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しおりを挟む「えっと……ニアンナちゃん……?」
「ああ、このひとは信頼できるひとだから、大丈夫です。……ガレディ、このひとが、今回のヤンダークの件の一番の被害者のひと」
「……というと、事の発端は、その方が?」
「うん。っていっても、完全に被害者なんだけど」
なるほど――と呟いたガレディは、凛々しい所作でナミアの側に寄った。
「このたびは、我が城のポンコツ――じゃない。王子が、大変ご迷惑をお掛けしました。私からも謝罪いたします」
「……はぁ」
まだ状況が飲み込めていないナミアは、きょとんとして、気の抜けた返事をする。
そんな彼を安心させるふうに、ガレディは微笑した。ヤンダークよりも彼のほうが余程王子らしいと、ニアンナはこれまで何度思ったか知れない。
「そして、姫がお世話になったようで。おふたりとも、怪我はありませんか?」
「なんとかヤンダークに見つからずに済んだから、それは大丈夫」
「なら、よかった」
ニアンナとガレディの会話を、ナミアは目をしばたたきながら見る。
次いで、迷う仕草でニアンナを指さした。
「……姫って……え……?」
ニアンナは無言で頷く。
ナミアの視線がガレディに移され、彼もまた無言で頷いた。
ぽかんとしたナミアの面持ちが、みるみるうちに驚愕に彩られる。
「え……えええ……っ!」
ふたりへ交互に目線を移すナミアに、ニアンナは謝罪をした。タイミングが掴めなかったとはいえ、さすがに申し訳なさを感じる。
「……すみません、黙ってて。驚かせるつもりはなかったんですけど……」
「しかし、姫、いったい、なにがどうなっているのです? どうしてあなたがこんなところに……。そして、ヤンダークはなにを?」
本人のいないところでは、ガレディは当然のようにヤンダークを呼び捨てにする。
しかし、今更であるのでとくにそれを指摘することはせずに、ニアンナは返答した。
「あー……じつは――」
◇
ニアンナがここに至るまでの詳細な事情を説明すれば、ナミアは唖然とし、ガレディは盛大に顔を顰めた。
ガレディは顎に指を添えつつ、思案する面持ちで呟く。
「……突然任務を言い渡されて、怪しいとは思っていましたが……まさか、姫を城から追い出すなんて……」
ナミアは未だに「信じられない」とでも言いたげな調子であった。
「というか、僕、本当に王子と話をしたのも今日が初めてなんだけど……ひ、ひと違いじゃないのかな……」
この問いに、ガレディが真面目な表情で返す。
「ナミアさん、あのヤンダークという男は、そういう人間なのです。我々の基準で測ってはいけない。彼は……そうですね、異星人だと思うくらいでちょうどいい」
「……異星人」
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