君と1日夢の旅

宵月

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君と買う、大切な金平糖

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食べ切れないだろうなとビニール袋までもらったというのに、いつの間にか袋の中は空っぽになっていた。


久しぶりにまともなもの食べたかも…とか、思う。


カリッと焼かれたプレッツェルは食べ応えもあり、すごく美味しく感じた。


「美味しかった…」


「ほんと?よかったね!」


流生ってば野菜ジュースだけとか…ということから始まるつくねの小言を聞く気はなかった。


…言い返せないし。


実際ここのところ休憩で取る社食以外はほぼほぼ栄養食ばかりだったからだ。


お腹がいっぱいになると眠気もくるからと八分目七分目くらしか食べなかったし…


…よく自分生きていたな。


思わずそう思う。


「もう!流生聞いてる?!」


「うん、聞いているよ。」


…半分どころか4分の1も聞いていない。


前も見たことがある気がする。


腕を組んで怒る姿。


「人間はちゃんと食べなきゃダメでしょ!死んじゃうんだから!」


「…善処するよ。」


実際こうやって食べると色々欲が出てくるものだと知った。


甘いものが食べたいとか…和食が食べたいとか。


今飲んだのはコーヒーだが紅茶が飲みたいとか。


出来ればルイボスの美味しいやつ。


あとは…あぁ、この前職場で誰かが話してたやつが食べたいな。


色々な野菜や小さなハンバーグに、チーズを溶かしてのせるやつ。


話だけ聞いてたけどすごく美味しそうだった。


欲求の5段階説というのは上手くできてるものだ。


確かに1つ何かが手に入れば次も、また次も、となるものなのだ。


あんなに行きたくないと思っていたのにつくねと居て、こうして今純粋に楽しんでいるとそれを一つ一つ教えたくなる。


会ってもいいのかな、と、思う。


「…次、行こうか。」


「次?どこに行くんだい?」


「気が変わったんだよ。」


コーヒーカップは置かれていたとはいえそのままにするのは気が引ける。


返却口らしい棚に置き、つくねを抱き上げ、階段をゆっくりと降りた。


「ねぇねぇ、どこに行くつもり?」


「さぁ…行けばわかるよ。つくねにも。」


「ボクにも?」


お店を出て駅の方まで歩く。


つくねはさっきよりも大人しくなっていて結構されるがままだ。


途中にある大きなお菓子屋さんに寄り一つ、大切なお菓子を探す。


「何を探してるの?」


不思議そうに僕の腕の中で聞く。


「…金平糖。」


そういうとつくねははっとしてそれ以上何も言いそうには無かった。


「今更…かな。怒られる覚悟は出来てるんだけど。」


「ほんとに?ほんとにほんと?」


「うん…お墓参り。付き合ってくれる?」


次の行先は、おばあちゃんのお墓。


そのためには、ちゃんと色々持っていかないと。


「…怒らないよ。」


ずっと静かだったつくねが、急に話し出した。


「だってずっとずっと待ってたんだもん。おばあちゃんも、流生のことずっと待ってた…はずだよ!」


「そうだといいな。会いに行くと悲しくなるから…行かなかっただけなんだけど。」


「流生が行くだけで絶対喜ぶから!行こう!ボクも、行きたい!」


金平糖は、紫のものを選んだ。


「…藤色。」


それは、おばあちゃんの大好きな色だった。


藤色の金平糖を買って、僕は駅へと向かった。


「おばあちゃん、喜ぶかな?」


「もちろんさ!ボクと、流生が行ったら絶対に!」


嬉しそうに飛び跳ねるつくねを抱き上げ、改札を通る。


時間は、15時。


無慈悲にも、夜に近づいていたのだ。
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