魔力最強の兄と武力最強の妹

第Ⅱ章 他の孫を探して

少年《新星降る古文書より抜粋》

その少年は鍛冶屋兼商人の父と八百屋を営む母の元に産まれた。
父の両親は南方のアフリカに住んでおり直接会うことは数年に一度だった。
母にはすでに父が居らず母が女手一つで育て上げた。
その少年は隣に住む双子の祖父と訓練した。そして少年はめきめきと武力の才能を表し始めた。
七才の頃双子の祖父が英雄ランスロットと知る。
この少年は学校へ入り、ある女性に出会う。二年しかない学校で先輩と仲良くなる機会が少ないことは承知だった。
しかし学校生活は直ぐに終わりを向かえた。魔神の復活と襲撃。それが全ての始まりだった。
さてこの少年には大きな秘密があった。
それは少年の祖母は英雄ランスロットの第二側室だった。つまり、少年は英雄の孫であった。
その少年の名はマドル・タルフ。
本名マドル・Aアンガート・タルフ
　　　　　『新星降る古文書　人物篇第一章孫』より












その少年はアルガドに産まれた。
この時期にはアルガド軍と魔獣との戦闘は激しさを増す一方だった。
しかし少年は無類の強さだった。
並みいる魔獣をなぎ倒し、血塗れでキャンプへ帰還した姿から赤き少年と呼ばれるようになる。
三十八才に少年が為った時、彼はついに魔獣王ラインハルトを打ち倒しアルガドへ勝利をもたらした。
そして彼には正妻と二人の側室がいた。
子供はそれぞれ一人ずつだった。
しかし、彼には孫が多くいた。その数七人。
　　　　　『新星降る古文書　人物篇序章英雄』より