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XYZ
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終わりというものはいつにだって来るものだ。
それを物語るのは人の生。
どう足掻いても生というのは死と関わってくる。
人生の終止符はそうかもしれない。
でも…終わりはいつだってどこにだってある。
テレビの終わり
花の終わり
季節の終わり
恋の終わり。
人間はよく言うわ。
終わりは始まりだって。
でもその終わりに最悪な呪いをかけられたなら?
始まりが怖くなるに決まってる。
恐怖心と、自分の歪められた感情に酷く吐き気がする。
終わりと始まりは紙一重なんかでは無い。
「はぁ…」
ダークラムの強い香りが鼻をくすぐる。
カランと氷がグラスにあたるがそれもお構い無しに傾けた。
強いアルコールが喉を通る度焼けるような熱さに少しだけさっきまでの寂しさが埋まったような気がした
「彩芽、本当に…男運ない?」
隣では容赦なく笑い飛ばす友達…棗がいるけど会話なんか頭に入らない。
ぐにゃりと歪んで聞こえる声が気持ち悪くて仕方がない。
「別に…私がダメだったらしいから。」
相手を貶すことも庇うこともなくそう一言だけ私は言った。
「優しすぎるんだよ彩芽。そんなんだから男、調子乗るの!」
何も言えない私の隣では私よりも冷静さを欠いている友達の姿。
そう言われても何を思えばいいのか分からず噛み砕いて飲み込む。
勝手に溶けていく。
氷みたいに。
「もうどっちにしろ、いい加減やだな。」
恋なんて、とはあえて言わずに口を噤んだ。
甘い砂糖なんていつかは慣れすぎて苦く感じる。
涙が出そうになると手先が冷えて一気に力が入らなくなる。
落として割っては行けないとグラスをカウンターに置く。
「それよりも、いいの?妹ちゃんに取られたなんて。」
「別に…もう知らないし。そう決めたんならいいんじゃない?」
1番聞きたくなかった現実に私は無理やり思考を止めて目を閉じる。
ラムの香りが今になってきつくなる。
甘ったるい香りが胃から這い上がってくるような、そんな感覚。
予想外なことなんていくらでも出てくる。
仕事のミスとか失敗とか。
常時よくあるものから、妹に恋人を取られるというようなものまで。
何度目か分からない溜息にもう呼吸さえ持ってかれる。
今はもう、泣きそうになるのを抑えるので精一杯だ。
「このまま泣き寝入りでいいわけ?!妹だからって許せないの!花鈴もきっと分かっててやってる!」
「本当にスパッと言ってくれるところ好きだよ。」
「あんたが言わないからだよ!あんなクズ真司とか放っておいちゃえ!」
「そうだろうね…」
どこか他人事のように言った。
そうしか言えなかった。
報われるなんて思ってないから。
ぼーっとする頭でそんなことを考えた。
グラスを傾けるけどあの喉を焼くようなラムの香りはもうない。
もうきっとやめ時というものだろう。
「あれ?グラス空いたの?もう一杯…」
「いや、いいよ。もう帰る。これ以上考えたくないから。」
忘れたい現実から目を背けたくて勝手に伝票を棗から奪う。
「ごめん先に帰るね。全部払っとくから。」
「ちょっ…待ってよ!まだ全部聞いてない!」
「…ごめん。」
何に対して謝ってるのかも分からないまま、私は酔った頭を無理やり動かして帰路へとつく。
ドアを開けた瞬間の外の空気は重く感じて、沈丁花の甘い香りがした。
季節とは裏腹な自分の気持ちが苦しい。
夢なら覚めなてくれいかなと願いながら歩いた。
「あれ?おかえりなさいー。遅かったじゃん。」
「…ただいま。」
聞こえた妹…花鈴の声を無視して自分の部屋へと向かう。
思い出すだけでも吐き気がする。
生活感のない部屋にある唯一のベッドに倒れ込みながら一瞬だけ、思い出す。
家の前で寄り添い合い微笑み合う2人。
会話なんか頭に入ってこない。
最初に聞こえた声で頭を殴られたかのような衝撃を感じたから。
『彩芽よりも好きだよ』
見たなら一言くらい文句言って殴ればよかっただろうか。
今日見たというのに早くも後悔が押し寄せる。
吐き出した息は重く、色で表すなら黒や青だろう。
もう、こんな思考では死のうかなとか、簡単に考えてしまう。
馬鹿らしくて、単純で、嫌な答えだった。
でもまだ、本当の事を聞いていない。
…聞いたところで返ってくる答えなんて想像ができている。
ああそうだよと呆れたように答えられるか
それともそんな訳ないと言い訳をするかの2択だ。
もしくはなんで疑っているんだと咎められるかもしれない。
あんな場面をみて正常でいられるはずがない。
きっとこれ以上は居られないという合図なんだろう。
でももし、知らなかったなら。
そっちの方が幸せだっただろうかと自分に問いかける。
もちろんそんなすぐに答えは出ない。
目を閉じれば好きと言ってくれた真司が目の前にいる気がした。
気づいた時にはもう遅い。
そんなのいつもだ。
スマホに入っているピアノバラードをイヤホンで大音量で流して目を閉じた。
眠れないと知りながら。
~XYZ~
・ライトラム
・コアントロー
・フレッシュレモンジュース
アルファベットの最後の文字3つであることからこれ以上無い究極のカクテルと言う意味合いが込められているとされている。
他にもXYZのレシピは非公開とされておりX、Y、Zを方程式に例え、クイズとして出していたという話もある。
XYZの意味は「ナイショ」だとも言われている。
アルコール度数は高くドライな味が特徴。
それを物語るのは人の生。
どう足掻いても生というのは死と関わってくる。
人生の終止符はそうかもしれない。
でも…終わりはいつだってどこにだってある。
テレビの終わり
花の終わり
季節の終わり
恋の終わり。
人間はよく言うわ。
終わりは始まりだって。
でもその終わりに最悪な呪いをかけられたなら?
始まりが怖くなるに決まってる。
恐怖心と、自分の歪められた感情に酷く吐き気がする。
終わりと始まりは紙一重なんかでは無い。
「はぁ…」
ダークラムの強い香りが鼻をくすぐる。
カランと氷がグラスにあたるがそれもお構い無しに傾けた。
強いアルコールが喉を通る度焼けるような熱さに少しだけさっきまでの寂しさが埋まったような気がした
「彩芽、本当に…男運ない?」
隣では容赦なく笑い飛ばす友達…棗がいるけど会話なんか頭に入らない。
ぐにゃりと歪んで聞こえる声が気持ち悪くて仕方がない。
「別に…私がダメだったらしいから。」
相手を貶すことも庇うこともなくそう一言だけ私は言った。
「優しすぎるんだよ彩芽。そんなんだから男、調子乗るの!」
何も言えない私の隣では私よりも冷静さを欠いている友達の姿。
そう言われても何を思えばいいのか分からず噛み砕いて飲み込む。
勝手に溶けていく。
氷みたいに。
「もうどっちにしろ、いい加減やだな。」
恋なんて、とはあえて言わずに口を噤んだ。
甘い砂糖なんていつかは慣れすぎて苦く感じる。
涙が出そうになると手先が冷えて一気に力が入らなくなる。
落として割っては行けないとグラスをカウンターに置く。
「それよりも、いいの?妹ちゃんに取られたなんて。」
「別に…もう知らないし。そう決めたんならいいんじゃない?」
1番聞きたくなかった現実に私は無理やり思考を止めて目を閉じる。
ラムの香りが今になってきつくなる。
甘ったるい香りが胃から這い上がってくるような、そんな感覚。
予想外なことなんていくらでも出てくる。
仕事のミスとか失敗とか。
常時よくあるものから、妹に恋人を取られるというようなものまで。
何度目か分からない溜息にもう呼吸さえ持ってかれる。
今はもう、泣きそうになるのを抑えるので精一杯だ。
「このまま泣き寝入りでいいわけ?!妹だからって許せないの!花鈴もきっと分かっててやってる!」
「本当にスパッと言ってくれるところ好きだよ。」
「あんたが言わないからだよ!あんなクズ真司とか放っておいちゃえ!」
「そうだろうね…」
どこか他人事のように言った。
そうしか言えなかった。
報われるなんて思ってないから。
ぼーっとする頭でそんなことを考えた。
グラスを傾けるけどあの喉を焼くようなラムの香りはもうない。
もうきっとやめ時というものだろう。
「あれ?グラス空いたの?もう一杯…」
「いや、いいよ。もう帰る。これ以上考えたくないから。」
忘れたい現実から目を背けたくて勝手に伝票を棗から奪う。
「ごめん先に帰るね。全部払っとくから。」
「ちょっ…待ってよ!まだ全部聞いてない!」
「…ごめん。」
何に対して謝ってるのかも分からないまま、私は酔った頭を無理やり動かして帰路へとつく。
ドアを開けた瞬間の外の空気は重く感じて、沈丁花の甘い香りがした。
季節とは裏腹な自分の気持ちが苦しい。
夢なら覚めなてくれいかなと願いながら歩いた。
「あれ?おかえりなさいー。遅かったじゃん。」
「…ただいま。」
聞こえた妹…花鈴の声を無視して自分の部屋へと向かう。
思い出すだけでも吐き気がする。
生活感のない部屋にある唯一のベッドに倒れ込みながら一瞬だけ、思い出す。
家の前で寄り添い合い微笑み合う2人。
会話なんか頭に入ってこない。
最初に聞こえた声で頭を殴られたかのような衝撃を感じたから。
『彩芽よりも好きだよ』
見たなら一言くらい文句言って殴ればよかっただろうか。
今日見たというのに早くも後悔が押し寄せる。
吐き出した息は重く、色で表すなら黒や青だろう。
もう、こんな思考では死のうかなとか、簡単に考えてしまう。
馬鹿らしくて、単純で、嫌な答えだった。
でもまだ、本当の事を聞いていない。
…聞いたところで返ってくる答えなんて想像ができている。
ああそうだよと呆れたように答えられるか
それともそんな訳ないと言い訳をするかの2択だ。
もしくはなんで疑っているんだと咎められるかもしれない。
あんな場面をみて正常でいられるはずがない。
きっとこれ以上は居られないという合図なんだろう。
でももし、知らなかったなら。
そっちの方が幸せだっただろうかと自分に問いかける。
もちろんそんなすぐに答えは出ない。
目を閉じれば好きと言ってくれた真司が目の前にいる気がした。
気づいた時にはもう遅い。
そんなのいつもだ。
スマホに入っているピアノバラードをイヤホンで大音量で流して目を閉じた。
眠れないと知りながら。
~XYZ~
・ライトラム
・コアントロー
・フレッシュレモンジュース
アルファベットの最後の文字3つであることからこれ以上無い究極のカクテルと言う意味合いが込められているとされている。
他にもXYZのレシピは非公開とされておりX、Y、Zを方程式に例え、クイズとして出していたという話もある。
XYZの意味は「ナイショ」だとも言われている。
アルコール度数は高くドライな味が特徴。
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