君と1日夢の旅

宵月

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君と来る、この旅の…

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電車で来た先は、白山。


子供の時の記憶を頼りに探してここまで来た。


いつぶりだろうか。


来たら悲しくなるからと、出来る限り避けていたのだ。


『おばあちゃん、これからどこにいくの?』


『さあねぇ。明るい街ばかり眺めるのは私にゃもうキツいもんでね。少し、都会離れしたところにでも行こうと思っていたのだけれど。』


右も左もわからない場所を、おばあちゃんの手だけを頼りに歩く。


もう一方の手は、一匹のぬいぐるみと手を繋いでいて、それはまだ、綺麗な黄色だ。


目の前を走り去る子供は坂を一気に下っていく。


優しく微笑むもう1人が、僕を追い越す。


そこでやっと立ち止まっていた事に気付く。


「どうしたの?流生。」


「…いや、何も。」


言葉を発してしまえば、その姿を引き止めてしまいそうだった。


どうするのが、正解なのだろうか。


ここへ来て、躊躇う。


「…行こうか。後悔するよね。」


夕焼けが、鮮やかに咲いている。


水にインクを垂らしたように滲んだ橙色が空を染めている。


きっとこれから、ゆっくりと滲んでいる紺色が空を染めるのだろう。


歩き出した足は、坂の傾斜によって軽く動く。


もう見ることもないが…後ろはゆっくりと花弁のように散っていった。


それに気づくことはなかったのだ。


「もう少しだよ。」


「楽しみだね!流生!」


自分に言い聞かせるように、もう少しと言った。


だんだん、自分の意思が、わからなくなっていたのだ。


このままがいい。


このままずっと、この一日が続けばいいんだ。


自分の中での簡単な答えが、今までより重いような気がした。


「…?流生?」


「何?」


「いや、どうしたのかなって。」


「どうして?」


「流生じゃないみたいだったから。あと、流生の心が泣いていたから。」


はっとした時にはつくねをアスファルトの上に落としていた。


「もう!痛いじゃないか!何するのさ!」


「ご…ごめんって。」


また落とされたくないからかつくねは僕の手からスイッとすり抜けて逃げていった。


もちろん歩くスピードが変わるわけではないので坂を下る速さは変わらないが。


「…これじゃ着くまでに時間かかるよ。


「だって流生が落とすから。」


「ごめんって…」


落とさないようにそっと、つくねを抱き上げた。


つくねよりも早い足で、坂を下った。


足取りが重いのなんて今だけで後から軽くなると思っているから。


「…ついたよ。」


その先にあるのは、音も何もしない霊園があるだけだった。
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