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第1話
待合室書店員の美咲麻鈴と申します。
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私の名前は、美咲麻鈴と申します。
【待合室書店】という昔は病院だった建物をリノベーションした
本屋さんで働いています。
この本屋さん、変なんです!!!
(姉さん、事件です!!!風に言ってます。知らなかったらごめんなさい…)
それは、後ほど、明らかになると思いますが…
簡単に説明すると、以前、病院として使用されていた
【待合室】が本屋さんになっています。
説明になってなかったら、ごめんなさい…
病院で患者さんが、診察する前に呼ばれたり、
診察後にお金を払ったりするための場所ですね。
当たり前ですが…【待合室】です。
そんな本屋さんで、なりゆきで、働いています。看板娘ではないですが…
で、私は、アラサーなのですが(看板オバサン?)、
こんな私でも、意地があるから、少しでも若く見られるため、
ヘアースタイルは、常にショートカット
(ショートカットは、逆にオバサン感が増すので、気を付けてはいますが…)。
と、いうか趣味のひとつがランニングのため、髪が短いほうが楽なのです。
今日も長袖のTシャツとデニムに書店のエプロンで仕事をしています。
仕入れた本の確認作業をしている私に…
「今日もお客さんは少ないかな?」
オーナーの【きゅうりさん】が、私に呟きます。
【きゅうりさん】の名前は、もちろん本名ではありません。
当たり前なのですが…
私が「なんとお呼びすればよいですか?」と尋ねると…
「オーナーとか、店長とか、代表取締役とか呼ばれるのも変だし、
名前の潤矢さんだと違和感あって、ダメすぎでしょ?」と言うので…
私が、「あれもダメ、これもダメでは、何も始まらないですよ。
じゃあ、オーナーのこの世で一番嫌いなものは、何ですか?」
とノリで聞いてみると…
「きゅうり……あの、あおくさい匂いがダメでオエオエしてしまう。
給食ではいつも残して、その度に担任の先生に怒られてさ~
ほんとにまいったよ」
と50代半ばのオジサマが何と情けないこと…言うな~と思いつつ、
面白半分で…
「じゃあ、【きゅうりさん】で」
「えっ?」
「決まりです!」
それ以上、何も言わなかったので、【待合室書店】の
オーナー柊野潤矢さんは、
その時点で【きゅうりさん】に命名されたのです。
あるとき、私はそんな、きゅうりさんに率直な疑問を投げかけてみました。
「きゅうりさんは、本の売れない時代なのに、
なぜ書店を開業したのですか?」
「いろいろとあって、働いていた高校を辞めることになって、
することがなくて、本を読むのが好きで、
本屋でバイトしていたんだけど、
40代のバイトも周りが気を使うしね…バイト辞めて、
こうなっちゃんだよね…」
「こうなっちゃんだよね…って、それでも、本屋はないでしょ?
今は、デジタルが進化しで、電子書籍も音声もあるし…」
「うん、そのとおりだね。反論できないよ」きゅうりさんは、
涼しげな顔で答えた。
「でしょ?」私は、不思議そうな顔で応えた。
「でも、自分のペースでできることをやってみたかったんだよね。
ネット社会だから通販もできるし、
ユーチューブでも、ツイッターでも、インスタでも、
何かできるかな?って…時間はあるしね」
「まあ、私は、こうして働く場所がありますからね、助かりましたけどね」
「どうして、昔の個人病院をリノベーションして、書店にしたんですか?」
待合室書店は、閑静な住宅街にポツンと佇む、異質な書店だからです。
「普通に考えてですよ、こんな人通りの少ないところに書店をつくりますかね?」
と言いながら、思う…オーナーのきゅうりさんには、
失礼だが、よほどのバカか、世間知らずだよな~と思ってしまいます。
でも、マイペースなきゅうりさんを嫌いにはなれないのです。
というか、人としては尊敬するに値する…と思います。
年齢の割には、細マッチョで、若々しく感じるため、
50代半ばには見えないし、
なんなら、笑顔とかチャーミングに感じてしまう…
なんて…お話が脱線しました。
この【待合室書店】、店舗と使用している部分は、
待合室だけなので、
スペースは限られているのですが、昔の病院だけあって、
敷地も広く、建物も大きいのです。
で、待合室書店の玄関先には、
バスの停留所の表示板のようなモノが置かれているんです。
私は気になって、きゅうりさんに尋ねてみた。
「きゅうりさん、店先のバス停の表示板のようなモノは、
本物の表示板ですか?」
「うん、本物だよ。少し手は入れているけど…
ここは、少し前にバスも来なくなったからさ、
バス会社に問い合わせたら、自由に使っても
いいっていうからさ、お客さんになくて、暇だしさ~作っちゃった」
【待合室書店】
ここです!!!
と書かれてあります。
「いいでしょ?このオブジェ!」誇らしげに表示板に手を当てて、
キュウリさんが私を見る。
やれやれ…と思いつつ、「流石です!」と言ってしまいました。
で、入り口付近には、古本を集めて販売するラックが置いてあります。
毎日、きゅうりさんが、今日のおすすめ本として、
先ほどの表示板の中央部分に本が置かれるようになっており、
毎日おすすめ本が置かれるようになっています。
置かれた本の下に、ホワイトボードがあり、
おすすめの一言が綴られているのです。
今日のおすすめのこれです!!!
ちなみに、今日のおすすめ本は、「ラクな生活のしかた?」でした。
私は、きゅうりさんが、これ以上、ラクな生活をしていたら、
廃人になるのでは…?
と私は、脳内で呟いた…のです。
【待合室書店】という昔は病院だった建物をリノベーションした
本屋さんで働いています。
この本屋さん、変なんです!!!
(姉さん、事件です!!!風に言ってます。知らなかったらごめんなさい…)
それは、後ほど、明らかになると思いますが…
簡単に説明すると、以前、病院として使用されていた
【待合室】が本屋さんになっています。
説明になってなかったら、ごめんなさい…
病院で患者さんが、診察する前に呼ばれたり、
診察後にお金を払ったりするための場所ですね。
当たり前ですが…【待合室】です。
そんな本屋さんで、なりゆきで、働いています。看板娘ではないですが…
で、私は、アラサーなのですが(看板オバサン?)、
こんな私でも、意地があるから、少しでも若く見られるため、
ヘアースタイルは、常にショートカット
(ショートカットは、逆にオバサン感が増すので、気を付けてはいますが…)。
と、いうか趣味のひとつがランニングのため、髪が短いほうが楽なのです。
今日も長袖のTシャツとデニムに書店のエプロンで仕事をしています。
仕入れた本の確認作業をしている私に…
「今日もお客さんは少ないかな?」
オーナーの【きゅうりさん】が、私に呟きます。
【きゅうりさん】の名前は、もちろん本名ではありません。
当たり前なのですが…
私が「なんとお呼びすればよいですか?」と尋ねると…
「オーナーとか、店長とか、代表取締役とか呼ばれるのも変だし、
名前の潤矢さんだと違和感あって、ダメすぎでしょ?」と言うので…
私が、「あれもダメ、これもダメでは、何も始まらないですよ。
じゃあ、オーナーのこの世で一番嫌いなものは、何ですか?」
とノリで聞いてみると…
「きゅうり……あの、あおくさい匂いがダメでオエオエしてしまう。
給食ではいつも残して、その度に担任の先生に怒られてさ~
ほんとにまいったよ」
と50代半ばのオジサマが何と情けないこと…言うな~と思いつつ、
面白半分で…
「じゃあ、【きゅうりさん】で」
「えっ?」
「決まりです!」
それ以上、何も言わなかったので、【待合室書店】の
オーナー柊野潤矢さんは、
その時点で【きゅうりさん】に命名されたのです。
あるとき、私はそんな、きゅうりさんに率直な疑問を投げかけてみました。
「きゅうりさんは、本の売れない時代なのに、
なぜ書店を開業したのですか?」
「いろいろとあって、働いていた高校を辞めることになって、
することがなくて、本を読むのが好きで、
本屋でバイトしていたんだけど、
40代のバイトも周りが気を使うしね…バイト辞めて、
こうなっちゃんだよね…」
「こうなっちゃんだよね…って、それでも、本屋はないでしょ?
今は、デジタルが進化しで、電子書籍も音声もあるし…」
「うん、そのとおりだね。反論できないよ」きゅうりさんは、
涼しげな顔で答えた。
「でしょ?」私は、不思議そうな顔で応えた。
「でも、自分のペースでできることをやってみたかったんだよね。
ネット社会だから通販もできるし、
ユーチューブでも、ツイッターでも、インスタでも、
何かできるかな?って…時間はあるしね」
「まあ、私は、こうして働く場所がありますからね、助かりましたけどね」
「どうして、昔の個人病院をリノベーションして、書店にしたんですか?」
待合室書店は、閑静な住宅街にポツンと佇む、異質な書店だからです。
「普通に考えてですよ、こんな人通りの少ないところに書店をつくりますかね?」
と言いながら、思う…オーナーのきゅうりさんには、
失礼だが、よほどのバカか、世間知らずだよな~と思ってしまいます。
でも、マイペースなきゅうりさんを嫌いにはなれないのです。
というか、人としては尊敬するに値する…と思います。
年齢の割には、細マッチョで、若々しく感じるため、
50代半ばには見えないし、
なんなら、笑顔とかチャーミングに感じてしまう…
なんて…お話が脱線しました。
この【待合室書店】、店舗と使用している部分は、
待合室だけなので、
スペースは限られているのですが、昔の病院だけあって、
敷地も広く、建物も大きいのです。
で、待合室書店の玄関先には、
バスの停留所の表示板のようなモノが置かれているんです。
私は気になって、きゅうりさんに尋ねてみた。
「きゅうりさん、店先のバス停の表示板のようなモノは、
本物の表示板ですか?」
「うん、本物だよ。少し手は入れているけど…
ここは、少し前にバスも来なくなったからさ、
バス会社に問い合わせたら、自由に使っても
いいっていうからさ、お客さんになくて、暇だしさ~作っちゃった」
【待合室書店】
ここです!!!
と書かれてあります。
「いいでしょ?このオブジェ!」誇らしげに表示板に手を当てて、
キュウリさんが私を見る。
やれやれ…と思いつつ、「流石です!」と言ってしまいました。
で、入り口付近には、古本を集めて販売するラックが置いてあります。
毎日、きゅうりさんが、今日のおすすめ本として、
先ほどの表示板の中央部分に本が置かれるようになっており、
毎日おすすめ本が置かれるようになっています。
置かれた本の下に、ホワイトボードがあり、
おすすめの一言が綴られているのです。
今日のおすすめのこれです!!!
ちなみに、今日のおすすめ本は、「ラクな生活のしかた?」でした。
私は、きゅうりさんが、これ以上、ラクな生活をしていたら、
廃人になるのでは…?
と私は、脳内で呟いた…のです。
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