【待合室書店】のオーナーきゅうりさんの履歴書とアクアマリンのカード

愛澤凛音

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第8話

クッキンGOOD?

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山科桔梗さんの鑑定後も、いつもと変わらず、

ぽつりぽつりとお客さんの出入りがありました。

同じ時間帯に同じタイミングでお客さんが、来店されることもあれば、

何かのゲームをやっているように、お客さんが来店されずに、

暇だな~と思うことも、たくさんあります。

「人の出入りって、不思議だよね~

何かに動かされているように感じるときがあるからね。

物事は、そう簡単に思うようには…いきませんって、感じで…

まあ、お客さんが来てくれると嬉しいんだけどね~

ありがたいことだよ」

と言いながら…きゅうりさんは胸の前で手を合わせて、ニコッと笑ったのです。

「美咲さん、今日は、山科さんのタロット占い、ありがとうございました」

「いいえ…お役に立てれば…嬉しいです。

あと、桔梗さんの少し…ほっとされたような表情をされていたので…

嬉しかったです」

「誰かに話を聞いてもらえる…というだけでも、

何も解決していないのに、解決した気分になれることも大切だと…

ボクは思うよ。

自分の責任でも、誰の責任でもないんだけど…ね…

自分自身で、負のスパイラルに迷い込んでいるような感じになることは、

よくあるからね。

ボクも昔は、そうだったからね。

でも、自分で心の状態を整える訓練をするとなれるのかもしれないね?」

「訓練ですか?」と私が不思議な顔をしていると…

「ストレス発散!好きなことをする時間をつくること…かな?

美咲さんは、ジョギングしたり、タロットカードができたり、

自分自身で理解して訓練されているでしょ?…とボクは思うけど…」

「でも、きゅうりさん、今、好きなことばかりしているから、

ストレスとかないでしょ?」

とちょっとイジワルな質問をしてみると…

「こうして、好きなことができるようななったことに、感謝しているんだよ」

とまた、合掌して…微笑んだのです。

「あ、そうそう、美咲さん、今日のタロット占いのお礼は、現物支給でいいですか?」

「えっ?お礼とかいらないです…仕事ですから…」

と私が言ったときには、きゅうりさんは、奥の部屋に入っていたのです。

「美咲さん、これ少しだけど…ボクが、今日作ったんだけどね…

少し作りすぎたから…」

と…おいしそうなコロッケが、お皿に5個のっていたのです。

あと、この魔法瓶の中にベーコンと玉ねぎの入ったコンソメスープが入っているから…

今日の晩ごはんにでもして…」

「えっ?これ。きゅうりさんが作ったんですか?」

「うん、料理は、認知症にいいらしいからね。

ちゃんとジャガイモ湯掻いてるところから始めてるからね…

昔は、料理しようなんて、考えたこともなかったんだけど…

人って変わるもんなんだね。

料理が楽しいなんて…思うようになるなんて…

自分でも、びっくりだよ!!!」

「きゅうりさん、独身にしておくのが、もったいないですね!!!」

「あー、美咲さん、それセクハラだよ~」

と…ニコリ顔をしました。

「では、お言葉に甘えて、いただきます」

「どうぞ、召し上がってください。味は保証しないけどね…」

「大丈夫です。おなか壊したら、明日、お休みいただきますから…」

「了解です」ときゅうりさんは、笑顔で答えたのです。

この会話だけで、私は、おなか一杯になっていたのですが…

晩御飯として、コロッケを口にしたとき…びっくりしたのです。

これ、お惣菜屋さんで買ったような、おふくろさんの味がしたのです。

それと、コンソメスープが身に染みたのでした。

それは、きゅうりさんの優しさなのです。

そう、きゅうりさんは、優しすぎるのです。

だから…。
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