魔力最強の兄と武力最強の妹

虎鉄

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第Ⅰ章 英雄の孫

いざこざと再会

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クラス分けテスト後指定されたクラスへ向かう。クラスは四十人。魔力、武力が半分ずつ。
廊下を通ると武力組からちらほらと噂が聞こえる。
「おい、あのリーシャって子。英雄の孫らしぜ、今年はヤバイよな。そのあとにやってたマドルってやつも英雄の孫には負けるけどすごかったよな。」
やっぱりあの騒音はリーシャだったか。
因みにマドルは俺らの隣に住む幼馴染み。茶髪で背は低め。俺らと同じで祖父から鍛えられていたので、そこらの同級生には負けないほど強い。
何てことを考えているとクラスの前へ到着する。
「1のA。ここだな。」
戸を開けて中へ入ると武力組はもう着席していた。
どうやら先に終わっていたらしい。
「席はっと?」
「ライアン、こっちだ。」
マドルが声をかけてくる。
どうやら隣の席のようだ。
「やっぱりこのクラスか。」
「なぁ、リーシャは何をやらかした?」
「ん、あぁ、魔神融合して、古代技バーンストライクを放った。」
「………手抜きだな。」
「あ、やっぱし?いつも全力でって言われるとキラーストライクなのにな。ところで、君は何をやらかした?」
「魔神融合から《要素爆発》、《修復》。以上。」
「うん、お前も手抜きかよ。」
「ここで、全力やらかすと辺り一帯焼け野原だからな。さすがに《修復》でも無理。で、マドルは?」
「俺は普通にナックルバーストだけだよ。教官気絶させたけど。」
「やりすぎなのか教官が弱いのかは知らんが、お前もまぁまぁやらかしてるな。」
そんな会話をしていると
「二人とも、皆引いてる。」
リーシャが話しに割り込んでくる。
どうやら次第に声が大きくなっていたらしい。クラスの皆といっても(ほぼ武力組しかいないけど)が冷たい目でこっちを見ていた。
ガラガラ
扉が空くと三人連れのグループが入ってくる。
「うわぁ、あれは。」
「あぁ、」
「うん、」
「「「貴族だね。」」」
「やい、お前ら、この方は帝国アルガド三名門の一角。ハリド家次男ターノ・ハリド様だ。」
正解。しかも見るからに弱そう。クラス分けは強い順と聞いていたが、これは裏がありそうだな。
「ん?そこの銀髪!何をじろじろ見ている。ターノ様は魔力Sランクだぞ!」
俺に取り巻きAが声をかけてくる。
「ふーんで?」
「なっ!なんだその態度は!」
「まぁまぁ。おい、お前。貴族への礼儀がなってないのではないのか?」
ターノが声をかけてくる。
「はっ、悪いが金だけが取り柄の貴族とは仲良くする気はないね!」
祖父、父。共に貴族入りの誘いがあったが、二人とも「興味ない。」の一言で断っている。
理由は貴族嫌い。依頼をこなしても当然のように扱い。感謝すらない。
「なんだと!この平民風情が!決闘だ!」
でました、貴族の得意技決闘。
「いつ、どこで、」
「受けるんだな!明日の昼、校庭だ!逃げるなよ!」
「あぁ。もちろん代理人な訳ないよな?」
貴族の決闘は強い討魔使や傭兵に金を渡し代理人をたてる。これも貴族嫌いの一つ。
「っな!勿論だ。Sランクだぞ!」
「じゃあそういうことで明日の昼校庭で、それより席へ座ったらどうですか?皆引いてるんで。」
「ふん、言われんでも!」










五分後先生が来て簡単なオリエンテーションがあったのだが。
「えっと、入学おめでとう。担任のマリサ・バレットよ。担当は武力の銃術。よろしく。オリエンテーションはプリント読んでね。以上。解散。」といい出ていった。その後ターノとかいう貴族も出ていたところでリーシャとマドルがやって来た。
「なにする気だ?」
「あいつをF組へ落とす。あいつがSランク?笑わせるな。感覚的に下級を使うのがやっとだろうな。」
「見たよ。兄さんの言う通り。Fランク。」
「じゃあテストなしでここへ?金か。」
「多分な。」
因みにリーシャが見たと言っているのはスキルの鑑定。リーシャが祖父から受け継いでいる。俺、ないです。くそ!
「あのー、少しいいですか?」
その時後ろから一人の女子が声をかけてきた。
「ん?」
振り向くとそこには黒髪、黒目の女の子がいた。
「私はナツキ・サトウ。三人にお願いがあるんだけど、あのクソ貴族をやっつけて。」
可愛い顔してクソ貴族とか言ったよこの子。
「あぁ、そのつもりだけど、どうして?」
「あいつ、さっきウインクしてきたの、豚のくせに。」
豚って、確かに太っていたけど(笑)
「任せときな。だって俺は」
「英雄の孫だから?ごめんね、さっき鑑定した。」
鑑定持ち?これは祖父の仲間のミッシェル・アリソンさんしか持っていないはずだけど?スキルとは基本親や祖父母からの遺伝でしか現れない。極稀に例外があるらしいけど。
クイクイ
リーシャが服を引く。
「…彼女はナツキ・アリソンサトウ。アリソンさんの孫。多分昔あったことある。」
「………あっ!思い出したかも。」
「ふふ、久しぶりね、ライ。リーシャも。」
「ナツキか!本当に久しぶりだな!」
彼女は俺らが5才の頃にあってから10才ほどになるまでよく遊んでいた。
ナツキが親の事情で東方のジッポー共和国へ引っ越してからは会っていなかったので全く気づかなかった。
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