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69.ランスを元気にしよう計画3

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 暗闇の中、ランスの自室に忍び込む二人の少女。
 その姿は下着姿にタオル一枚と傍から見ればはしたない恰好だが、二人の顔は真剣だった。

「いい、ソフィア。まず最初にすべきことは気づかれないようにベッドまで辿りつくこと。極力足音は立てないようベッド付近まで行くわよ」

「は、はい!」

 部屋に入り、そっと扉を閉めた二人はすぐさま低姿勢に。
 先導するのはイリアだ。

「あと一応最後に確認しておくけど、計画の内容は覚えているわよね?」

「もちろん、覚えています。ベッドに忍び込めたらそのまま二人でランスの両隣を確保、そうしたらすぐにこの”かつりょくざい”? を飲ませて、最後にランスを起こせばいいんですよね?」

 計画の内容は至ってシンプルだった。
 まず寝ている間にランスに疲労効果のある活力剤を飲ませる。
 そうしたら後は心が満たされるように取り計らうだけというもの

 計画の内容は自体に特に悪い点はない。
 活力剤もしっかりと医療用に開発されたものを使うから問題なし。

 ただ、問題があるとすれば最後の過程にある。
 それがイリアが考え出した『女の武器』で男の欲求を満たす、というものだった。

 こうなったのは数分前にまで遡る。

『ほ、本気で言っているんですか? イリアさん!』

『わたしはいつだって本気よ、ソフィア』

『で、でもいくらなんでもそれは……』

『でもソフィア。男の子を元気にさせるにはこれが手っ取り早い方法なのよ。これはある種の女の武器とも言えるわ』

『ぶ、武器……?』

『そう。それに今回はランスを元気にするためにやること。それだったら、何ら問題ないでしょ?』

『で、ですが……』

『アリシアさんはどう思います?』

『まぁ、いいんじゃないんですか? 限度さえ弁えていただければ』

『あ、アリシアまで……』

『ほら、アリシアさんもそう言っているじゃない。これはもう決行不可避ね!』

『そ、そんなぁ……』

 とまぁこんな経緯を得て今に至る。
 
 ついさっきまでは乗り気でなかったソフィアだが、ランスを元気にさせたいという強い想いが彼女のやる気へと繋げた。
 半ばイリアが強引に……というか、色々と乗せられた部分もあるが、今の彼女にとってはそんなのはどうでもよかった。
 
「じゃあ……早速計画開始よ」

 話は戻り、イリアはソフィアに指示を出しながら、数メートル先にあるベッドへと移動を始める。
 
 極力、足音を立てないよう……抜き足・差し足・忍び足で近づいていき、難なくベッドの前までたどり着くことに成功。
 ここから次のステップであり、第一関門へと移っていく。

「ソフィア、貴方は此処でしゃがんでいて。ランスが寝ているかどうかを確認してくるから」

「了解です」

 そういうとイリアは身体はその場でゆっくりと立ち、チラッとベッドの上を覗く。
 ベッドの上ではランスが仰向けになって寝ており、スヤスヤと寝息を立てていた。

 そして色々と事前確認の為、彼の頬やら腕やらを触ってみるが……

「全然起きないわね……」

 本当に疲れていたのだろう。
 少し頬とかを触っただけではビクともしなかった。

 でもイリアたちにとってこれは好都合。
 ランスが深い眠りであればあるほど、計画は成功に近づくのだ。

「ソフィア、とりあえず第一関門はクリアよ。いい? ここからは知っての通り、慎重さが求められるわ。ゆっくりと、慌てずに行くわよ」

「は、はい……」

 とうとう二人は次のステップであるベッド潜入へと移る。
 ソフィアが手前、イリアが反対側へと回り、同時にベッドの上へ。

 潜入後。
 二人はすぐに布団の中へ身を隠すと、計画は第3のステップへと移るのだった。
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