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125.一転して

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「おい、貴様何者だッ!」

 扉がバタンと開くのと同時に。
 ドスの聞いた低い怒号が脳内に響いてくる。

(くそっ、意外に早かった……!)

 声の主はさっき部屋から出てきた二人組のローブ野郎。
 彼らは俺を見つけた瞬間、外にいる仲間たちに向けて大声を張った。

「侵入者だ! 侵入者を発見したぞーーーーー!」

 その声に外の敵も反応し、部屋の外が慌ただしくなる。
 
 完全に見つかった。
 しかもよりにもよって、見つかった場所が出口が一つしかない小部屋。

 脱出するにしてもこいつらを何とかしないといけない。
 が、向こうの対応が予想以上に早く、早々に入り口を塞がれてしまった。

(マズイな。退路を断たれた……)

 男たちはジリジリと俺の元によって来ると、懐から短剣を取り出し、突き付けてきた。

「貴様、王国の刺客だな?」

「さぁな。それはどうだろう?」

「恍けても無駄だ。まさかこの場所を嗅ぎつかれるとはな……」

 向こうからしたら意外だったらしい。
 まぁでも俺たちだって多くの手掛かりを経てここまでたどり着くことができた。

 手掛かりなしでは絶対に無理だっただろう。

「ま、今はそんなことはどうでもいい。貴様には王国との取引材料として有効活用させてもらう。刺客なら生贄にするには勿体ないからな」

「生贄……? なんの話だ?」

「さぁ、何だろうな? だが一つ言えるのは貴様が知る必要はないということだ」

「なるほど。よほど重要なことみたいだな。余計興味が湧いちまったぜ」

「そうか、それは残念だったな。あと少しで真相に辿り着けたのに、こんなところで終わっちまうんだから」

「終わる……? 悪いが俺にそのつもりはさらさらないが?」

「なに?」

 見つかったとはいっても終わりではない。
 仮に見つかった時のための対処法(最終手段)もある。

 普通は街中で魔法を使うのは厳禁だが、ドロイドさん曰く今回は特例だ。

 本当は見つからずに真相を暴くのが一番良かったのだが……致し方ない。

「超空間トラップ発動、≪グリプト≫!」

 手を前に差し出し、詠唱。
 瞬間、建物の周りには紫色のドームが。

 建物全体を囲むようにして出現する。

「な、なんだ!? どうなっている!?」

「ぐっ、身体が……動かんだと!?」

 男たちの動きがピタリと止まった。
 そしてその数秒後、強力な重力が二人を襲い、何もできずに地に伏す。

 そう、これが予め俺たちが仕掛けておいた大きな罠。
 建物全域を巨大なトラップで覆い、詠唱と同時に対象者に向けて大規模な重力操作系の魔法を発動するというもの。

 こんな時の為に用意しておいた保険だ。

 ただし、拘束時間に制限はあるが。

「今です! ここから脱出しましょう。経路は俺が案内します!」

 俺は人質たちを引き連れると、部屋の外に出る。
 すると、

「あっ、ランス!」

「ランス殿!」

 迫る敵を敵を無力化しながら。
 入り口で待機していた二人がこっちに向かって走ってきた。
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