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バットエンド
終わりの始まり
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彼との生活にもだいぶ遠慮がなくなってきてしばらくが経った。
「あのさ、明日 先輩連れて来ても大丈夫かな」
申し訳なさそうに言う彼へ、にっこりと笑みを浮かべながら『僕の事は気にしないでください。どうせ君以外には見えないので』と言うと、彼は更にきまり悪そうに言葉を続けた。
「もしかしたら……その先輩ここに住んでたかも知れないんだ。あんたは今までの住人は覚えてるのか?」
『……分かりません。ちゃんと覚えてないんです』
僕のせいで嫌な思いをした人じゃないといいな……。
とにかく明日はキッチンの隅でじっとして居よう。
絶対に僕が居ることは悟られてもいけない と心して居たのだが……
彼が連れて来たのは、妙に心がザワつく人だった。
「お邪魔しまーす。おー、結城ってちゃんと部屋綺麗にしてんだな」
「あー、まぁ いつも綺麗っす」
彼、結城くんって言うんだ……ふふ、初めて知っちゃった。
僕が彼の名前を知れたことに内心で喜んでいると、彼は部屋の隅の僕に目配せして微笑んでいた。
「つーか、まさか本当にこの部屋とはな。結城物好き過ぎんだろ」
少しバカにしたように先輩から背中をバシバシと叩かれた彼は少し不快そうに苦笑しながらリビングへと案内した。
「ここ住んでたんでしたっけ」
「そーそー、5年前な」
「5年前って先輩入院してませんでした?」
「あー、当時付き合ってた女のことでハウスキーパーさせてた奴と色々あってさ、そいつに心中させられそうになったんだよ。ここで。」
漏れ聞こえるその声は、僕の記憶の靄をゆっくりとクリアにして行った。
僕の大好きだったあの人は、彼の先輩……神無 優次だ。
『僕の……名前は……ゆうき……結城 日南 だ……』
僕は、優次くんの甘い声に『ヒナ』と呼ばれるのが好きだった。
『……優次くん……』
僕が告白した時、親の決めた許嫁で遠距離恋愛中の彼女がいるとは言っていたけど、優次くんは僕を振ったりせず会う度 激しく僕を求めて愛してくれていた。
だから……学校から帰ると部屋の掃除をして夕食を作り いつ帰って来るかも分からないあの人を待つのが日課だった。
酔って彼女を連れて来た日は押し入れに身を潜めて優次くんと彼女の情事を聞くこともあった。だけど 優次くんはそんな日こそ彼女が帰ったあと 僕の事を一番愛してると言って激しく僕のナカに愛を注いでくれた。
2年ほどは我慢してそんな生活を続けた僕も、耐えきれなくなって彼女と別れて欲しいとお願いした。
すると優次くんは、『彼女は親の決めた許嫁だから別れることは出来ない』と言って心中することを提案してきた。
僕は彼と生き続けたくて、彼と幸せになりたくて悩んだ。すると優次くんは『来世で幸せになろう』と言って僕を優しく抱き寄せた。
最後の晩、何も考えられなくなるほどめちゃくちゃに抱いてもらいながら 2人で睡眠薬や咳止めを大量に飲んだ。
でも、あの人は、飲んだフリをしただけだった。
「あのさ、明日 先輩連れて来ても大丈夫かな」
申し訳なさそうに言う彼へ、にっこりと笑みを浮かべながら『僕の事は気にしないでください。どうせ君以外には見えないので』と言うと、彼は更にきまり悪そうに言葉を続けた。
「もしかしたら……その先輩ここに住んでたかも知れないんだ。あんたは今までの住人は覚えてるのか?」
『……分かりません。ちゃんと覚えてないんです』
僕のせいで嫌な思いをした人じゃないといいな……。
とにかく明日はキッチンの隅でじっとして居よう。
絶対に僕が居ることは悟られてもいけない と心して居たのだが……
彼が連れて来たのは、妙に心がザワつく人だった。
「お邪魔しまーす。おー、結城ってちゃんと部屋綺麗にしてんだな」
「あー、まぁ いつも綺麗っす」
彼、結城くんって言うんだ……ふふ、初めて知っちゃった。
僕が彼の名前を知れたことに内心で喜んでいると、彼は部屋の隅の僕に目配せして微笑んでいた。
「つーか、まさか本当にこの部屋とはな。結城物好き過ぎんだろ」
少しバカにしたように先輩から背中をバシバシと叩かれた彼は少し不快そうに苦笑しながらリビングへと案内した。
「ここ住んでたんでしたっけ」
「そーそー、5年前な」
「5年前って先輩入院してませんでした?」
「あー、当時付き合ってた女のことでハウスキーパーさせてた奴と色々あってさ、そいつに心中させられそうになったんだよ。ここで。」
漏れ聞こえるその声は、僕の記憶の靄をゆっくりとクリアにして行った。
僕の大好きだったあの人は、彼の先輩……神無 優次だ。
『僕の……名前は……ゆうき……結城 日南 だ……』
僕は、優次くんの甘い声に『ヒナ』と呼ばれるのが好きだった。
『……優次くん……』
僕が告白した時、親の決めた許嫁で遠距離恋愛中の彼女がいるとは言っていたけど、優次くんは僕を振ったりせず会う度 激しく僕を求めて愛してくれていた。
だから……学校から帰ると部屋の掃除をして夕食を作り いつ帰って来るかも分からないあの人を待つのが日課だった。
酔って彼女を連れて来た日は押し入れに身を潜めて優次くんと彼女の情事を聞くこともあった。だけど 優次くんはそんな日こそ彼女が帰ったあと 僕の事を一番愛してると言って激しく僕のナカに愛を注いでくれた。
2年ほどは我慢してそんな生活を続けた僕も、耐えきれなくなって彼女と別れて欲しいとお願いした。
すると優次くんは、『彼女は親の決めた許嫁だから別れることは出来ない』と言って心中することを提案してきた。
僕は彼と生き続けたくて、彼と幸せになりたくて悩んだ。すると優次くんは『来世で幸せになろう』と言って僕を優しく抱き寄せた。
最後の晩、何も考えられなくなるほどめちゃくちゃに抱いてもらいながら 2人で睡眠薬や咳止めを大量に飲んだ。
でも、あの人は、飲んだフリをしただけだった。
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