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第6章 帝国へ

第57話 襲撃

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 ガンズと別れ町中に戻ってきた。

 適当にウィンドショッピングをし、夕方になったころ、宿取ろうと思い色々巡ったが、どこも満室なかなかとれなかった。

 やっとの思いで取れた宿は、そこまで古ぼけてなく、装飾もないシンプルな宿だった。

 部屋に入ると、部屋もベッドとチェストがあるだけのシンプルな部屋だった。本来の自分の姿に戻り、ベッドに入り目を閉じた。

 どれだけ寝ていただろうか?
 
 突然、“バタン“と言う音が聞こえ目を覚まし、急ぎ影の中に隠れた。

 影の中から外の様子をみていると、自分が居た客室に5人の男達が踏み込んでいた。

「いねぇぞ」
「よく探せ!」

 ベッドの下やチェストまで隅々と探すも自分を見つけられず。

「居ねぇぞ!」
「部屋間違えたか?他の部屋を探せ!」
「客はどうする?」
「抵抗するようなら殺せ!あとはほっといて構わん、良さそうな女が居たらついでだからさらっとけ」

 こいつら……。

 とりあえず指示役1人を除いて何人か影の中に落とすか、自分が居た客間を出て少女探しをする4人、あちらこちらの部屋を開けるも客がいなかった。

「2階も3階もだれも居ねぇ」

 ぇ?
 もしかして評判が悪い宿だったかな……?

「どこ行った……、まぁいい撤収だ、サットに見かけたら捕まえとけと言っとけ」
「あぁ」
「ずらかるぞ」

 襲って来た1人が、宿の受付に居た男と何かやり取りをしていた。

 こいつは宿もグルってやつか……?

 襲って来た男達に続いて宿を出た。

 どこに行くのかなと思いつつ、後をつけると港の小さな帆付の小舟に乗り込んだ。

 小舟に揺られる事30分程、海賊たちのアジトがあると言っていた小島にたどり着いた。

「頭に報告してくる。お前らは次の準備をしとけ」
「了解」

 どうやら海賊団のアジトは、岩をくりぬいて作ったようだった。通路には松明があり燃え続けていた。

 頭に報告するという男の影に移り後をつけると、一度地上に出て集落のような場所に来た。

 男は、どこかの家に入る事もなく、集落の中央で焚き火が炊かれている場所に向かった。

 眼帯に髭と人相の悪い男と、背丈の高い男がいた。この2人、船長のバーフラウと、副船長のギューダウフだ、手配されているやつだ。

「ラックか、どうだった?」
「宿には居ませんでした」
「見張ってたんじゃないのか?」
「見張っていたのですが……」
「見落としたか?」

 眼帯男と指示していた男がやり取りをしていると、長身の男が割って入った。

「その少女のスキルの可能性があるだろうな」
「それしか考えられんな、1人でクゥハラまできたんだろ?だったら相応の実力者だろう」
「ますますほしいな、グムンド辺境伯に売れるだろ」

 グムンド辺境伯……、この海賊ともつながりがあるのか、国境で活動している盗賊と、海賊ね……。

「だろうな」
「見つからなかったなら仕方ない、明日日中見かけたら捕らえろ」
「了解」

 そう言うと、実行犯の指示役は去っていった。

「どう思う?」
「何がだ?」
「例の少女だ」
「女狐の可能性を考えた」
「奴ならあり得るか?」
「可能性があるというだけだ」

 バーフラウとギューダウフのやり取りを聞いていて、たしかにあの人ならあり得そうだなと思っていた。

 さて、気づかれないように2人を影の中に引き込むタイミングを見つけないとだな……、そう思ってからしばらく経つが、2人で雑談するも離れる様子が全くなく夜が明け始めた。

 夜が明けしばらくすると、実行犯の指示役が戻ってきた。

「それじゃあ、自分らは」
「あぁ行ってこい」

 ギューダウフがそれだけ言うと。実行犯の指示役だった男が去っていった。

 バーフラウの方を見ると寝ている?

 胡坐をかいた状態で下を向いていた。

 ならばギューダウフからやるか、ギューダウフの影に移動し、足を引っ張るとストンと影の中に落ちてきた。

 まずは一人、続いてバーフラウの方に移動し影の中に落とし仕留めた。

 一度2人の死体を表に出してから、自分も影の外に出た。

 2人の死体を回収し、ギューダウフの姿になった。

 ギエフやアリサ達のように何か流れ込んでくるものがあるが、何か特別なものは感じなかった。

 攫われた人達は?
 と思ったら、船着き場の近くの牢の中だという事がわかった。

 アイテムボックスからレッドカードを出し、ギューダウフの記憶にある顔を探すと、バーフラウとギューダウフ以外8枚のカードのメンバーが記憶があった。

 残り8枚のメンバーは?
 と考えると、クゥハラの町の町長と、その執事、町の衛兵長、現在島の裏手の入り江に停泊中の海賊船の船守達だと判明した。

 執事はどうやら海賊団のメンバーらしかった。

 とりあえず囚われている人を救出だな、自分の姿に戻り囚われている人達が居る部屋に入ると、“ヒィ”やら怯える声があちらこちらから聞こえた。

 牢の中を見ると耳が尖ってる女性も多く、囚われていた人は11名で全員女性だった。

「助けにきました」
「ぇ」

 牢の中がざわつき始めた。

 問題は目の前にある金属の格子をどうにかしないとだが、鍵穴らしいものも見当たらなかった。

「これってどうやって開くんです……?」
「さぁ、開くのはここなんだけど……」

 そう言って教えてくれた場所はつなぎ目なんてなかった。

「ん……」
「あなた、大地魔法持ってるみたいだけど、それで何とかならないの?」

 そう言ったのは、一番背丈の低い尖った耳の女の子だった。
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