チートスキルで無自覚無双 ~ゴミスキルばかり入手したと思ってましたが実は最強でした~

Tamaki Yoshigae

文字の大きさ
27 / 28

第27話 金属のドラゴン

しおりを挟む
「固定ダメージ」を付与した式神がちゃんとメタルな敵に効くことを確認した俺は、換金所に折り紙を売りに行ったのだが……換金所に行くと「そういう話になってくるとここで売るよりJMEO本部に相談した方がいいかもしれない」と言われたので、俺はその足でJMEO本部へと向かった。

そしてJMEO本部に持っていくと、JMEO本部職員による査定が行われたのち、「JMEOの管轄で一括販売、一般に流通させ、純利益の9割を俺に配分する」ということで、話がまとまった。

JMEOの受付の人からは、「これは相当売れるはずだから、これからも大量に生産して欲しい」などと言われたのだった。


その時は、そんなに売れるのかと思ったものだが……JMEOから初回納品分の売り切れが通知されたのは、なんと3日後のことだった。

本当に飛ぶように売れるんだなと思った俺は、平日の夜は形代作り、休日はモンスター狩りをするルーティーンで日々を過ごすようになった。

そうして、約1か月が経過した。





日曜日の朝。
朝食を食べながら、スマホを眺めていると……久しぶりに、JMEOのアプリから討伐要請の通知が来た。

早速通知をタップし、詳細を確認する。
すると……「竜型のモンスター、日本アルプスより東京に向かって移動中」という見出しと共に、一枚の航空写真が表示された。
航空写真に写っていたのは、おそらくメタルな敵と思われる、全身に金属光沢のあるドラゴンだった。

今ドラゴンがいる位置は、飛騨山脈の南端付近で……そこから、真東に向かって飛んでいる感じだな。
JMEO職員から聞いた話によると、「メタル定義変換」の普及率はあまり芳しくないみたいだし……今日は、これでも倒しに行くか。
何だかんだで俺、今までコツコツ集めてきた甲斐あって、「メタル定義変換」は併用上限の3つまで装備してるからな。

朝食を食べ終わると俺は「力源の衣」を着て、「極・低燃費高速飛行」「透明化」「実態消去」の3つを併用しての移動を開始した。
ドラゴンの移動速度から逆算して、鉢合わせするであろう地点を予測しつつその方向に飛んでいると……しばらくして、「第6のイーグルアイ」に、そのドラゴンの反応が映った。

脅威度は……モスプルヘイムと似たようなものって感じだな。
俺のレベルがモスプルヘイム戦当時の倍近くになっていることを考えると、実際のドラゴンの強さはモスプルヘイムより上ってとこか。

それを踏まえつつ……今回は、俺はディスラプター作戦は使わず正面から戦うことにした。


モスプルヘイム戦と今回の戦いでは、決定的に違うことが1点ある。
それは、俺が身代わりの式神である人形を大量に装着していることだ。

こんなこともあろうかと、俺は毎日コツコツ自分用に人形を折ってきていて……今ではその数なんと400枚以上になっている。
そしてそれら全てを、俺はポッケというポッケに突っ込みまくって全部携帯しているのだ。

俺の現在の最大HPは9450だが、身代わりが肩代わりしてくれるダメージの合計は100000。
実に、最大HPの10倍以上だ。

もしあのドラゴンが、即死の10倍以上の威力の攻撃手段を持ってたとしたら、これでも危ないのだが……だとしたら、「第6のイーグルアイ」による脅威度判定は「中くらい」なんかになるはずがない。
最悪、無傷で宣戦離脱するていどの余裕はあるはずなのだ。

だから、わざわざ相手を弱らせてからブチのめす必要はない。
俺はそう判断したというわけだ。


更にドラゴンに近づくと……俺はその姿を、肉眼で見れるようになった。
せっかくなので、鑑定してみる。
すると、あのドラゴンはやはり、「エンペラーメタルドラゴン」というメタルな敵だった。


さて、どうやって倒すか。
とりあえず、まずは「アークストライク」で様子見といくか。

「アークストライク」

MP10000を消費するつもりで、そう唱える。
すると、雷撃はドラゴンに直撃したのだが……その瞬間、ドラゴンからはバリアのようなエフェクトが発せられた。


あれは……確か、メタルな敵がダメージを抑え込んでることを示すエフェクトだったな。

「メタル定義変換」によって1発あたりメタルな敵に与えられるダメージが拡張しているとはいえ、どうやら今のはその上限よりも過剰なダメージを与えるものだったようだ。

つまり、MPを無駄遣いしたということになる。

あのドラゴンは、これでもまだピンピンしているし……おそらく今のダメージは、最大HPからすると微々たるものだったのだろう。

それを踏まえると……このドラゴン、攻撃回数を多くしない限りいつまで経っても倒せないということになるな。


そんな結論に達した俺は、アプローチを変えてみることにした。
攻撃の手数で勝負するといったら、あれしかない。

「化身の一撃——ヘカトンケイル召喚」

俺はこのメタルなドラゴンのHPを、ヘカトンケイルの連続打撃で削っていくことにした。

「化身の一撃——ヘカトンケイル召喚」
「化身の一撃——ヘカトンケイル召喚」
「化身の一撃——ヘカトンケイル召喚」
   ・
   ・
   ・

試しに唱えてみると、ヘカトンケイルは複数体同時召喚することができた。
これは、時短になりそうだな。

などと考えているうちにも、ヘカトンケイルたちはありとあらゆる方向からドラゴンをタコ殴りにしていき……もはやそこで何が起きているのか目で見ても分からないほど、光景はカオスになっていった。

そして、呼び出した全てのヘカトンケイルが攻撃をやめ、姿を消すと。
流石にオーバーキルだったのか、ドラゴンはすでに消滅し、そこにはひらひらと舞うガチャチケットが一枚残るだけとなっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

喪女だった私が異世界転生した途端に地味枠を脱却して逆転恋愛

タマ マコト
ファンタジー
喪女として誰にも選ばれない人生を終えた佐倉真凛は、異世界の伯爵家三女リーナとして転生する。 しかしそこでも彼女は、美しい姉妹に埋もれた「地味枠」の令嬢だった。 前世の経験から派手さを捨て、魔法地雷や罠といったトラップ魔法を選んだリーナは、目立たず確実に力を磨いていく。 魔法学園で騎士カイにその才能を見抜かれたことで、彼女の止まっていた人生は静かに動き出す。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

【状態異常無効】の俺、呪われた秘境に捨てられたけど、毒沼はただの温泉だし、呪いの果実は極上の美味でした

夏見ナイ
ファンタジー
支援術師ルインは【状態異常無効】という地味なスキルしか持たないことから、パーティを追放され、生きては帰れない『魔瘴の森』に捨てられてしまう。 しかし、彼にとってそこは楽園だった!致死性の毒沼は極上の温泉に、呪いの果実は栄養満点の美味に。唯一無二のスキルで死の土地を快適な拠点に変え、自由気ままなスローライフを満喫する。 やがて呪いで石化したエルフの少女を救い、もふもふの神獣を仲間に加え、彼の楽園はさらに賑やかになっていく。 一方、ルインを捨てた元パーティは崩壊寸前で……。 これは、追放された青年が、意図せず世界を救う拠点を作り上げてしまう、勘違い無自覚スローライフ・ファンタジー!

なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」 「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」 「それは貴様が無能だからだ!」 「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」 「黙れ、とっととここから消えるがいい!」  それは突然の出来事だった。  SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。  そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。 「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」 「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」 「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」  ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。  その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。 「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」

処理中です...