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第3章 心に棲む者と審問の楔
第47話 白夜の月影
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「わかんない」
藍良の言葉が意外だったのか、千景は一瞬目を見張った。だがすぐに、目に力が戻る。また質問をするつもりだ。千景の返事を待たずに、藍良は早口で続けた。
「どうして藤堂先生、そんなこと言ったんだろう。わたしにも、わかんないや。炎なんて見なかったけどなァ~」
藍良はそう言って小さく笑った。千景は無表情のまま、真っ直ぐな視線を向ける。その心の底が読めなくて、藍良は口の中が乾くのを感じた。数秒の沈黙のあと、千景は穏やかに微笑んだ。
「そっか」
藍良は目を泳がせながら、顔を伏せた。千景に嘘を吐いた罪悪感が胸の奥で小さく疼く。
「じゃあ、そのとき何かほかに変わったことはなかった?」
「変わったこと?」
「うん。たとえば、虹色の光が見えた……とか」
藍良はぎくりとした。真白が炎の月詠を放ったときに感じたのだ。瞼の裏を焼くような、虹色の神気を。藍良はごくりと生唾を飲み込むと、ほんの少し間を置いて、こう続けた。
「覚えてないや。ごめん」
すると、千景はどういうわけか、にっこりと微笑んだ。あまりにも澄みきった表情に、藍良は首を傾げる。その表情はまるで子どものようで、掴みどころがなかった。そのとき、タマオが声を上げる。
「まあ、藍良も必死じゃっただろうし、そのときのことを覚えていないのは無理がないことじゃ。千景よ、あの夜の話はこれくらいにしたらどうじゃ」
「そうだね。ごめんね、大変だったのに」
藍良は首を横に振る。すると、千景がそっと手を伸ばし、藍良の頭を撫でた。温かさと優しさがじんわりと伝わる。
「本当に、無事で良かった」
そう言う千景を見ながら、藍良は心の中で「ごめん」と呟いた。そして、藍良は無意識に、右手の薬指にはめられた指輪をそっと撫でる。
「助けてくれて、ありがとう」
藍良は頬を赤らめながら、声を絞りだした。指輪のひんやりした感触が、少しずつ温かさを帯びていく。温かな日差しが、室内の二人(とタマオ)を優しく包み込んでいた。
☽ ☽ ☽
それからあっという間に五日が過ぎた。動物虐待で逮捕された藤堂は、現在拘留中。事実確認と内部調査が進められ、職務停止のまま校内から姿を消した。
「起訴されれば、懲戒免職」
人気のない廊下の隅で、教師たちが声を落としながらそう話しているのが聞こえた。
そして、藤堂の逮捕と同じ日──ユエが化けていた音羽莉比人の遺体が発見された。遺体は、教室外の廊下、ユエが倒れていたあの位置にまるで置き換わるように横たわっていた。目立った外傷もなく、死因は“急性心不全による突然死”とされた。
あまりにも突然すぎる音羽の死は、藤堂の事件以上に生徒たちを混乱させた。咲をはじめ、クラスメイトたちは一様に沈んだ表情を浮かべ、藤堂が担任をしていたC組も涙と噂が絶えなかった。
やがて、この騒ぎを嗅ぎつけたマスコミや動画配信者たちが、学校の周囲に張り付き始めた。
保護者たちは学園に状況説明を求め、教師たちは連日対応に追われた。そして学園は、相次いだ不審死を受け、ついに動いた。
「非常勤のカウンセラーを学年ごとの常勤にする」
これまで週に数回しか来ていなかった非常勤のカウンセラーを、各学年に二人ずつ、常勤として配置したのだ。
それを受け、生徒たちは全員十五分ごとの面談を順番に受けることになった。藍良の番が回ってきたのはこの日の昼下がり。五限目のチャイムが鳴る前のことだった。
「じゃあ、水無瀬さんは特に音羽くんとも、藤堂先生とも接点はなかったのね」
「はい」
新たに設けられた「相談室」は、もともと「備品室」だった。藍良は、この場所を良く知っていた。以前ユエに攫われ、閉じ込められた場所だ。その記憶が不意に蘇り、胸の奥がざわつく。
目の前にいるのは三十代ほどの女性カウンセラーだった。黒縁の眼鏡越しから感じる、穏やかな視線。ストレートの黒髪が薄手のシャツの襟もとでさらりと揺れる。吸い込まれるような白い肌のせいか、口紅の赤が一層映えて見えた。バインダーを膝に乗せ、さらさらと何かを書きつける音だけが、室内に静かに響いている。
「水無瀬さんは、藤堂先生のこと、どう思ってた?」
胸の奥から何か重いものがせり上がってくる。元々、藍良は藤堂に好印象を持っていた。一生懸命で、面白くて、生徒にも優しかった。そんな先生が、猫を傷付けるようなことをするなんて。
「藤堂先生、噂で奥さんと別居してるって……お母さんの介護もしているって聞きました」
藍良は静かに言う。
「藤堂先生のこと、深くは知らないけど……きっと、ひとりじゃ抱えきれないなにか大きなものを背負っていたんだと思います。人には簡単に相談できないような……。したことは許されないけど、心のケアも必要なんじゃないかなって」
女性は、わずかに身を乗り出した。
「……しっかりしてるのね」
「え?」
「藤堂先生のこと、そう言ったのはあなたが初めて。普通は“裏切られた”とか“許せない”とか、そういう感情が前に出てくるものだけど、ケアが必要まで言えるのは、彼の罪と背景を分けて考えているってことだから」
藍良は静かに頷く。自分が分析されているような気持ちになり、戸惑いを覚える。
「水無瀬さん、藤堂先生のこと、あまり知らなかったなんて思えない」
「いえ、本当に知らなくて。ただ、なんていうか……」
藍良は視線を落とす。思い返していたのは、藤堂に襲われたときのことではなかった。それよりもずっと昔の記憶。母・梓のことだった。
「わたし、お母さんが交通事故で死んでるんです」
突然の告白に、女性はバインダーを下ろし、藍良を見つめた。
「事故を起こした人はわき見運転だったそうです。わたしは、その人のことが許せなかったけど、お父さんは涙を流して謝ってきたその人を許したんです。あとから聞いた話ですけど、その人はテレビ局に勤めていて、仕事が忙しくて、その日も徹夜だったそうです。そのテレビ局、過去にも過労で倒れた人が何人もいて。よく報道もされてました。お父さんはきっと、それを知って許したんだと思いました。そのとき、人にはいろんな事情があって、ひと言では語りきれなくて、それがときに、悪い方向に向かってしまうこともあるって知りました。“ひとつの罪”だけで切り捨てられないことも、きっとある。その人は結局、テレビ局を辞めて今は何をしているのかわかりません。でも、お母さんの命日には、毎年必ず花を届けてくれます」
「そう……なのね」
藍良は膝の上に乗せた手をぎゅっと握りしめる。
「そんなことがあって、わたし……将来は法律にかかわる仕事がしたいって思ったんです。法律は人を裁くもの。それと同時に、わたしたちを守るために、公平な裁きを行うための基準。どうしてその人が罪を犯したのか、それを間近で見極めることができる。誰かの役に立てるかどうかまではわからないけど、そういう場所で、法律を通じて、人間を真っ直ぐ見つめたいんです」
ここまで言って、藍良は顔を上げた。女性は目を丸くして、藍良を見返していた。その反応に気付いた途端、藍良は途端に恥ずかしくなり、両手を顔の前でパタパタと振る。
「すみません。どうしたんだろう、わたし。全然関係ない話しちゃった。だから、つまり、えっと……」
小さく息を飲み込むと、藍良は真っ直ぐに女性を見つめた。
「その人と同じように、罪を償って立ち直って欲しいです。藤堂先生も」
女性は暫く黙ったあと、静かに頷いた。
「そうね」
柔らかな声が返ってくる。その瞬間、再び女性の手が動き、バインダーに何かを書き込んでいった。ペンの擦れる音が、やけに耳に残る。
そのとき、五限目を知らせるチャイムが鳴り響いた。
「やばっ!戻らないと!」
藍良は慌てて立ち上がり、相談室の扉を開けた。振り返り、女性に深く頭を下げる。
「ありがとうございました」
「こちらこそ。良かったら、気が向いたときに遊びに来て」
「え?」
思わぬ言葉に藍良は顔を上げ、首を傾げる。すると、女性は柔らかく微笑んだ。
「ちょっと心が重いなって思ったときは、世間話でもいいから。気軽に話しに来てね」
藍良は一瞬考える。普段は誰にも話さない母の死のことを口にしたせいで、心配をかけてしまったのかもしれない。けれど、きっとこの人なりに気を遣ってくれたのだろう。そう思い、藍良は微笑みを向けた。
「はい。そのときは、よろしくお願いします」
頭を上げた瞬間、女性の胸元で透明ケースが微かに揺れる。窓から差し込む日差しを受け、透明ケースに入った名札の文字がきらりと光った。
──臨床心理士 花倉真澄
藍良は軽く会釈し、小走りでその場を去る。心の内を話せたからか、胸の奥は少しだけ軽くなっていた。
☽ ☽ ☽
扉の閉まる音が静かに消える。花倉は、扉をじっと見つめたまま微笑を消した。ゆっくりと椅子に腰を下ろし、バインダーを開く。白い指が、そこに記された文字をゆっくりとなぞっていく。
──3年A組 水無瀬藍良
「……この子が藤堂と関わっていたのは、体育の授業だけ。それなのに、あそこまで踏み込んだ発言をするなんて……考え過ぎかしらね」
花倉はバインダーを机の上に置いて、窓を見た。青空に浮かぶ昼の月が、かすかに光を放っている。花倉は愛おしそうに月を見つめ、こう呟いた。
「必ずあなたを見つけだす。待っててね──ユエ」
藍良の言葉が意外だったのか、千景は一瞬目を見張った。だがすぐに、目に力が戻る。また質問をするつもりだ。千景の返事を待たずに、藍良は早口で続けた。
「どうして藤堂先生、そんなこと言ったんだろう。わたしにも、わかんないや。炎なんて見なかったけどなァ~」
藍良はそう言って小さく笑った。千景は無表情のまま、真っ直ぐな視線を向ける。その心の底が読めなくて、藍良は口の中が乾くのを感じた。数秒の沈黙のあと、千景は穏やかに微笑んだ。
「そっか」
藍良は目を泳がせながら、顔を伏せた。千景に嘘を吐いた罪悪感が胸の奥で小さく疼く。
「じゃあ、そのとき何かほかに変わったことはなかった?」
「変わったこと?」
「うん。たとえば、虹色の光が見えた……とか」
藍良はぎくりとした。真白が炎の月詠を放ったときに感じたのだ。瞼の裏を焼くような、虹色の神気を。藍良はごくりと生唾を飲み込むと、ほんの少し間を置いて、こう続けた。
「覚えてないや。ごめん」
すると、千景はどういうわけか、にっこりと微笑んだ。あまりにも澄みきった表情に、藍良は首を傾げる。その表情はまるで子どものようで、掴みどころがなかった。そのとき、タマオが声を上げる。
「まあ、藍良も必死じゃっただろうし、そのときのことを覚えていないのは無理がないことじゃ。千景よ、あの夜の話はこれくらいにしたらどうじゃ」
「そうだね。ごめんね、大変だったのに」
藍良は首を横に振る。すると、千景がそっと手を伸ばし、藍良の頭を撫でた。温かさと優しさがじんわりと伝わる。
「本当に、無事で良かった」
そう言う千景を見ながら、藍良は心の中で「ごめん」と呟いた。そして、藍良は無意識に、右手の薬指にはめられた指輪をそっと撫でる。
「助けてくれて、ありがとう」
藍良は頬を赤らめながら、声を絞りだした。指輪のひんやりした感触が、少しずつ温かさを帯びていく。温かな日差しが、室内の二人(とタマオ)を優しく包み込んでいた。
☽ ☽ ☽
それからあっという間に五日が過ぎた。動物虐待で逮捕された藤堂は、現在拘留中。事実確認と内部調査が進められ、職務停止のまま校内から姿を消した。
「起訴されれば、懲戒免職」
人気のない廊下の隅で、教師たちが声を落としながらそう話しているのが聞こえた。
そして、藤堂の逮捕と同じ日──ユエが化けていた音羽莉比人の遺体が発見された。遺体は、教室外の廊下、ユエが倒れていたあの位置にまるで置き換わるように横たわっていた。目立った外傷もなく、死因は“急性心不全による突然死”とされた。
あまりにも突然すぎる音羽の死は、藤堂の事件以上に生徒たちを混乱させた。咲をはじめ、クラスメイトたちは一様に沈んだ表情を浮かべ、藤堂が担任をしていたC組も涙と噂が絶えなかった。
やがて、この騒ぎを嗅ぎつけたマスコミや動画配信者たちが、学校の周囲に張り付き始めた。
保護者たちは学園に状況説明を求め、教師たちは連日対応に追われた。そして学園は、相次いだ不審死を受け、ついに動いた。
「非常勤のカウンセラーを学年ごとの常勤にする」
これまで週に数回しか来ていなかった非常勤のカウンセラーを、各学年に二人ずつ、常勤として配置したのだ。
それを受け、生徒たちは全員十五分ごとの面談を順番に受けることになった。藍良の番が回ってきたのはこの日の昼下がり。五限目のチャイムが鳴る前のことだった。
「じゃあ、水無瀬さんは特に音羽くんとも、藤堂先生とも接点はなかったのね」
「はい」
新たに設けられた「相談室」は、もともと「備品室」だった。藍良は、この場所を良く知っていた。以前ユエに攫われ、閉じ込められた場所だ。その記憶が不意に蘇り、胸の奥がざわつく。
目の前にいるのは三十代ほどの女性カウンセラーだった。黒縁の眼鏡越しから感じる、穏やかな視線。ストレートの黒髪が薄手のシャツの襟もとでさらりと揺れる。吸い込まれるような白い肌のせいか、口紅の赤が一層映えて見えた。バインダーを膝に乗せ、さらさらと何かを書きつける音だけが、室内に静かに響いている。
「水無瀬さんは、藤堂先生のこと、どう思ってた?」
胸の奥から何か重いものがせり上がってくる。元々、藍良は藤堂に好印象を持っていた。一生懸命で、面白くて、生徒にも優しかった。そんな先生が、猫を傷付けるようなことをするなんて。
「藤堂先生、噂で奥さんと別居してるって……お母さんの介護もしているって聞きました」
藍良は静かに言う。
「藤堂先生のこと、深くは知らないけど……きっと、ひとりじゃ抱えきれないなにか大きなものを背負っていたんだと思います。人には簡単に相談できないような……。したことは許されないけど、心のケアも必要なんじゃないかなって」
女性は、わずかに身を乗り出した。
「……しっかりしてるのね」
「え?」
「藤堂先生のこと、そう言ったのはあなたが初めて。普通は“裏切られた”とか“許せない”とか、そういう感情が前に出てくるものだけど、ケアが必要まで言えるのは、彼の罪と背景を分けて考えているってことだから」
藍良は静かに頷く。自分が分析されているような気持ちになり、戸惑いを覚える。
「水無瀬さん、藤堂先生のこと、あまり知らなかったなんて思えない」
「いえ、本当に知らなくて。ただ、なんていうか……」
藍良は視線を落とす。思い返していたのは、藤堂に襲われたときのことではなかった。それよりもずっと昔の記憶。母・梓のことだった。
「わたし、お母さんが交通事故で死んでるんです」
突然の告白に、女性はバインダーを下ろし、藍良を見つめた。
「事故を起こした人はわき見運転だったそうです。わたしは、その人のことが許せなかったけど、お父さんは涙を流して謝ってきたその人を許したんです。あとから聞いた話ですけど、その人はテレビ局に勤めていて、仕事が忙しくて、その日も徹夜だったそうです。そのテレビ局、過去にも過労で倒れた人が何人もいて。よく報道もされてました。お父さんはきっと、それを知って許したんだと思いました。そのとき、人にはいろんな事情があって、ひと言では語りきれなくて、それがときに、悪い方向に向かってしまうこともあるって知りました。“ひとつの罪”だけで切り捨てられないことも、きっとある。その人は結局、テレビ局を辞めて今は何をしているのかわかりません。でも、お母さんの命日には、毎年必ず花を届けてくれます」
「そう……なのね」
藍良は膝の上に乗せた手をぎゅっと握りしめる。
「そんなことがあって、わたし……将来は法律にかかわる仕事がしたいって思ったんです。法律は人を裁くもの。それと同時に、わたしたちを守るために、公平な裁きを行うための基準。どうしてその人が罪を犯したのか、それを間近で見極めることができる。誰かの役に立てるかどうかまではわからないけど、そういう場所で、法律を通じて、人間を真っ直ぐ見つめたいんです」
ここまで言って、藍良は顔を上げた。女性は目を丸くして、藍良を見返していた。その反応に気付いた途端、藍良は途端に恥ずかしくなり、両手を顔の前でパタパタと振る。
「すみません。どうしたんだろう、わたし。全然関係ない話しちゃった。だから、つまり、えっと……」
小さく息を飲み込むと、藍良は真っ直ぐに女性を見つめた。
「その人と同じように、罪を償って立ち直って欲しいです。藤堂先生も」
女性は暫く黙ったあと、静かに頷いた。
「そうね」
柔らかな声が返ってくる。その瞬間、再び女性の手が動き、バインダーに何かを書き込んでいった。ペンの擦れる音が、やけに耳に残る。
そのとき、五限目を知らせるチャイムが鳴り響いた。
「やばっ!戻らないと!」
藍良は慌てて立ち上がり、相談室の扉を開けた。振り返り、女性に深く頭を下げる。
「ありがとうございました」
「こちらこそ。良かったら、気が向いたときに遊びに来て」
「え?」
思わぬ言葉に藍良は顔を上げ、首を傾げる。すると、女性は柔らかく微笑んだ。
「ちょっと心が重いなって思ったときは、世間話でもいいから。気軽に話しに来てね」
藍良は一瞬考える。普段は誰にも話さない母の死のことを口にしたせいで、心配をかけてしまったのかもしれない。けれど、きっとこの人なりに気を遣ってくれたのだろう。そう思い、藍良は微笑みを向けた。
「はい。そのときは、よろしくお願いします」
頭を上げた瞬間、女性の胸元で透明ケースが微かに揺れる。窓から差し込む日差しを受け、透明ケースに入った名札の文字がきらりと光った。
──臨床心理士 花倉真澄
藍良は軽く会釈し、小走りでその場を去る。心の内を話せたからか、胸の奥は少しだけ軽くなっていた。
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扉の閉まる音が静かに消える。花倉は、扉をじっと見つめたまま微笑を消した。ゆっくりと椅子に腰を下ろし、バインダーを開く。白い指が、そこに記された文字をゆっくりとなぞっていく。
──3年A組 水無瀬藍良
「……この子が藤堂と関わっていたのは、体育の授業だけ。それなのに、あそこまで踏み込んだ発言をするなんて……考え過ぎかしらね」
花倉はバインダーを机の上に置いて、窓を見た。青空に浮かぶ昼の月が、かすかに光を放っている。花倉は愛おしそうに月を見つめ、こう呟いた。
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