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しおりを挟む「ずいぶん素直な体だな。だが、それでいい」
「よく、なぃ……ッあ♥ ンぁ♥♥♥」
体温が上昇して薄く汗がにじみ、フリューゲルの手が自分の肌に吸いつくのがわかった。
駄目なのに、イケナイのに、もっとしてほしい――と願ってしまう。そんな欲求が、ますます下腹部を熱くしていく。
佐緒里の耳を嬲っていた彼の唇が今度は首に移り、そこに舌を這わせた。
「ァ、あ……っ♥♥」
ただそれだけのことで、ひどくはしたない喘ぎが漏れた。
相手の舌の熱さに、思考が溶かされていく。
男の手が、いやらしい手付きで佐緒里の乳房を揉みしだいた。
黒のスーツに身を包み、性的なことには無縁そうに見えたフリューゲルのそんな獣じみた行動に、どうしてか心を掻き乱される。ふたりの行為に恋愛感情がないのはわかっていたが、不思議と、彼から性的に扱われることは嫌ではなかった。
衣服のしたで、己の胸が彼の手によって淫らに形を変えている。それを自覚するだけで、体の芯が震えるようだった。
すると、不意にフリューゲルの手が胸から離れ、佐緒里の腹をすべり、下半身へと降りていく。
「あっ……♥」
肢体が次の快感を予測して、はしたない期待の声をあげた。
どうして自分の体がこんなにも彼に従順になってしまうのかが、わからない。だが、フリューゲルに対して嫌悪感が湧いてこないのは紛れもない事実だった。
彼の手が佐緒里のショートパンツのファスナーをおろし、下着に指先を入れる。
無骨な手は、どうしようもなく『男のひとの手』だと感じさせた。それを意識するだけで、己の腹の奥が切なく疼く。
佐緒里の秘部に触れて、フリューゲルは小さく笑った。
「濡らしすぎだ」
言って、指先でそこを優しく愛撫する。彼の指がこすれると、そこからは湿った淫猥な音が響いた。
愉楽に溶けていく自身の肉体と、耳に届く水音が恥ずかしくて、死んでしまいそうになる。その羞恥心をさらに快感が包み込んで、佐緒里を大きな法悦の渦へと引きずり込んでいった。
「ふぁ、ァッ♥♥♥ だめ、だめ……ッ♥♥♥♥」
「ここをこんなにしておいて、なにが駄目なんだ。ほら、どんどん溢れてくるぞ。わかるか?」
「わか、らな……ッ♥♥♥」
焦らすふうに、男の指先が膣口を優しく撫でる。それだけで自分のそこがはしたなく蠢くのがわかった。
恥ずかしいのに、そこへ指を入れてほしくてたまらなくなる。節くれ立った長い指を奥まで沈めて、イケナイところを掻きまわしてほしい。
そう願ってやまないのに、彼は陰部を優しく優しく愛撫するばかりで、それより先の行為には一切すすんでくれなかった。
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