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60.帰宅

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「あっ、ランス! お帰りなさい」

「ただいま、ソフィア」

「遅かったね。ギルマスに何言われてたの?」

「まぁ、色々とな」

 ドロイドとの話が終わり、俺は皆の元へと戻っていた。
 ギルドのロビーに先ほどの冒険者たちの姿はなく、二人に話を聞く限り、例のドラゴンの捕獲へと向かったらしい。

「ランスくん、本当にすまなかった。君たちまで巻き込んでしまって」

「リベルさんのせいじゃないですよ。運が悪かっただけです」 

 一つ面倒なことを頼まれはしたが、その分の報酬は出るらしいし、気にしてはいない。

 パーティーとしての活動も学ぶことができたし、逆にいい経験になった。

「リベルさんはこれから何を?」

「僕はこれからボルとルナと共にもう一度さっきの場所に行く。ドラゴン回収の手伝いをしにいくんだ」

 ドラゴン回収……さっきの冒険者たちがやりにいったやつか。
 多分調査のために捕獲するんだろうけど。

「なら俺たちも行きます。関与していて任せっぱなしは悪いですし。みんなもいいか?」

「わたしは全然大丈夫です!」

「わたしもオーケーよ」

 一応俺たちも関係者だ。
 任せっきりにするのはどうも後味が悪い。

 二人の許可も取れたし、ここは手伝いに行くべきだ。

「分かった。じゃあみんなで行こう」

 リベルは俺の要求に了承。
 俺たちも手伝いに行くことになった。

 そしてなんやかんや時間が経ち……

「はぁ……やっと帰れる」

「中々大変でしたね」

「わたしたちとルナさん以外、全員男だったのにこんなに時間がかかるなんて……」

「ドラゴン恐るべし……ですね」
 
 時刻は夕暮れ。
 俺たちはドラゴン回収の手伝いを済ませて、屋敷に帰っている最中だった。

「それにしても、誘拐事件の調査だなんて。物騒な依頼を頼まれたわね」

「ギルドマスター直々の頼みだからな。仕方ないよ」

「その黒ずくめの集団というのも気になります」

 俺は二人に例の事件のことを話していた。
 そしてその調査に協力してほしいと言われたことも。

 結局。
 俺はあの話の後、リベルと共に調査協力に同意。
 早速明日から依頼内容が通達されるという運びとなった。

 基本、この話について国調査の極秘事項であるため、拡散することは禁句だ。
 だが流石に二人に伝えず、コソコソとやるのも申し訳ないので俺と関わりの深い人物には教えることに。

 ドロイドもそのことには了承してくれた。

 幸いにもソフィアたちはイリアを除いて皆、国側の人たちだ。
 公開しても何ら問題はないとのことで、二人の調査参加もOKだとも言ってくれた。

「ソフィアは知っていたのか? この事件のこと」

「いえ、わたしは知りませんでした。ここ最近、お城には出向いていませんので……」

「そうか……」

 この調査は元々ギルドに寄せられた被害届が発端。  
 最初はギルド側で調査をしていたが、被害件数の増加で手に負えなくなって国に協力を持ち掛け、今に至る。

「でも最近、国家騎士たちの動きがいつもよりも激しいなとは思っていました」

「そうね。わたしもこの前ソフィアと王都へ買い物に行った時にそれは思ったわ」

「なるほど。と、なると事件はだいぶ前から動いていた可能性はあるわけか」

 黒ずくめの集団が見つかったのも最近だが、もっと早い段階で王都に潜伏していたのかもしれない。
 
(なんか胸騒ぎがするな……)

 よくない感じだ。
 何かいけないことが盛大に起こる……そんな気がする。

「俺は明日からリベルさんと一緒に調査に参加するけど、二人はどうする?」

「もちろん、わたしも行きます! この国を脅かす人たちに制裁を加えないと!」

「わたしも行くわ。一人だけお留守番だなんてつまらないし」

 二人ともやる気のようだ。
 危険を伴う調査なので、本来なら連れていくべきではないんだろうけど。

「分かった。じゃあ明日はみんなで朝6時起きだな」

「え、えぇーー!? なんでそんなに早いの!?」

「調査が7時からだからだよ。無理そうか?」

「だ、大丈夫。頑張って起きるから……」

 俺は比較的朝は強い方なのでいいが、弱い人にとっては少々辛い時間帯。 
 朝、クエストに行く冒険者とかなら当たり前の時間かもしれないけど、イリアの顔を見る限り、結構辛いのだろう。

「ソフィアは大丈夫か?」

「はい。普段はその時間よりも早い時間にいつも起床していますので」

 ソフィアは余裕そうだった。
 ということは、前に俺と一緒のベッドで寝たのはレアケースだったわけか。

「それじゃ、そういうことだから二人とも準備しておいてくれ」

「はい!」「りょ~かい~」

 話が纏まったところでちょうど屋敷の目の前まで来ていた。
 が、屋敷に近づいていく内に何やら異変があることに気が付く。

「ん、あれは……?」

 前見た時と同じ風景。
 屋敷の前に数台の馬車が止まっており、その馬車の側面部分には国章がデカデカと刻まれていた。 
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