チートスキルで無自覚無双 ~ゴミスキルばかり入手したと思ってましたが実は最強でした~

Tamaki Yoshigae

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第26話 スポーンロックの秘密

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「あの……『メタルな敵』ってなんですか?」

総ツッコミを受けた俺は、リーダーにそう質問をしてみた。


……明らかに金属光沢を放ってたし、アレを「メタルな敵」と呼ぶことに関しては特に違和感は無い。
だが……それを一撃で倒すのは、何かおかしいことなのだろうか。


「知らないのか? つい最近出現しだした、新種のモンスターのこと。メタルな敵ってのはな……どんな攻撃を受けても、必ずダメージを1にしちまうモンスターのことだ」

不思議に思っていると……リーダーは、そう教えてくれた。

何だよそれ、理不尽すぎんだろそんな敵。
と言いつつも、なぜか俺は一撃で倒せたんだが……

「雷は弱点で、唯一1以上のダメージを与えられる……とかじゃないですか?」

「いや。ダメージに関しては、ソースが鑑定持ちの発言だからな。そんなはずはない」

ふと思いついた仮説を言ってみるも、それは一瞬で否定された。
そんなことなら、俺も鑑定してみれば良かったな……。

「北野君。なんか、変なアーティファクトとか装備してるんじゃない?」

などと考えていると、今度は平林さんにそう聞かれた。
平林さん、今回も参加してたんだな。

「そうだな。北野君なら、どんなトンデモアイテムを持ってたって、俺は驚きはしない」

リーダーも平林さんの発言を、そう追認する。
その納得の仕方は、なんか俺が変人扱いされてるみたいでちょっと解せないんだが……

などと思いつつも、俺は一度、自分が装備しているアーティファクトをチェックしてみることにした。
というのも……今回に関しては、心当たりが無いわけではなかったからだ。

不思議なアーティファクトといえば……そう。
スポーンロックの素材でできた、【???????】というアーティファクトがある。

ステータスウィンドウを開き、アーティファクト装備枠の一覧を眺める。
すると……【???????】というアーティファクトが無い代わりに、見覚えのないアーティファクトが存在していることが分かった。

「なんか『メタル定義変換』ってのがありました」

その効果は、「一撃あたりのメタルな敵に与えられる最大ダメージを100倍にする。3つまで効果重複可能」というものだった。

「「「それだーっ!」」」」

そのアーティファクト名を答えると、またもやメンバーたちの声がハモった。

「やっぱりなんかそういうの持ってたんじゃないか! というか、持ってることに気づかなかったのか?」

「少し前まで『???????』と表示されていたもんで……。おそらく、メタルな敵と対峙して効果名が開示された、とかかと」

「なるほど……。で、それ材料は何なんだ?」

「スポーンロックの素材7個ですね」

そんなやり取りをリーダーと続けていると。
またしても、ここにいる全員が口をあんぐりと開けた。

「スポーンロックって、壊しても奇跡的にしか素材手に入らないって発表されてたよね?」
「うん。それなんかネットで見た気がする」
「ってことは……北野君、いったい何個のスポーンロックを破壊したっていうの?」

……あれ。
スポーンロックの素材って、普通必ず手に入るんじゃないのか?
俺今までに二十ちょいのスポーンロックを破壊してきたけど、それら全部素材に変わってるし……。


という疑問は残ったが、俺はそれは一旦置いておいて、「メタルな敵」への対策について考えることにした。
この様子だと、「メタル定義変換」の持ち主は極端に少ない……少なくとも、この掃魔集会のメンバーにはいそうにないからな。

そんな所持率なら……せっかく形代化した紙を売っても、購入者がメタルな敵に遭遇してしまったら、何の役にも立たないということになってしまう。
それは避けたい。

何か良い方法はないか、とステータスウィンドウを眺めているうちに……俺は、とある仮説を立てるに至った。

スキル「固定ダメージ」を、形代化した折り紙に付与することってできないか?

おそらく「固定ダメージ」は、メタルな敵とかの特性を無視して決まったダメージを与えるものという認識で間違いないはず。
なら、そのスキルの効果を「融合魔法の素質」で、折り紙に付与させられたら……?

早速俺はアイテムボックスから折り紙を一枚取り出し、それを試してみた。
すると折り紙は一瞬輝き、「固定ダメージ」が付与されたことが確認できた。

あとはこれを、手裏剣の形にしてっと。

「平林さん。次メタルな敵に遭遇したら、これ投げてみてくれません?」

「……紙の手裏剣? そんなもの……まあでも北野君が言うなら」

果たして、俺以外の人が攻撃してもメタルな敵を一撃で倒せることになるのか。
それを、試してもらうことにした。






それから一時間後。
俺たちの目の前に、金属光沢のある全長1mくらいの蛾が現れた。

鑑定によると、ソイツは「メタルモス」。
正真正銘、メタルな敵だった。

「平林さん、あれを」
「分かった。えいっ!」

投げられた手裏剣は、若干明後日の方向に行きかけたが……それくらいは弾道補正でどうにかなり、メタルモスに直撃した。

「ギアアァァァッ!」

メタルモスは金属的な叫び声をあげたかと思うと、すぐに消滅した。

「な、何いぃぃっ!」
「夏音ちゃん、今のどうやったの!?」

平林さんの近くにいた人たちが、その様子に目を丸くしつつそう質問する。

「え、今何が? わ、私が一撃でメタルを……」

だが誰よりも、その結果に一番驚いていたのは平林さんだった。
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