん~クロンベの町の人達の状況に応じて自分の力が必要なら支援しようかと」
「そうですか……」

 マイアさんは何か考える様子を見せた。

 町の方を見ると、倒壊している家が数件見える。おそらく負傷者もそれなりに居るだろう。港エリアにもゴミが散乱している。

 どこか治療できるスペースとかあるかな?

 なんて思いながらクロンベに到着した。

「酷い状況だな……」

 マリベルが開口一番ぽろっと漏らした。

 自分も正直そう思う。遠くから見ただけでは分からなかったが壁が崩れたりしている家が多くみられた。

「降りて街探索してきていいですか?」
「あぁ構わんが、夜には戻れよ」
「ほい、ユキ行くよ」
「キュィ~」

 船をおり足元に広がるゴミを避けながら町の中を歩くと街中はもっとひどい、瓦礫や葉や枝があちらこちらに散乱していて、所々で救助活動をしていた。

 駆け寄ると倒壊した家屋の下敷きになって亡くなったようだった。

「怪我された方はどちらに居るんですか?」
「けが人は城前の広場に集まっている。死者は教会だよ、両親がみつからないのかい?」
「いえ、自分医者なので力になれるならと思って」
「医者か!ならすぐに城の方に行ってくれ!怪我人であふれてるんだ!」
「わかりました」

 救助の現場を後にして城に向かうも場所を聞いてなかったな……、とりあえず大通りを行けば城にたどり着けるだろうと思い大通りをあるき続けると思っていた通りに城前の広場にたどり着いた。

 そこに広がっていたのはまさに地獄絵図だった。多くの人が横たわっており、あちらこちらで泣き声やうめき声が聞こえ異臭もする。おまけに手当している人が居ない?

  怪我人がただ集められただけのような状態だった。

 救命医として、腕の見せ所だろう。だれかトリアージ対応してくれないかななんて思いつつ。ぱっと見て一番最初に目についたかなり出血し開放骨折をしている人から対応を始めた。

「キュ~」
「ん~?今手が離せないから少し待ってて」
「キュィ~……」

 開放骨折の人を対応しながら思った。一応あるていど知識はあるしユキがみて重傷に見える人をあらかじめピックアップしてもらうのもありかもしれない。

「ユキ、お仕事!全体見てきて、重症な人ピックアップしてくれる?」
「キュィ~」

 それだけ鳴くと、走り去っていった。

 骨を戻し縫合し、最後に出血量が多かったのもあり、鉄分とカルシウムのサプリメントを飲ませた。輸血手段が取れない限りサプリメントでどこまで効果でるか不明だが出来ることはこれしかないと思っていた。

 開放骨折の人が終わり辺りを見回していると、ユキが戻ってきた。

「キュィ!」
「重傷者のところに?」
「キュッキュ!」

 ユキは頷きながら鳴いた。

「んじゃ案内してくれる?」
「キュッキュ!」

 ユキが案内してくれた先に居たのは若い男と横たわり腹部に大きな裂傷のある獣人女性の所だった。
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