君に会うためにここに居た気がする

紫陽さらり

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メリーハッピーエンド

僕でよければ

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 彼に触れるのが好きだ。
 彼が、ひやりとする僕の感触を感じるのが好きだと言いながら雄の視線を向けてくれるから。
 彼の指示に従いながら、指先を肌に這わせると くすぐったそうに時折身を捩る。そんな彼を見ていると、僕まで興奮してくる気がしているのに、なんの兆しもない己の体にげんなりする事を除けば最高の気分だ。

 胸の突起を指先で優しく引っ掻くと、彼は切ない顔でピクリと揺れる。

「舐めて」

 そろりと舌を這わせると、彼は愛おしそうに僕の頭の位置に手を出してゆっくり上下に撫でてくれた。当然、その手の感覚は分からないけれど、彼の気持ちが嬉しかった。

『……しゅき……すきですしゅきれす

 ぺろぺろと舌を這わせ 甘噛みしながら伝えると、彼も好きだと返してくれる。

「もっと下も、できそ?」

 先程からやけに立派な雄峰が下方で主張していたけれど……本当に男の僕が……幽霊の僕が……彼を気持ち良くなんて出来るのだろうか?

『気持ち悪く思ったらすぐに止めるので……我慢せず教えてくださいね……?』
「好きな子に舐めてもらって気持ち悪いわけないでしょ」

 彼の昂りに舌を這わせ、ゆっくりと口いっぱいに頬張る。
 彼の表情は冷気に耐えているようにも、快感に耐えているようにも見えて 続けてしまって大丈夫なのか少しばかり不安になった。

「……っ……やっぱ冷てぇな。フッ……んな心配そうな顔しなくても大丈夫、きもちいいよ」
大丈夫らいじょうふ?』
「ん。そんなかわいい顔されるとすぐイきそ」

 裏筋を舌先でなぞりながら感じられるのは、ドクドクと波打つ血管や彼の香り、鈴口から溢れる蜜の味や汗をかくほどの熱も実感することが出来ない事が悔しいと言う感情だった。

「あんた上手だよ。すげぇ気持ちい」

 彼は恍惚な表情を浮かべながら僕を撫でる動きを見せてくれる。その優しい動きが嬉しくて愛おしい。

「あー……挿れてぇ……」

 彼の呟いた言葉に、僕は少しだけ戸惑った。
 僕が意識して触る感覚は少なからず彼に伝わっているのだから、そういった行為も出来なくは無いかもしれない。けれど、僕は何も感じないのに彼を気持ち良くしてあげることが出来るだろうか?
 遥か昔にうっすら見た記憶のあるAVみたいな情慾をそそる恍惚とした表情も、気持ち良いと鳴くことも出来ない僕で……満足してもらうことなんか出来るんだろうか?

『……僕相手じゃつまらないかも知れないですよ?』

 耳元にそっと囁くと、彼は更なる硬度を高めながら「ヤってみなきゃわかんないだろ」とニヤリと笑った。
 僕のおしりの辺りに手が届いて、この辺か……なんてまさぐる動きが僕の透けた体を通して見えている。それが何とも恥ずかしくて、虚しくて切ない。

『解したりは必要無いので……あの……僕が動いてもいいですか?』
「へぇー……あんたが動いてくれんだ?」
『下手かもしれないですけど……がんばります』

 後孔の空洞と波打つ血管を意識しながら、彼の昂りをゆっくりと挿入する。
 
「……ッ……ぁ~……」
 
 小さく呻く彼の気持ち良さそうな、満足そうな表情にほんの少しだけ自信が湧いた。
 
 フットマッサージのキュッと締め付けるイメージを保ちながら上下に動いてピストン運動をゆっくりゆっくり始めてみると、彼の腰もゆるゆると動き出して次第に速度が増していった。
 
「……ハッ……ッ……ハァ……」
 
 じわりと滲む汗、快感に耐える熱い吐息、扇情的な表情、全部全部僕のナカで彼が感じている証拠だ。
 僕には弱い所を擦られる快感も、奥を突かれる度に我を忘れるエクスタシーも感じることは出来ないけれど、視覚的情報からの想像だけで胸が高鳴り果ててしまいそうな興奮を覚えた。
 
「……ッイク……ッん"ん"っ」
 
 僕のナカで出された白濁を全て受け止めて 飲み込んで 一滴たりとも零したくない。
 けれど現実は、実体のない僕のナカに彼の白濁が残ることは無く、彼の腹上に散っていった。

「あ゙~……すげぇ良かった。頑張ってくれてありがとな」

 ぐったりと四肢を投げ出してベッドに沈んでから、目尻を下げて僕の頬を撫でる仕草をしてくれる。

 生きて彼に会いたかった。

 泣きそうな気持ちになりながら 頬に力を込める。
 
『満足してもらえたなら僕も嬉しいです』
「ん。あんたもノリノリでシてくれるならもっと早く言えばよかったな」
『た、タオル持ってきます!』

 いたずらっぽく言われてはたと気づいた。そういえば、はしたないほど自分から手を出してしまったような気がしてじわじわと恥ずかしくなって来たのを隠す様に、動かなくとも用意できるタオルをわざわざバスルームまで移動して取りに行く。

 お湯で濡らして温めたタオルを持って戻ると、彼はそのままの格好で目を閉じて眠っていた。

『……君になら、いつでもしてあげます』
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