婚約破棄された令嬢は魔法で仕返しいたします!

チーズたると

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「お前、人生楽しそうでいいなぁ」
「婚約破棄されたばっかりの女に、それ言う?」

「でも、傷付いてはないだろ?」
「当然よ。あんなやつに傷付けられるような、やわなメンタルは持ち合わせてないわ」

「おてんばも、ここまで来ると清々しいな」
「ふん、褒めてもなにも出ないわよ」

「いや、褒めてるわけじゃねーんだが。っつーと、あれか。お前の婚約者はまわりの連中を騙して、自分の信頼性は維持したままお前に婚約破棄を言い渡したってわけかい」

「おまけに、私を悪者にしてね」
「悪者?」

「そう。私が頻繁に城を抜け出して街へ出かけるのは浮気をしているからだって噂を城に流したらしいのよ。ま、そうなればあいつが私に婚約破棄を突き付けるのは自然な流れになるわよね」

 この言葉に、シャールは眉根を寄せた。

「それは……なんつーか、いくらなんでも性格悪すぎねぇか? お前、当事者なのによくそんなあっけらかんとしていられるな」

「絶対に仕返ししてやるって、心に決めてるもの。このまま泣き寝入りなんて、私のプライドが許さないわ」
「まぁ、泣き寝入りしそうなタイプでもねぇけどな」

 言って、彼は少し考える素振りを見せる。

「……なぁ、それ、ちょっとくらいなら協力してやってもいいぜ」

 そんなことを返されるとは予想していなかったマーガレットは、目で相手に問い掛けた。
 シャールは小さく肩を竦めてから、継ぐ。

「国に追われるようなオオゴトを任されんのはさすがにごめんだが、ちっとくらいならフォローしてやってもいい。同じ男としてその婚約相手は腹立つし、あんたのことも気に入ったしな」

「あら、てっきり報酬目当てなのかと思ったけど」
「それも少し期待してる」

「正直ね。ま、いいわ。協力者がいるのは有難いし、私もあなたが気に入ったしね。でも、肝心のあなたの実力がまだ未知数なんだけど。今のところ、弓矢がうまくて魔法で炎が出せてログハウスを造れる男ってことしか、わからないわ」

「性格のいいイケメンって項目も、付け加えといてくれや。ついでに言うと、ひとり暮らしだから家事も出来る。家庭的でいい男だぜ」

「それ、ギャレオスへの仕返しに役立つかしら?」

「立たねぇだろうな。だが、こう見えても国の戦士として仕えてた時期もあるから、単純な勢力はそこそこ高いぜ。魔法も、比較的器用に色々使えるほうだと思う」

 相手の言葉に、マーガレットは目をしばたたいた。

「……国の戦士って?」

「このあたりの国じゃねーけど、城に仕える戦士やってた頃もあるんだよ。もっとも、魔法を使えるやつの風当たりの強さにうんざりして、長くは続かなかったんだが。信じられねぇってんなら、いっぺん手合わせしてみるか?」


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