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第7章 帝国内戦

第97話 罪人の町バルクレイム 第一皇子暗殺

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 オレリアの町を出て人気のない所で目立たないようハヤブサになり空に飛び、罪人たちが集う街バルクレイムを目指した。

 身体が浮くような感覚がするときは必ず上昇気流がある。そんなところを旋回しつつ高度を稼ぎ、ある程度上がったらまた滑空してバルクレイムを目指すを繰り返しをしていた。

 途中で日が落ちてきたので適当な木に止まり、そのまま影の中で一休みし翌朝を待ち、再び飛んだ。

 しばらく飛んでいると、メンダーの町が見えてきた。

 ここから先は大体の方角で飛べばいいか?
 
 とりあえずはグリーンベルト領を目指して飛んでみる。

 敵陣をメガフレアで攻撃した際のクレーターには水がたんまりと入り1つの円形湖になっていた。

 湖の畔に降り、周囲に魔物が居ないことを確認したうえで、地面に地図をだした。

 グリーンベルト家の白いテントがある辺りから見るとだいたい2時の方向にバルクレイム入口の洞窟か、上空を飛んでる時の記憶と照らし合わせると、山の中腹辺りに洞窟があるって事だろうか?

 とりあえず、湖のほとりにある白いテントを目指しだいたい2時の方向を向けばいいか?

 考えるよりは行動に移すか、地図をアイテムボックスにしまい再び空に舞い上がった。

 湖の畔にある白いテントを目指し、白いテントの上空を通過後2時方向へ向かった。

 しばらく飛ぶと、正面にはちょっと低めの山があった。

 そろそろどこかに洞窟の入口が見えるはずなんだが?

 そもそも洞窟に至る道がないのが気になる。

 罪人たちが住む町とは言え、食料とかどうするんだろう?

 まさかの自給自足?

 そうなると畑があるだろうし、地表にある可能性があるのか?

 山の周辺だけではなくもっと広範囲に捜索するか、となるとハヤブサの姿よりはバハムートの姿になって自由に飛んだほうがいいか、ハヤブサの姿からバハムートの姿へ空中でフォルムチェンジ!

 高高度まで上昇すると、バルクレイムっぽいものを見つけた。

 三方を山に囲まれその中央に盆地状の地形がありその中央に大きな町と周囲に田畑があり田畑の中に民家の様な物があった。

 町の近くには大きな森、湖、川もあるし人数次第では自給自足は出来そうなレベルだな。

 再びハヤブサの姿に戻り、バルクレイムと思しき町の上空を旋回しつつ観察をした。

 弓を持ち森の中に行く者、田畑で作物を育てる者、川や湖で漁をする者等色々な人たちが色々な事をしていた。

 上空から見てる限りだと、男女比率も結構バランスよい?

 皇子と思しき男を探すも中々見つからないな。

 影の中に入って探すか?
 
 まだ日も高いからそこまで自由に動けないしな、しばらく上空から探すか。

 幸い上昇気流があるから羽を広げているだけで良くて楽だ。

 いくら探せど皇子と思しき男が見当たらないまま、気づけば森に入った男達が獲物を手にして戻ってきたり、畑作業していた者、漁をしていた者も居なくなり日が傾き始めた。

 影に入って捜索するか、問題はどこで影に入るかだ、町中で適当な所に止まると矢を放たれそうだから町の外がいいかな?

 町の外に降り、本来の姿に戻った。

 黒いフード付きローブと狐の仮面を身につけ影の中に入ろうとした瞬間、松明を持った数人の人達がこちらに向かって来た。

 急ぎ影の中に逃げ込んだ。

「居たか?」
「居ねぇな」
「間違いなく知らぬ人の気配があったんだが……」

 気配を察知する人がいるのか、それに“知らぬ人の気配”と言うあたり1人1人どんな気配を持っているか把握しているって事だろうか?

 もしかしたら殺したら気配が消えるからすぐにばれるやつか?

「もしや先日来た奴の追っ手か?」
「洞窟を見張ってる奴からは何も聞いてないぞ……」
「山越え?」
「それこそあり得んだろ……」
「なら気のせいか?」
「いや、絶対に気配があった。普通の人より大分薄いが確実に人の気配だった」

 薄いのは隠密スキルのお陰だろうが、どうやらこいつにはあまり効果がないみたいだな、なんていうスキルなのかが気になる。

「おまえ昼間も、見知らぬ気配がとか言ってたよな」
「あぁ、この辺りでは見かけない種だったが、あれは上空をクルクル回っている鳥だった」
「何だよ鳥かよ」

 ん、鳥の時の気配も察知されてるのか、となると本人を中心として特定の範囲内の気配が解かるとかそういう系だろうか?

「その鳥はどこ行ったんだ?」
「ん~鳥だと分かってから追ってないからわからん、森の方にはないな」
「山の向こうから来たって事か」
「じゃないか?」

 ここから森って結構離れてるんだが……、それだけ広範囲の気配を察知できるって事か?

「まぁいい、ユウスケに伝えとこう、とりあえず今気配はないんだな?」

 ユウスケ?
 名前的に日本人だが……。

「あぁないな、間違いなくこの辺りにあったんだが……」
「とりあえず解散だ、居ないもんを探すつもりはないからな」
「わかった」

 松明を持った男達が町の方に戻っていく。

 試しに人差し指だけを地上に出してみると。

「ん!?」

 気配を察知できると思われる男がこっちを見たので慌てて引っ込めた。

「どうした?」
「いや、一瞬気配を感じたんだが……」

 結構敏感に反応するな……、ちょっと考えて行動しないとだ。

 皇子の姿になって探そうと思ったんだがな。

 気配を察知できる男達が去っていくのを見守った。

 町中は街灯が有ったり一応まともな雰囲気がある。

 影から出ると追われるから影に潜りながら探した。

 町全体的に比較的新しい気がする。

 店らしい店は見当たらないな物々交換がメインなのだろうか?

 実際に何度か作物と魚や肉等交換している所は見かけた。

 一軒一軒回っていくと、さっきの男達が居た。

「ファントムですか?」
「あぁ、可能性だがな、人より気配が薄く、消えたりするとなるとな」
「人間な気がするんですけどねぇ」
「とりあえず、さっき気配を感じた所に案内しろ」
「わかりました」

 さっきはいなかった男の顔に見覚えがある。

 奴が勇者アルファトスだ。勇者の所在確認が出来たし、残りは今回の目標第1皇子だ。

 一軒一軒くまなく探し残り2軒と言うときに見つけたが、何故か第一皇子は、とある屋敷の地下牢の中に居た。

 外から差し込む明かりもなければ、蠟燭の明かりすらない、そんな牢の中で地べたに寝そべっていた。

 何故こんなことになってるんだか、罪人たちの町バルクレイムで牢屋に居る謎。

 まぁ、目撃者も居ないし今のうちに!

 皇子の身体を影の中に引き込み殺害、一度表に出してアイテムボックスへ収納。

 これでミッションコンプリート!

 残すは勇者殺害だな。
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