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139.決死の策

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「この空間にあの怪物諸共封印するだって!?」

「はい。今わたしが考えた策ではこれが一番現実的だと思っています」

「なるほど……確かにそれは良い考えかもしれません」

 ドロイドさんはふむふむと頷いていたが、俺にはその意味が分かっていなかった。
 
「ふ、封印するって言ってもここじゃ魔法は使えないし、どうやって……」

「内から何も出来ないのなら、外からポータルごと破壊すればいいんですよ。今、我々がするべきことは自分たちの脱出と同時に、神獣アレを外に放たれないようにすることです。ポータルはこの世界と我々のいた世界を繋ぐ橋みたいなもの。要はその橋さえ無くしてしまえば……」

「向こうの世界にコイツが出張ってくることもなくなる……ということか」

「その通りです」

 でも簡単に行くだろうか?
 向こうは怪物の存在を俺らに知られてしまった以上、全力で排除してくるだろう。

 あいつらに影響があるのかは知らないが、少なくとも俺らには魔法が使えないという大きなハンデがある。

「簡単に背中を見せられるとは思えないけど……」

「はい。なので、二つのチームを編成する必要があるかと思います」

「チーム?」

「奴らの気を引く囮役と、外に出るための脱出役……というところですかね」

「その通りです。流石に全員で行くわけには行きませんので」

「なるほどな。でも囮役の方の脱出はどうするんだ? 移動魔法とかは無理だぞ?」

「答えはランスの懐にあります」

「懐……? あっ……」

 そう言われると、俺は内ポケットに何か感触があるのを感じた。
 手を突っ込むと中から出てきたのはいつぞやの球体だった。

「これって……」

「ジョイントワーピングボール、私がここに潜入する前に渡した魔道具です」

「確かこの魔道具を使えばワープができるんでしたっけ?」

「厳密に言えば自分の魔力を消費して、同じものを持っている人の場所へとワープできるというものです。これを二つのチームで一個ずつ持てば……」

「そうか! それなら、ここから出ることが出来る!」

「そういうわけです。魔法は使えなくても魔力は消費できますからね。それに魔道具は魔法の簡略化という概念的なものでは同じですが、中身は全く別のロジックが組み込まれています。この結界によってアクションが妨げられることはないでしょう」

「あぁ……そう言えば、なんかの学術書にそんなことが書いてあったような……」

「とにかく、今は一刻を争う時です。このような事実を知った以上、早く元の世界に戻って対策を練る必要があります」

「だな。こんなところでモタモタしてるわけにはいかないな」

 でもまずは俺たちが全員無事でここから出ることが先だ。
 一人として欠けることは許されない。

「なら、早速チームを――」

「その心配はいりませんよ、ランスくん」

「えっ……」

 ドロイドさんはいつものようにニッコリと笑うと、俺たちに告げた。

「我々が囮役をやります。ランスくんはソフィア様と共にここから脱出してください」
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