20 / 35
第二十話 友人第一号
しおりを挟む
俺の学園生活は驚嘆の声から始まった。
自己紹介を一通り済ませた俺は、今度は座る座席をルモット先生より指定される。
「えーと、ユーリさんの席は――じゃあ、あの窓際の席に座ってもらおうかな」
「分かりました」
と言われて指定されたのは窓側の一番後ろの席だった。
先ほどのカミングアウトによる余韻がまだ消えていないのか、周りの注目が集まる。
そんな中で俺は静かに着席すると、前方の席に座っていた男子生徒がいきなり後ろを向いてきて、
「おっす! えっと、ユーリくん……だっけ?」
「はい。えっと、貴方は……」
「ジン・レイブンだ。普通にジンって呼んでくれ!」
「じゃあ俺のこともユーリって呼んでくれないか?」
「分かった! これからよろしくなユーリ!」
「うん。よろしく……」
突如話しかけてくる気さくな男子生徒。
名前はジンというらしい。
短髪黒髪で体格は周りの男子生徒たちと比べるとガッチリとした筋肉質。
肩幅も広くてTHE漢と言った感じの風貌だった。
「にしても信じられないな。お前、本当に男なのか?」
「……え?」
突然、俺の顔を覗き込むように見ながらそう言ってくる。
色々な角度から俺の顔を見るたびにうーんという謎の唸り声をあげて。
「そんなに信じられないか?」
「ああ。だってさっきから俺の美少女センサーがビンビンに働いているんだ。本当は女でした! なんてオチはないよな?」
「いや、それはないから……」
てか美少女センサーってなによそれ? 異能か?
でもこの容姿が初対面の人の判断に障害をもたらすことは自覚している。
現に今までの15年間で一度も一発で俺を男だと見抜けた人なんていなかったしな……
「でも惜しいな。何も知らなかったらオレ、絶対にアタックしてたもん」
「ま、マジかよ……」
「あっ、でもギャップ枠ってことならむしろそれでも……」
「おいおいおい!」
「はははっ! ジョークだよ、ジョーク! さすがの俺でも男に手を出したりはしないさ」
ジョーク……か。
(それにしては一瞬だけ、本気を匂わせるような間があったような……)
「まぁとにかくだ! これから一年、楽しくやってこーぜ!」
「お、おう!」
ジンは俺に手を差し出し、握手を要求。
俺もそれに応え、ジンの手を強く握った。
ジン・レイブン。
俺がこの学園に入って初めてまともに話した相手。
そして、俺の記念すべき友人第一号となった男だった。
♦
HRが終わり、授業までのちょっとした空き時間。
俺は早速、周りの生徒たちからの質問攻めに遭っていた。
「ねぇねぇ、ユーリくんってどこからきたの?」
「特別推薦枠で入学したってホント?」
「好きな食べ物はー?」
「ズバリ、好きな男性のタイプは!?」
「俺と結婚してくれ!」
色々な質問が飛び交い、どれから答えればいいかとオドオドしてしまう。
中には変な質問も混じっていたような気がするけど……
(とりあえず、今は適当に……)
上手い具合に設定を考えて一人一人に答えていく。
でもこれが結構辛く、特に個人情報に直結する質問は色々と考えるのが難しかった。
貴族という肩書を晒すわけにもいかないし、かと言って下手な設定を付けると後々面倒なことになりそうだし。
俺の脳内は授業前に関わらずフル回転だった。
そしてようやく解放されたのは授業開始の15分前。
怒涛の質問攻めで既にもうクタクタで机に突っ伏しながら唸り声を上げていた。
「あぁ……やっと解放された」
「人気者だったな。特に女子に」
「人気と言うか、単に興味を持たれていただけだと思うけど……」
「別にいいじゃねぇか! 女子に興味持たれるっていうのがどんなに恵まれていることなのかユーリは分かっているのか!?」
「は、はい?」
いきなり拳を握りしめ叫び出すジン。
何故かは知らないが、彼は女子という二文字に相当敏感なようで……。
「俺なんて話しかけられることすらないんだぞ! こう見えても学年主席でこの学園に入学したというのによ」
「えっ!? それマジ?」
「あ、信用してないな?」
信用というか驚きの方がずっと強かった。
だって見た感じそうは見えないのだから。
スポーツはできそうな感じだけど、勉強はと言われれば首を傾げてしまう。
(人はみかけによらないとはこのことか……)
「くっそ……! わざわざ遠い辺境の地から美少女と美女を求めてここまできたというのに……」
「わざわざって、まさかそれだけのためにこの学園に入ったとかじゃ……」
「ああ、まさしくその通りだが?」
「お、お前ってやつは……」
と、呆れて溜息が出てしまうが、俺も俺で人脈作りのために学園に入ったのだから人の事は言えない。
まぁでもそんな動機一つで学年主席を取れるということは中身は相当優秀なのだろう。
そんな会話をしていると気がつけば授業開始10分前になっていた。
(最初の授業は確か総合体育館で体力測定だったな)
女子は別室へ運動着に着替えに行き、男子は教室の中で着替えを始める。
だがそんな時だった。
いきなり教室の扉がバタッと開き、
「失礼するよ」
そう言って入ってきたのは金髪の男とその取り巻きと思われる二人の男たち。
その男衆は教室に入るなり、檀上前にあった椅子にドカッと腰を下ろした。
「……だ、誰だ?」
「ちっ、ジーク様のご登場かよ」
ジンが隣で舌打ちをしながら、ある人物の名が出てくる。
その様子から察するにあまり歓迎されていない感じだった。
「こぎげんよう、皆の衆。いきなり訪問してしまってすまないね」
すまないねと言う割には態度がデカく、まるで俺が一番偉いみたいな雰囲気を醸し出していた。
周りの男子生徒たちの表情から、結構な曲者であると判断できる。
「ご、ごきげんようジーク様。えーっと……本日はどういったご用件で?」
近くにいた男子生徒が対応。
確か名前はベルリ。
周りの話によるとこのクラスの委員長さんらしい。
「うん。今日は少し会いたい人がいてね。わざわざ足を運んだってわけさ」
「会いたい人、でございますか?」
金髪の男はその問いに返答。
会いたい人というが一体誰なのだろう……
と、思っていた時だった。
「そうさ。このクラスに転入してきたって話を聞いてね。確か名前は……ユーリ・フリージアとか言ったかな?」
(え、俺!?)
彼の一言。
そう、会いたいという人物は俺のことだったのである。
自己紹介を一通り済ませた俺は、今度は座る座席をルモット先生より指定される。
「えーと、ユーリさんの席は――じゃあ、あの窓際の席に座ってもらおうかな」
「分かりました」
と言われて指定されたのは窓側の一番後ろの席だった。
先ほどのカミングアウトによる余韻がまだ消えていないのか、周りの注目が集まる。
そんな中で俺は静かに着席すると、前方の席に座っていた男子生徒がいきなり後ろを向いてきて、
「おっす! えっと、ユーリくん……だっけ?」
「はい。えっと、貴方は……」
「ジン・レイブンだ。普通にジンって呼んでくれ!」
「じゃあ俺のこともユーリって呼んでくれないか?」
「分かった! これからよろしくなユーリ!」
「うん。よろしく……」
突如話しかけてくる気さくな男子生徒。
名前はジンというらしい。
短髪黒髪で体格は周りの男子生徒たちと比べるとガッチリとした筋肉質。
肩幅も広くてTHE漢と言った感じの風貌だった。
「にしても信じられないな。お前、本当に男なのか?」
「……え?」
突然、俺の顔を覗き込むように見ながらそう言ってくる。
色々な角度から俺の顔を見るたびにうーんという謎の唸り声をあげて。
「そんなに信じられないか?」
「ああ。だってさっきから俺の美少女センサーがビンビンに働いているんだ。本当は女でした! なんてオチはないよな?」
「いや、それはないから……」
てか美少女センサーってなによそれ? 異能か?
でもこの容姿が初対面の人の判断に障害をもたらすことは自覚している。
現に今までの15年間で一度も一発で俺を男だと見抜けた人なんていなかったしな……
「でも惜しいな。何も知らなかったらオレ、絶対にアタックしてたもん」
「ま、マジかよ……」
「あっ、でもギャップ枠ってことならむしろそれでも……」
「おいおいおい!」
「はははっ! ジョークだよ、ジョーク! さすがの俺でも男に手を出したりはしないさ」
ジョーク……か。
(それにしては一瞬だけ、本気を匂わせるような間があったような……)
「まぁとにかくだ! これから一年、楽しくやってこーぜ!」
「お、おう!」
ジンは俺に手を差し出し、握手を要求。
俺もそれに応え、ジンの手を強く握った。
ジン・レイブン。
俺がこの学園に入って初めてまともに話した相手。
そして、俺の記念すべき友人第一号となった男だった。
♦
HRが終わり、授業までのちょっとした空き時間。
俺は早速、周りの生徒たちからの質問攻めに遭っていた。
「ねぇねぇ、ユーリくんってどこからきたの?」
「特別推薦枠で入学したってホント?」
「好きな食べ物はー?」
「ズバリ、好きな男性のタイプは!?」
「俺と結婚してくれ!」
色々な質問が飛び交い、どれから答えればいいかとオドオドしてしまう。
中には変な質問も混じっていたような気がするけど……
(とりあえず、今は適当に……)
上手い具合に設定を考えて一人一人に答えていく。
でもこれが結構辛く、特に個人情報に直結する質問は色々と考えるのが難しかった。
貴族という肩書を晒すわけにもいかないし、かと言って下手な設定を付けると後々面倒なことになりそうだし。
俺の脳内は授業前に関わらずフル回転だった。
そしてようやく解放されたのは授業開始の15分前。
怒涛の質問攻めで既にもうクタクタで机に突っ伏しながら唸り声を上げていた。
「あぁ……やっと解放された」
「人気者だったな。特に女子に」
「人気と言うか、単に興味を持たれていただけだと思うけど……」
「別にいいじゃねぇか! 女子に興味持たれるっていうのがどんなに恵まれていることなのかユーリは分かっているのか!?」
「は、はい?」
いきなり拳を握りしめ叫び出すジン。
何故かは知らないが、彼は女子という二文字に相当敏感なようで……。
「俺なんて話しかけられることすらないんだぞ! こう見えても学年主席でこの学園に入学したというのによ」
「えっ!? それマジ?」
「あ、信用してないな?」
信用というか驚きの方がずっと強かった。
だって見た感じそうは見えないのだから。
スポーツはできそうな感じだけど、勉強はと言われれば首を傾げてしまう。
(人はみかけによらないとはこのことか……)
「くっそ……! わざわざ遠い辺境の地から美少女と美女を求めてここまできたというのに……」
「わざわざって、まさかそれだけのためにこの学園に入ったとかじゃ……」
「ああ、まさしくその通りだが?」
「お、お前ってやつは……」
と、呆れて溜息が出てしまうが、俺も俺で人脈作りのために学園に入ったのだから人の事は言えない。
まぁでもそんな動機一つで学年主席を取れるということは中身は相当優秀なのだろう。
そんな会話をしていると気がつけば授業開始10分前になっていた。
(最初の授業は確か総合体育館で体力測定だったな)
女子は別室へ運動着に着替えに行き、男子は教室の中で着替えを始める。
だがそんな時だった。
いきなり教室の扉がバタッと開き、
「失礼するよ」
そう言って入ってきたのは金髪の男とその取り巻きと思われる二人の男たち。
その男衆は教室に入るなり、檀上前にあった椅子にドカッと腰を下ろした。
「……だ、誰だ?」
「ちっ、ジーク様のご登場かよ」
ジンが隣で舌打ちをしながら、ある人物の名が出てくる。
その様子から察するにあまり歓迎されていない感じだった。
「こぎげんよう、皆の衆。いきなり訪問してしまってすまないね」
すまないねと言う割には態度がデカく、まるで俺が一番偉いみたいな雰囲気を醸し出していた。
周りの男子生徒たちの表情から、結構な曲者であると判断できる。
「ご、ごきげんようジーク様。えーっと……本日はどういったご用件で?」
近くにいた男子生徒が対応。
確か名前はベルリ。
周りの話によるとこのクラスの委員長さんらしい。
「うん。今日は少し会いたい人がいてね。わざわざ足を運んだってわけさ」
「会いたい人、でございますか?」
金髪の男はその問いに返答。
会いたい人というが一体誰なのだろう……
と、思っていた時だった。
「そうさ。このクラスに転入してきたって話を聞いてね。確か名前は……ユーリ・フリージアとか言ったかな?」
(え、俺!?)
彼の一言。
そう、会いたいという人物は俺のことだったのである。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する
ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。
皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。
ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。
なんとか成敗してみたい。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる