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46.○○な朝(後)
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俺はすぐ横のデスクの上に置いてある置き時計を目にする。
時刻は午前8時前。
いつもアリシアさんが朝ごはんを告知しに、部屋まで起こしに来てくれる時間帯だ。
(マズイ……これはマズいぞ!)
もしこんな場面を見られたら間違いなく……
(今後のネタに使われるッ!!)
これだけは間違いない。
というのも最近俺はアリシアさんという人の人格というか中身がちょっと見えてきていた。
普段は冷静で表情一つすら変えないアリシアさんだが、実は中身は結構な個性を持っている人。
例えば可愛いものが好きだったり、人をからかうのも好きだったり……
少々Sっ気があるのもその中の一つだ。
まぁ、ともかく何が言いたいのかというと……
(見つかったら、色んな意味で終わるッ!)
……ということだ。
(どうする……!?)
考えろ。とにかく脳をフル回転させて考えるんだ。
(危機回避が可能な策を……!)
しかし当然向こうは待ってはくれない。
足音が徐々に大きくなってくる。
(クソッ! どうすれば……)
ソフィアが上にいる以上身動きが取れないし……
そんなことをしている内にタイムリミットが迫る。
そしていよいよその足音が部屋の前でピタリと止まった。
くっ! こうなったら……
こうするしか……ない!
俺は土壇場で決死の策を発動させた。
♦
「ランス様、朝ごはんのご用意が整いました。準備が出来次第、ダイニングルームへとお願いします」
「わ、わざわざありがとうございます。アリシアさん」
と、部屋に入ってきた途端にアリシアさんはすぐ俺のある”異変”に気がつく。
「あの、ランス様。なぜを片手を上げているのですか?」
「えっ!? いや、それはその……運動ですよ! 運動!」
いきなり突っ込まれる俺の片腕の挙動。
実は俺の手の先にはソフィアがいるのである。
そう、俺が考えた決死の策とはソフィアに浮遊魔法を付与して一度天井へと持っていくというもの。
そうすればソフィアの存在がアリシアさんにバレることはない。
のだが、浮遊魔法を他人に付与するには手を上げて魔力を供給し続けないといけないという条件がある。
よって今の俺の状態は仰向けになりながら、片手を上げているという摩訶不思議なことになっているのである。
「運動とは……腕のですか?」
「は、はいそうです! 最近、腕の筋肉が落ちたなぁ~なんて思っていたので」
「腕の筋肉ですか。でしたら単に腕をあげるよりも腕立て伏せとかされた方が良いのでは?」
ごもっともである。
確かに普通に考えて腕をあげるだけでは腕の筋肉などつかない。
理由としては非常に浅はかなものだったと後悔するが、もう遅い。
「いやぁ~でも自分の場合、こっちの方が筋肉がつくんですよ~ほら、俺腕細いですし!」
全く関係のないことである。
というか無茶にも程がある理由付けだ。
が、ここまで来たらもう無茶だろうがなんだろうが関係ない。
(ゴリゴリに押し通すまで!)
アリシアさんは俺の話を聞くと一瞬だけ「ん?」と表情を歪めるが、
「はぁ……そうですか。それならいいと思いますが……」
何とか納得させることに成功。
後はテキトーに会話を終わらせて、アリシアさんが帰ってくれるのを待つだけだ。
「あ、あの……アリシアさん。そろそろ準備したいので部屋から出ていただけると……」
「あ、申し訳ありません。では、私はダイニングルームにいますので後ほど……」
そういうとアリシアさんはペコっと軽く一礼して、部屋から出て行った。
俺はふぅーっと一息つくと、そっと手を下ろした。
「何とか切り抜けたか……」
危なかった。でもこれで最大の危機は回避できた。
後はソフィアをそっと下ろしてこの場を去るのみ。
(というか、初めから浮遊魔法を使えば良かったな……)
でもまぁ、終わりよければ全て良し!
俺は上げた手をそっと下ろそうとするが……
(あれ? ちょっと待てよ? 俺、さっき手を下ろさなかったか?)
意識が腕の方に行っていなかったので気づいていなかった。
が、俺の手元を見ると完全に降りていた。
(待てよ? ってことは……)
俺は天井にいるソフィアを見る……とその瞬間。
付与した浮遊魔法が解除され――
「……ブッフォッッッ!!!?」
見事俺の真上に落下。
そしてその衝撃で……
「ん、んん……? あれ、わたしいつの間に眠むって……」
まさかのソフィア起床。
まだ寝起きからか俺のことに気付いていなかったが、その直後に目が合ってしまった。
「ら、らららランス……!? な、なんで……!?」
「あ、あははは……おはよう……ソフィア……」
「え……えぇぇぇぇぇ!?」
顔を真っ赤に染め上げ、驚くソフィア。
だが災難はまだ終わっていなかった。
「どうなさいましたか!?」
「ランス……!?」
ソフィアの驚嘆の声でアリシアさんとイリアが部屋の中に入ってきてしまった。
二人は俺とソフィアの状況を見るなり、唖然とする。
(あ、終わった……)
結局その後、俺は原因究明の為、アリシアさんに報告する羽目に。
ソフィアは笑って許してくれたし、自分のせいだと謝罪もしてくれたけど……
(こ、これから気をつけよう……マジで)
ある種の初体験をして、教訓を得た俺であった。
時刻は午前8時前。
いつもアリシアさんが朝ごはんを告知しに、部屋まで起こしに来てくれる時間帯だ。
(マズイ……これはマズいぞ!)
もしこんな場面を見られたら間違いなく……
(今後のネタに使われるッ!!)
これだけは間違いない。
というのも最近俺はアリシアさんという人の人格というか中身がちょっと見えてきていた。
普段は冷静で表情一つすら変えないアリシアさんだが、実は中身は結構な個性を持っている人。
例えば可愛いものが好きだったり、人をからかうのも好きだったり……
少々Sっ気があるのもその中の一つだ。
まぁ、ともかく何が言いたいのかというと……
(見つかったら、色んな意味で終わるッ!)
……ということだ。
(どうする……!?)
考えろ。とにかく脳をフル回転させて考えるんだ。
(危機回避が可能な策を……!)
しかし当然向こうは待ってはくれない。
足音が徐々に大きくなってくる。
(クソッ! どうすれば……)
ソフィアが上にいる以上身動きが取れないし……
そんなことをしている内にタイムリミットが迫る。
そしていよいよその足音が部屋の前でピタリと止まった。
くっ! こうなったら……
こうするしか……ない!
俺は土壇場で決死の策を発動させた。
♦
「ランス様、朝ごはんのご用意が整いました。準備が出来次第、ダイニングルームへとお願いします」
「わ、わざわざありがとうございます。アリシアさん」
と、部屋に入ってきた途端にアリシアさんはすぐ俺のある”異変”に気がつく。
「あの、ランス様。なぜを片手を上げているのですか?」
「えっ!? いや、それはその……運動ですよ! 運動!」
いきなり突っ込まれる俺の片腕の挙動。
実は俺の手の先にはソフィアがいるのである。
そう、俺が考えた決死の策とはソフィアに浮遊魔法を付与して一度天井へと持っていくというもの。
そうすればソフィアの存在がアリシアさんにバレることはない。
のだが、浮遊魔法を他人に付与するには手を上げて魔力を供給し続けないといけないという条件がある。
よって今の俺の状態は仰向けになりながら、片手を上げているという摩訶不思議なことになっているのである。
「運動とは……腕のですか?」
「は、はいそうです! 最近、腕の筋肉が落ちたなぁ~なんて思っていたので」
「腕の筋肉ですか。でしたら単に腕をあげるよりも腕立て伏せとかされた方が良いのでは?」
ごもっともである。
確かに普通に考えて腕をあげるだけでは腕の筋肉などつかない。
理由としては非常に浅はかなものだったと後悔するが、もう遅い。
「いやぁ~でも自分の場合、こっちの方が筋肉がつくんですよ~ほら、俺腕細いですし!」
全く関係のないことである。
というか無茶にも程がある理由付けだ。
が、ここまで来たらもう無茶だろうがなんだろうが関係ない。
(ゴリゴリに押し通すまで!)
アリシアさんは俺の話を聞くと一瞬だけ「ん?」と表情を歪めるが、
「はぁ……そうですか。それならいいと思いますが……」
何とか納得させることに成功。
後はテキトーに会話を終わらせて、アリシアさんが帰ってくれるのを待つだけだ。
「あ、あの……アリシアさん。そろそろ準備したいので部屋から出ていただけると……」
「あ、申し訳ありません。では、私はダイニングルームにいますので後ほど……」
そういうとアリシアさんはペコっと軽く一礼して、部屋から出て行った。
俺はふぅーっと一息つくと、そっと手を下ろした。
「何とか切り抜けたか……」
危なかった。でもこれで最大の危機は回避できた。
後はソフィアをそっと下ろしてこの場を去るのみ。
(というか、初めから浮遊魔法を使えば良かったな……)
でもまぁ、終わりよければ全て良し!
俺は上げた手をそっと下ろそうとするが……
(あれ? ちょっと待てよ? 俺、さっき手を下ろさなかったか?)
意識が腕の方に行っていなかったので気づいていなかった。
が、俺の手元を見ると完全に降りていた。
(待てよ? ってことは……)
俺は天井にいるソフィアを見る……とその瞬間。
付与した浮遊魔法が解除され――
「……ブッフォッッッ!!!?」
見事俺の真上に落下。
そしてその衝撃で……
「ん、んん……? あれ、わたしいつの間に眠むって……」
まさかのソフィア起床。
まだ寝起きからか俺のことに気付いていなかったが、その直後に目が合ってしまった。
「ら、らららランス……!? な、なんで……!?」
「あ、あははは……おはよう……ソフィア……」
「え……えぇぇぇぇぇ!?」
顔を真っ赤に染め上げ、驚くソフィア。
だが災難はまだ終わっていなかった。
「どうなさいましたか!?」
「ランス……!?」
ソフィアの驚嘆の声でアリシアさんとイリアが部屋の中に入ってきてしまった。
二人は俺とソフィアの状況を見るなり、唖然とする。
(あ、終わった……)
結局その後、俺は原因究明の為、アリシアさんに報告する羽目に。
ソフィアは笑って許してくれたし、自分のせいだと謝罪もしてくれたけど……
(こ、これから気をつけよう……マジで)
ある種の初体験をして、教訓を得た俺であった。
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