君と1日夢の旅

宵月

文字の大きさ
3 / 15

君が動くのは夢?それとも現実?

しおりを挟む



「ねぇ、ぬいぐるみ。」


「ぬいぐるみって呼び方やめようよ。ずっと僕達一緒にいるんだから。」


「…。」


本当にすごいぬいぐるみだ。


色々と。


「そうだ!僕に名前付けてよ!ずっとずっと猫さんって呼ばれてたの違和感だったんだ!」


そして厚かましい。


「その前に何個か質問をさせてくれ。これは夢じゃないんだよね?」


「夢じゃないよ。ほら、僕動いてるじゃない。」


…それが1番夢らしくて納得行かないんだけどな。


まぁ別に目が覚めたら動くはずもないからいいか。


「君はなんで動いてるの?」


「それはね~流生が大切にしてくれたから神様が僕を付喪神にしてくれたんだよ!」


…それもまたにわかに信じ難い。


夢としか思えない。


「これは何をすれば目が覚める?」


「だから夢じゃないってば!」


…まぁそうだよね。なるようになるしか…


「とりあえずほら、顔洗おうよ。目が覚めるよ?」


「確かに。」


ぬいぐるみの提案で目が覚めそうなのだ。


洗面所に行こうとするとぬいぐるみも着いてくる。


めちゃくちゃ足が遅い。


いやそうだよね。人間の1/10より小さい気がする。


足なんて5センチ程度しかない。


「ほら、下手に触ると耳とか腕とか外れそうだから乗って。」


「いいの?!乗る!」


腕を差し出して見ると結構素直に乗ってくれる。


腕を組んだところにぬいぐるみが乗っているというなんとも不思議な状態になった。


「えへへ…久しぶりだなぁ。」


嬉しそうに頬を両手で挟んでる。


なんて表現力の高いぬいぐるみだろうか。


「というか名前は?!僕につけてくれるでしょ?!」


こうして流そうとしてるのがバレた。


だってネーミングセンスないし…自分の子供に名前をつけるならどうする?って聞かれた時ですら何も思いつかなくて映画の映と答えて聞いてた全員に引かれた人間だ。


ぬいぐるみだとしても変な名前をつけては怒られそうだ。


「…どんな名前がいい?」


「それボクに聞いたら意味ないじゃん!ボクは流生につけて欲しいの!」


洗面所につくも思いつかずとりあえず顔を洗う。

水は冷たい。


冷えてて眠気が覚めそうだ。


いや、実際覚めてないのだが。


タオルで拭くと案外さっぱりした。


しかし夢から覚める気配はない。


「ねーねー名前ー。」


「うん、わかった。わかったから。」


さすがに諦めてもう一度腕の上にぬいぐるみを乗せる。


夢だと言うのにお腹がすいた。


「変な名前でも引かないでよ?」


「それは、君の名付け方次第だもん。」


付喪神のぬいぐるみって言ってたよね…


そしてぬいぐるみの形は猫。


「…つくね。」


「思ってた以上に酷い名前だね?!ボクもびっくりだよ?!これじゃおでんの具じゃないか!」


「だって猫のぬいぐるみの付喪神だろう?付喪神のつくと猫のねをとって、つくね。色も茶色いしいいんじゃない?」


「ええー!!色はこれ落ちたり汚れたりしただけだもん!」


怒ってるのはよく分かる。


腰に手を当ててるからだ。


「…洗ってあげようか。ちょっと痛いかもしれないけど。」


「え、何する気?」


「わたを一度抜いて、洗う。」


「何それ痛そう…」


「それは僕も思うよ。」


時計が指すのは7時。


…あれ?


「僕昨日寝たの4時だよね…」


学校から帰って…すぐに何もか投げ出して寝たから…


「うん。そうだね。ずっと寝てたよ。」


やっと、夢らしいところが出て来た、と1人思った。


「とりあえず朝ごはんを食べようか。夢なのにお腹空くなんて思ってなかったけど。」


「夢じゃないってば!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...