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第2章 藍の眼と月詠の探偵
第27話 藍良の直感
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放課後、藍良と千景、そして転校生の兼翔は三人で体育館裏にいた。木漏れ日がきらきらと差し込み、心地よい風が頬を撫でる。今日は暑すぎもせず、穏やかな午後。だが空気はどこかぎこちない。千景と兼翔は互いに一言も発さず、目も合わせない状態が続いていたのだ。
そんな重い空気を裂くように、足元からしゅるりとタマオが現れる。
藍良はふっと微笑んで抱き上げると、タマオは安心したように腕に巻きついた。だが兼翔を見るなり、つぶらな瞳をぱちぱちと瞬かせ、不思議そうに首をかしげる。
「タマオ。この人は橘兼翔。最高審問官が派遣した、新しい死神審問官なんだって。これから一緒にユエを追うことになったの」
藍良の説明に、タマオはにょろっと兼翔に向き直り、彼をまじまじと見つめた。
「ほうほう、兼翔というのか。なかなか鋭い眼光をしておるな。わしはタマオ。よろしゅう頼む」
ぺこり、ぺこりと小さく頭を下げるタマオ。
その愛らしい様子に思わず藍良が笑みをこぼす中、兼翔は姿勢を正し、タマオに向かって深々と礼を返した。
「こちらこそ、よろしく頼む」
あまりに端正な仕草に、藍良は目を見張る。千景とは反りが合わないが、この兼翔、意外と律儀な死神なのかもしれない。すると、兼翔が咳払いをひとつ。ようやく千景に向き直る。
「それで?さっきお前が言っていた『ユエに迫っている』とはどういう意味だ?」
兼翔は木に背を預け、気だるげに千景へ問いかけた。千景は淡々と頷くと、状況を語り始める。
ユエは藍良のクラスの男子生徒に成り代わっていること。
その男子生徒は昨日の昼休み、誰にも姿を見られていないこと。
「それが誰なのか、藍良が咲ちゃんに確認してくれた」
千景の目配せに、藍良は小さく頷き、制服のポケットから手のひらサイズのメモ帳を取り出した。咲から聞いた証言を、こっそり書き留めていたのだ。
タマオが興味津々とばかりに丸い瞳で覗き込む中、藍良はコホンと咳払いしてメモの内容を読み上げる。
「咲が言うにはね、昨日の昼休みに教室からひとりで姿を消した男子は三人いたみたい」
藍良は顔を上げ、千景と兼翔を交互に見る。
「一人目は音羽莉比人、二人目は朝比奈辰巳、三人目は榊優太。みんな普段から一人でいることが多い、一匹狼タイプって感じかな」
「……その三人だけ?」
千景の問いに、藍良は深く頷いた。
そう、昨日このたった三人だけが、昼休み中ひとりでいた。つまり、アリバイがないのだ。
「大分絞れたの!たった三人とは!ユエの確保も目前じゃ!」
藍良と千景は目を見合わせて笑う。
「それで?その三人はどんな奴なんだ?」
兼翔の問いに、藍良は指を折りながら答えた。
「音羽は大人しい優等生タイプ。勉強はできるけど、とにかく無口なの。朝比奈は基本陽気なんだけど、誰かと群れるのが嫌いみたい。いつも音楽聴いたり、ノートに絵を描いたりしてる。ちょっと変わり者って感じかな。榊は不良。去年までは学年の不良グループと一緒にいたみたいだけど、喧嘩したのかトラブルがあったのか……とにかくそれ以来、いつも一人でいるの。喧嘩もめちゃくちゃ強いみたいで、怖くて誰も近づかない」
「見事に、全員タイプがバラバラだね」
「で、どう探る?」
「僕が確かめる」
千景は冷静に、そう即答した。
「多分、それが一番近道だと思う」
「ほう。どうユエの正体を突き止めると?」
「虚映ノ鏡の話を持ち出す」
兼翔の眉がピクリと動いた。
「『神気を宿す存在を映さない特殊な鏡』──ユエは虚映ノ鏡を壊したと思ってる。不意に鏡の話をすれば、きっと動揺するはずだ」
「だが、千景よ。そう都合よく動揺するか?あの黒標対象が、簡単に顔に出すとは思えんのじゃが」
すると、千景がぬっと懐から静かに鏡を取り出した。その鏡は直径十五センチほど。持ち手が黒く塗られていて、形はまるであの「虚映ノ鏡」だ。
「ち、千景。それってまさか……」
驚く藍良に、千景はくすりと微笑みを返す。
「よく似てるでしょ。偽物だよ。形が似てるから使えるかなって思って持ってきちゃった。これを見せれば、流石のユエも動揺するかなって思って」
千景は鏡の持ち手をくるりと回し、鏡の面を藍良にかざした。そこには制服姿の藍良と背後に揺らめく新緑が鮮やかに映りこんでいる。
確かに、ユエは虚映ノ鏡をかなり警戒していた。割ったはずの鏡を目の前で見せられたら、流石に驚きを隠しきれないだろう。
「うまくいけば、明日ユエの正体を暴ける」
その言葉が放たれた瞬間、空気がぴんと張りつめる。藍良は反射的に息を呑み、静かに呼吸を整えた。
すると、千景が藍良の腕へと目を落とす。そして、腕に巻きついているタマオに、屈み込んで問いかけた。
「タマオ、藤堂先生に変わった様子はあった?」
「千景よ。藤堂のヤツ、やはり臭うぞ」
タマオは「ふっふっふ」と喉を鳴らすと、得意げに目を細めた。
ここ数日、ユエの標的である藤堂の監視を、タマオがしてくれていたのだ。
「藤堂?何者だ」
兼翔は首を傾げる。藍良は藤堂が隣のクラスの担任だと伝えた。
年齢は三十代で専門科目は体育。陽気な性格で藍良の学年では人気の高い教師なのだが──。
藍良は以前、千景、タマオとともに藤堂の不審な行動を目撃していた。
今、藍良たちがいるこの体育館裏で、藤堂は用務員から金と引き換えに、学園のマスターキーを受け取っていたのだ。
「藤堂先生のこと、詳しく教えて!タマオ!」
思わず早口になる藍良。タマオは腕に巻きついたまま、静かに語り始めた。
タマオによると、藤堂は他の教員たちの目を盗んで、例のマスターキーを使い、あらゆる教室へ出入りしていたらしい。
視聴覚室、生徒会室、英語準備室……。
どれも、体育教師の藤堂とは無縁の場所。そこで、彼は入るなり机の中にスマホのライトをかざしたり、机ごと持ち上げて裏側を確認。椅子もひっくり返して、座面の裏まで念入りに確認していたという。
いくつかの教室を見回ったあと、目的を果たせなかったのか、藤堂は舌打ちをしてこう悪態を吐いたという。
──あのガキ。ふざけやがって。
「何をしているんだ?その藤堂は」
兼翔が眉をひそめる。千景はしばし俯き、考え込むように黙り込んだあと、呟くように言った。
「……やっぱり、藤堂先生は何かを探してるんだ」
「探す?」
「紙か写真……あるいは、落書きかも。机の中はともかく、裏側や椅子の座面まで確認してたのは、そこに隠されている可能性があると思ったからだ。そして、お目当ての物は、そこに隠せるくらい小さなものだ」
「確かに、そんな感じの探し方だよね」
藍良は小さく頷きながら、顎に手を当てて考え込む。
藤堂先生が探しているのは「小さなもの」
紙か写真か、落書き……。
そのとき、ふと藍良の瞳に新緑の木漏れ日が差し込んだ。
きらきらと揺れる葉。それが目に入った瞬間、藍良の脳裏に一ヶ月前の記憶が蘇った。
それは、この体育館裏で目にした、あの光景。
「……ねえ、ちょっと思ったんだけど」
皆の視線が、一斉に藍良に集まる。
「藤堂先生、誰かに脅されてたのかも」
次の瞬間、場に沈黙が落ちた。風がさらりと吹き抜けたのと同時に、藍良は急に恥ずかしくなって頭を掻き、苦笑する。
「ご、ごめん。なに言ってるんだろう。ただの直感だから、気にしないで」
「藍良」
呼ばれて顔を上げると、千景は思いがけず真剣な眼差しを藍良に向けていた。
「どうしてそう思ったの?」
「え?」
「きっと理由があるんだよね。恥ずかしがらなくて大丈夫。話してみて」
──きゅん。
千景の不意な言葉に、小さく跳ねる鼓動。藍良はちょっぴり照れつつ、頷いて口を開いた。
「前にね、ここで女子がカツアゲされてるところ見かけたの。その子はヤバい写真をネタにお金を取られそうになってて……結局未遂で終わったんだけど。藤堂先生も小さな物を探してたかもしれないんだよね。それももしかしたら写真かもしれないって思ったら、そのときのことを思い出しちゃって。それに先生の『あのガキ、ふざけやがって』って言ってたんだよね?『ガキ』ってことは、先生じゃなくて、きっと生徒のことだよ。だからもしかしたら……」
「カツアゲか……」
兼翔が口を挟む。
「そんなことをする輩が学園内にいるとはな。とはいえ、そんな“ワル”は相当限られる。お前が見かけたその生徒が、藤堂を脅していたのかもしれん。一応調べてみるか?」
しんと静まる空気。
藍良は不安げに千景を見上げる。
「藍良?」
「どうしたのじゃ?」
千景とタマオの声に背を押されるように、藍良は口を開いた。
「……そのカツアゲしていた生徒は、もうこの学園にはいないの」
兼翔の目が鋭く見開かれる。
この推測が何を意味するのか。自分でもわからないまま、藍良は自らの直感に従うように、恐る恐る呟いた。
「その生徒は竜崎玲奈。一ヶ月前……ユエに殺された、被害者だから」
そんな重い空気を裂くように、足元からしゅるりとタマオが現れる。
藍良はふっと微笑んで抱き上げると、タマオは安心したように腕に巻きついた。だが兼翔を見るなり、つぶらな瞳をぱちぱちと瞬かせ、不思議そうに首をかしげる。
「タマオ。この人は橘兼翔。最高審問官が派遣した、新しい死神審問官なんだって。これから一緒にユエを追うことになったの」
藍良の説明に、タマオはにょろっと兼翔に向き直り、彼をまじまじと見つめた。
「ほうほう、兼翔というのか。なかなか鋭い眼光をしておるな。わしはタマオ。よろしゅう頼む」
ぺこり、ぺこりと小さく頭を下げるタマオ。
その愛らしい様子に思わず藍良が笑みをこぼす中、兼翔は姿勢を正し、タマオに向かって深々と礼を返した。
「こちらこそ、よろしく頼む」
あまりに端正な仕草に、藍良は目を見張る。千景とは反りが合わないが、この兼翔、意外と律儀な死神なのかもしれない。すると、兼翔が咳払いをひとつ。ようやく千景に向き直る。
「それで?さっきお前が言っていた『ユエに迫っている』とはどういう意味だ?」
兼翔は木に背を預け、気だるげに千景へ問いかけた。千景は淡々と頷くと、状況を語り始める。
ユエは藍良のクラスの男子生徒に成り代わっていること。
その男子生徒は昨日の昼休み、誰にも姿を見られていないこと。
「それが誰なのか、藍良が咲ちゃんに確認してくれた」
千景の目配せに、藍良は小さく頷き、制服のポケットから手のひらサイズのメモ帳を取り出した。咲から聞いた証言を、こっそり書き留めていたのだ。
タマオが興味津々とばかりに丸い瞳で覗き込む中、藍良はコホンと咳払いしてメモの内容を読み上げる。
「咲が言うにはね、昨日の昼休みに教室からひとりで姿を消した男子は三人いたみたい」
藍良は顔を上げ、千景と兼翔を交互に見る。
「一人目は音羽莉比人、二人目は朝比奈辰巳、三人目は榊優太。みんな普段から一人でいることが多い、一匹狼タイプって感じかな」
「……その三人だけ?」
千景の問いに、藍良は深く頷いた。
そう、昨日このたった三人だけが、昼休み中ひとりでいた。つまり、アリバイがないのだ。
「大分絞れたの!たった三人とは!ユエの確保も目前じゃ!」
藍良と千景は目を見合わせて笑う。
「それで?その三人はどんな奴なんだ?」
兼翔の問いに、藍良は指を折りながら答えた。
「音羽は大人しい優等生タイプ。勉強はできるけど、とにかく無口なの。朝比奈は基本陽気なんだけど、誰かと群れるのが嫌いみたい。いつも音楽聴いたり、ノートに絵を描いたりしてる。ちょっと変わり者って感じかな。榊は不良。去年までは学年の不良グループと一緒にいたみたいだけど、喧嘩したのかトラブルがあったのか……とにかくそれ以来、いつも一人でいるの。喧嘩もめちゃくちゃ強いみたいで、怖くて誰も近づかない」
「見事に、全員タイプがバラバラだね」
「で、どう探る?」
「僕が確かめる」
千景は冷静に、そう即答した。
「多分、それが一番近道だと思う」
「ほう。どうユエの正体を突き止めると?」
「虚映ノ鏡の話を持ち出す」
兼翔の眉がピクリと動いた。
「『神気を宿す存在を映さない特殊な鏡』──ユエは虚映ノ鏡を壊したと思ってる。不意に鏡の話をすれば、きっと動揺するはずだ」
「だが、千景よ。そう都合よく動揺するか?あの黒標対象が、簡単に顔に出すとは思えんのじゃが」
すると、千景がぬっと懐から静かに鏡を取り出した。その鏡は直径十五センチほど。持ち手が黒く塗られていて、形はまるであの「虚映ノ鏡」だ。
「ち、千景。それってまさか……」
驚く藍良に、千景はくすりと微笑みを返す。
「よく似てるでしょ。偽物だよ。形が似てるから使えるかなって思って持ってきちゃった。これを見せれば、流石のユエも動揺するかなって思って」
千景は鏡の持ち手をくるりと回し、鏡の面を藍良にかざした。そこには制服姿の藍良と背後に揺らめく新緑が鮮やかに映りこんでいる。
確かに、ユエは虚映ノ鏡をかなり警戒していた。割ったはずの鏡を目の前で見せられたら、流石に驚きを隠しきれないだろう。
「うまくいけば、明日ユエの正体を暴ける」
その言葉が放たれた瞬間、空気がぴんと張りつめる。藍良は反射的に息を呑み、静かに呼吸を整えた。
すると、千景が藍良の腕へと目を落とす。そして、腕に巻きついているタマオに、屈み込んで問いかけた。
「タマオ、藤堂先生に変わった様子はあった?」
「千景よ。藤堂のヤツ、やはり臭うぞ」
タマオは「ふっふっふ」と喉を鳴らすと、得意げに目を細めた。
ここ数日、ユエの標的である藤堂の監視を、タマオがしてくれていたのだ。
「藤堂?何者だ」
兼翔は首を傾げる。藍良は藤堂が隣のクラスの担任だと伝えた。
年齢は三十代で専門科目は体育。陽気な性格で藍良の学年では人気の高い教師なのだが──。
藍良は以前、千景、タマオとともに藤堂の不審な行動を目撃していた。
今、藍良たちがいるこの体育館裏で、藤堂は用務員から金と引き換えに、学園のマスターキーを受け取っていたのだ。
「藤堂先生のこと、詳しく教えて!タマオ!」
思わず早口になる藍良。タマオは腕に巻きついたまま、静かに語り始めた。
タマオによると、藤堂は他の教員たちの目を盗んで、例のマスターキーを使い、あらゆる教室へ出入りしていたらしい。
視聴覚室、生徒会室、英語準備室……。
どれも、体育教師の藤堂とは無縁の場所。そこで、彼は入るなり机の中にスマホのライトをかざしたり、机ごと持ち上げて裏側を確認。椅子もひっくり返して、座面の裏まで念入りに確認していたという。
いくつかの教室を見回ったあと、目的を果たせなかったのか、藤堂は舌打ちをしてこう悪態を吐いたという。
──あのガキ。ふざけやがって。
「何をしているんだ?その藤堂は」
兼翔が眉をひそめる。千景はしばし俯き、考え込むように黙り込んだあと、呟くように言った。
「……やっぱり、藤堂先生は何かを探してるんだ」
「探す?」
「紙か写真……あるいは、落書きかも。机の中はともかく、裏側や椅子の座面まで確認してたのは、そこに隠されている可能性があると思ったからだ。そして、お目当ての物は、そこに隠せるくらい小さなものだ」
「確かに、そんな感じの探し方だよね」
藍良は小さく頷きながら、顎に手を当てて考え込む。
藤堂先生が探しているのは「小さなもの」
紙か写真か、落書き……。
そのとき、ふと藍良の瞳に新緑の木漏れ日が差し込んだ。
きらきらと揺れる葉。それが目に入った瞬間、藍良の脳裏に一ヶ月前の記憶が蘇った。
それは、この体育館裏で目にした、あの光景。
「……ねえ、ちょっと思ったんだけど」
皆の視線が、一斉に藍良に集まる。
「藤堂先生、誰かに脅されてたのかも」
次の瞬間、場に沈黙が落ちた。風がさらりと吹き抜けたのと同時に、藍良は急に恥ずかしくなって頭を掻き、苦笑する。
「ご、ごめん。なに言ってるんだろう。ただの直感だから、気にしないで」
「藍良」
呼ばれて顔を上げると、千景は思いがけず真剣な眼差しを藍良に向けていた。
「どうしてそう思ったの?」
「え?」
「きっと理由があるんだよね。恥ずかしがらなくて大丈夫。話してみて」
──きゅん。
千景の不意な言葉に、小さく跳ねる鼓動。藍良はちょっぴり照れつつ、頷いて口を開いた。
「前にね、ここで女子がカツアゲされてるところ見かけたの。その子はヤバい写真をネタにお金を取られそうになってて……結局未遂で終わったんだけど。藤堂先生も小さな物を探してたかもしれないんだよね。それももしかしたら写真かもしれないって思ったら、そのときのことを思い出しちゃって。それに先生の『あのガキ、ふざけやがって』って言ってたんだよね?『ガキ』ってことは、先生じゃなくて、きっと生徒のことだよ。だからもしかしたら……」
「カツアゲか……」
兼翔が口を挟む。
「そんなことをする輩が学園内にいるとはな。とはいえ、そんな“ワル”は相当限られる。お前が見かけたその生徒が、藤堂を脅していたのかもしれん。一応調べてみるか?」
しんと静まる空気。
藍良は不安げに千景を見上げる。
「藍良?」
「どうしたのじゃ?」
千景とタマオの声に背を押されるように、藍良は口を開いた。
「……そのカツアゲしていた生徒は、もうこの学園にはいないの」
兼翔の目が鋭く見開かれる。
この推測が何を意味するのか。自分でもわからないまま、藍良は自らの直感に従うように、恐る恐る呟いた。
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