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9.やめてください。隣で子供が寝ているんですよ。
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「小笠原夫人の愛人殺し⋯⋯」
「その通りだ。小笠原社長も慌てたあまり、娘の虚言だと言えば良いものを、妻まで精神疾患を患っていると口走ったな」
緋色さんのいう通りだ。
あの場は、全て陽子の虚言だと言ってしまえば良かった。
それなのに、彼はあの場にいない小笠原夫人まで病人扱いしていた。
「勇はよく、そのような秘密を陽子から聞き出しましたね」
「君も彼のことは信頼していたと言っていたな。彼は人の信頼を得るにはどうしたら良いのかをよく分かっている。彼は小笠原陽子の信頼を得るために、君を裏切るように見せて10年近く身を捧げた。そして、すっかり騙されて彼を自分の家来扱いしていた陽子は口を滑らせたんだろう」
「小笠原夫人の愛人殺しを明らかにする必要と、私を守ることが何か関係がありますか?」
私には全く理解が追いつかなかった。
小笠原夫人とは今でも顔を合わすことはあるが、特に私に恨みを抱いているように見えたことはない。
「日陰、よく聞いてくれ。君が母親と思い探している望月加奈は、君の実の母親じゃない。君を産んだ母親は小笠原社長の愛人だった須藤玲香だ」
顔を覆い隠すようにしていた私の手をとり、私の目を見つめながら言った緋色さんの言葉に私の世界は暗転した。
♢♢♢
「ちょっと、何をなさるんですか? やめてください」
気が付くと車は家の前までついていたようだ。
緋色さんが、私をお姫様抱っこしようとしているところだった。
「そんな、人を痴漢扱いして酷いな。俺は君が気を失ってしまったから、部屋まで運ぼうと思っただけなのに」
「すみませんでした。私、気を失っていたんですね」
気を失ったことなんて初めてだ。
それほど、先程聞いた母親についての話は信じられなかった。
「自分で歩けそうなら、安心した。それと、復讐のご褒美の件だが今日は俺と一緒のベッドで寝てくれないか?」
彼の提案に思わずため息が漏れた。
「もちろん、何もしない。ただ一緒にいたいんだ⋯⋯」
「わかりました。今日は一緒のベッドで眠りましょう」
夫であるのに「何もしない」と私に必死に弁明している彼に思わず苦笑した。
「別に、俺は何かしても構わないんだが」
「いや、今、何もしないって言いましたよね」
彼は初対面では洗練された大人の男に見えたが、少し子供っぽいところがある。
「私の父親は望月健太ですか?」
「戸籍上はそうなっているが、どうなんだろうな。普通に考えれば小笠原社長の愛人だった須藤玲香の子の父親が望月健太である可能性は低いだろう」
彼のいう通りだ、普通に考えれば私の父親は小笠原社長だ。
(でも、あんな人の心を持たないような人が父親だとは認めたくないわ)
「それに人を殺して、裁かれないなんてことあるんでしょうか? 日本の話じゃないみたいです」
「じゃあ、どこの国の話なんだ? 小笠原家と付き合っていれば、実はこの国が金と権力のある人間にとっちゃ何でもありだと分かりそうだが」
これも、彼の言う通りだ。
陽子は学力もないのに、私を追って進学校に入り大学まで追ってきた。
赤点を連発しても普通に卒業している。
その上、低身長で英語力もないのにCAになっている。
(そのような思い通りの人生を送っているから、陽子は自分のことを特別な上級国民とか言っちゃってたのかしら。何だか痛々しいわ)
「本当ですね。もう、この話はやめましょう。ひなたが待っています」
緋色さんにしても、勇にしても私より真実を知ってそうだ。
気になって仕方がないけれど、子供の前で話す話じゃない。
「ママ、パパお帰りなさい」
ベビーシッターさんに連れられたひなたが出迎えてくれる。
(ママと呼ばせてしまって良いのかしら⋯⋯今までにない罪悪感があるのはなんで?)
自分が思っていた母親が、自分を産んだ母親ではなかった。
私は今その事実に動揺していて、目の前にいるひなたにも同じ動揺を今後与えるかもしれないと思うと不安になる。
「本当に喋れるようになったんだな」
突然、隣にいた緋色さんが発した言葉に我に返った。
「緋色さん、驚くのはまだ早いですよ。ひなた、今日は何をしたのかママに教えてくれる?」
「今日はね。狼の絵本読んで、ブロックでも遊んだよ。それからね、クッキー作りもした」
「本当に? ひなたの作ったクッキー食べたい」
「食べられるよ。まだある」
ひなたと私の会話に驚いている緋色さんを横目に、私達は食卓についた。
今日はパーティーでは何も食べられないと予想していたから、食事は作っておいた。
ひなたのリクエストでハンバーグだ。
「子供というのは、こんなに急に話せるようになるものなのか? 日陰が沢山ひなたに話し掛けてくれたおかげだな」
耳元で嬉しそうにいう緋色さんの言葉がくすぐったい。
「いえいえ、緋色さん。ひなたの溜め込んだ言葉が出てきただけですよ。そういえば、ひなたを来年度から幼稚園に行かせようと思うのですが大丈夫ですか?」
「そう、僕、行きたい幼稚園があるんだ」
近所の公園で遊んでいた時に、幼稚園の子たちが遊んでいた。
ひなたはその子たちと同じ幼稚園に行きたいらしい。
「もちろん。行きたいところに行くといい」
緋色さんの言葉にひなたが嬉しそうにする。
私はテーブルの下で拳を握りしめた。
来年度、私はこの世にいない。
ひなたが3歳で年少になり幼稚園に通う姿を、私は見られないかもしれない。
「それにしても、ママのハンバーグは美味しいね。僕のクッキーも美味しいよ」
ひなたが笑顔で自分の作ったクッキーを私に食べさせてくる。
「ありがとう。本当に美味しいわ」
「ひなた、クッキーはご飯を食べた後だぞ」
すかさず注意する緋色さんがお父さんの顔をしている。
このような家族団欒の幸せな時間を過ごしてしまうと、死ぬのが怖くなってしまう。
「ねえ、ひなた。今日はパパとママと一緒に寝ようか」
私はひなたに提案してみた。
ひなたは赤ちゃんの頃から1人部屋で寝ているらしい。
しかし、私は親子で川の字で眠るのに憧れていた。
それに時間がないと思うと、少しでもひなたと一緒にいたいと思ってしまう。
「えっ?」
驚いた顔をして私を見てくる緋色さんの事を、本当は私に何かする気だったのではないかと疑ってしまった。
(緋色さんが嫌いな訳ではないけれど、余命1年もない時に新しい命ができるかもしれない可能性のあることはできないわ)
「やったー。みんな一緒だ」
ひなたの満面の笑みと共に、3人で川の字で眠ることが決定した。
♢♢♢
「ふふっ、やっと寝てくれましたね」
ひなたはみんなで一緒に眠れるのが嬉しいのか、なかなか眠りにつかなかった。
「ひなたには驚いたよ。あんなに喋られるようになったんだな。本当はずっと心配していたんだ。よく考えれば、ひなたは日本語に触れる機会さえ少なすぎたのかもな。俺自身もひなたが人形みたいに見えてしまうこともあって、話しかけるのを躊躇ってたところがあった」
「緋色さんが話しかけていたから、溜めていた言葉が出てきたんですよ。それよりも本当に幼稚園で大丈夫ですか? 預かり保育とかはあリますが、シングルファザーの緋色さんには保育園の方がやはり便利な気がするのですが」
ひなたが希望するから幼稚園に通うことを提案したが、来年度から緋色さんはシングルファザーだ。
外部のサービスを利用したりして、ひなたの希望を通す為に何とかするつもりなのだろうか。
「日陰がいるじゃないか」
「来年度には私はいませんよ。それとも、またひなたのお母さん代わりを連れてくるんですか? 緋色さんと結婚したい方は沢山いそうだし、もう候補がいたりして」
私は自分が思ってもないことを口走っていることに驚いてしまった。
一緒に暮らしていても、緋色さんは仕事熱心で他の女性の影なんて感じたことがない。
しかし、彼が私と死別した後、シングルになっても相手には困らないだろうと予想ができてしまった。
「日陰、そんなことを言っていると本気で怒るぞ」
気が付くと私の上に緋色さんが乗っかってきてて驚いてしまう。
彼の目を見ると真剣に怒っているのがわかる。
(でも、私がいなくなるのは本当のことだから仕方がないじゃないか⋯⋯)
「やめてください。隣で子供が寝ているんですよ」
私は思いっきり手を突っ張って、緋色さんを押し返した。
「その通りだ。小笠原社長も慌てたあまり、娘の虚言だと言えば良いものを、妻まで精神疾患を患っていると口走ったな」
緋色さんのいう通りだ。
あの場は、全て陽子の虚言だと言ってしまえば良かった。
それなのに、彼はあの場にいない小笠原夫人まで病人扱いしていた。
「勇はよく、そのような秘密を陽子から聞き出しましたね」
「君も彼のことは信頼していたと言っていたな。彼は人の信頼を得るにはどうしたら良いのかをよく分かっている。彼は小笠原陽子の信頼を得るために、君を裏切るように見せて10年近く身を捧げた。そして、すっかり騙されて彼を自分の家来扱いしていた陽子は口を滑らせたんだろう」
「小笠原夫人の愛人殺しを明らかにする必要と、私を守ることが何か関係がありますか?」
私には全く理解が追いつかなかった。
小笠原夫人とは今でも顔を合わすことはあるが、特に私に恨みを抱いているように見えたことはない。
「日陰、よく聞いてくれ。君が母親と思い探している望月加奈は、君の実の母親じゃない。君を産んだ母親は小笠原社長の愛人だった須藤玲香だ」
顔を覆い隠すようにしていた私の手をとり、私の目を見つめながら言った緋色さんの言葉に私の世界は暗転した。
♢♢♢
「ちょっと、何をなさるんですか? やめてください」
気が付くと車は家の前までついていたようだ。
緋色さんが、私をお姫様抱っこしようとしているところだった。
「そんな、人を痴漢扱いして酷いな。俺は君が気を失ってしまったから、部屋まで運ぼうと思っただけなのに」
「すみませんでした。私、気を失っていたんですね」
気を失ったことなんて初めてだ。
それほど、先程聞いた母親についての話は信じられなかった。
「自分で歩けそうなら、安心した。それと、復讐のご褒美の件だが今日は俺と一緒のベッドで寝てくれないか?」
彼の提案に思わずため息が漏れた。
「もちろん、何もしない。ただ一緒にいたいんだ⋯⋯」
「わかりました。今日は一緒のベッドで眠りましょう」
夫であるのに「何もしない」と私に必死に弁明している彼に思わず苦笑した。
「別に、俺は何かしても構わないんだが」
「いや、今、何もしないって言いましたよね」
彼は初対面では洗練された大人の男に見えたが、少し子供っぽいところがある。
「私の父親は望月健太ですか?」
「戸籍上はそうなっているが、どうなんだろうな。普通に考えれば小笠原社長の愛人だった須藤玲香の子の父親が望月健太である可能性は低いだろう」
彼のいう通りだ、普通に考えれば私の父親は小笠原社長だ。
(でも、あんな人の心を持たないような人が父親だとは認めたくないわ)
「それに人を殺して、裁かれないなんてことあるんでしょうか? 日本の話じゃないみたいです」
「じゃあ、どこの国の話なんだ? 小笠原家と付き合っていれば、実はこの国が金と権力のある人間にとっちゃ何でもありだと分かりそうだが」
これも、彼の言う通りだ。
陽子は学力もないのに、私を追って進学校に入り大学まで追ってきた。
赤点を連発しても普通に卒業している。
その上、低身長で英語力もないのにCAになっている。
(そのような思い通りの人生を送っているから、陽子は自分のことを特別な上級国民とか言っちゃってたのかしら。何だか痛々しいわ)
「本当ですね。もう、この話はやめましょう。ひなたが待っています」
緋色さんにしても、勇にしても私より真実を知ってそうだ。
気になって仕方がないけれど、子供の前で話す話じゃない。
「ママ、パパお帰りなさい」
ベビーシッターさんに連れられたひなたが出迎えてくれる。
(ママと呼ばせてしまって良いのかしら⋯⋯今までにない罪悪感があるのはなんで?)
自分が思っていた母親が、自分を産んだ母親ではなかった。
私は今その事実に動揺していて、目の前にいるひなたにも同じ動揺を今後与えるかもしれないと思うと不安になる。
「本当に喋れるようになったんだな」
突然、隣にいた緋色さんが発した言葉に我に返った。
「緋色さん、驚くのはまだ早いですよ。ひなた、今日は何をしたのかママに教えてくれる?」
「今日はね。狼の絵本読んで、ブロックでも遊んだよ。それからね、クッキー作りもした」
「本当に? ひなたの作ったクッキー食べたい」
「食べられるよ。まだある」
ひなたと私の会話に驚いている緋色さんを横目に、私達は食卓についた。
今日はパーティーでは何も食べられないと予想していたから、食事は作っておいた。
ひなたのリクエストでハンバーグだ。
「子供というのは、こんなに急に話せるようになるものなのか? 日陰が沢山ひなたに話し掛けてくれたおかげだな」
耳元で嬉しそうにいう緋色さんの言葉がくすぐったい。
「いえいえ、緋色さん。ひなたの溜め込んだ言葉が出てきただけですよ。そういえば、ひなたを来年度から幼稚園に行かせようと思うのですが大丈夫ですか?」
「そう、僕、行きたい幼稚園があるんだ」
近所の公園で遊んでいた時に、幼稚園の子たちが遊んでいた。
ひなたはその子たちと同じ幼稚園に行きたいらしい。
「もちろん。行きたいところに行くといい」
緋色さんの言葉にひなたが嬉しそうにする。
私はテーブルの下で拳を握りしめた。
来年度、私はこの世にいない。
ひなたが3歳で年少になり幼稚園に通う姿を、私は見られないかもしれない。
「それにしても、ママのハンバーグは美味しいね。僕のクッキーも美味しいよ」
ひなたが笑顔で自分の作ったクッキーを私に食べさせてくる。
「ありがとう。本当に美味しいわ」
「ひなた、クッキーはご飯を食べた後だぞ」
すかさず注意する緋色さんがお父さんの顔をしている。
このような家族団欒の幸せな時間を過ごしてしまうと、死ぬのが怖くなってしまう。
「ねえ、ひなた。今日はパパとママと一緒に寝ようか」
私はひなたに提案してみた。
ひなたは赤ちゃんの頃から1人部屋で寝ているらしい。
しかし、私は親子で川の字で眠るのに憧れていた。
それに時間がないと思うと、少しでもひなたと一緒にいたいと思ってしまう。
「えっ?」
驚いた顔をして私を見てくる緋色さんの事を、本当は私に何かする気だったのではないかと疑ってしまった。
(緋色さんが嫌いな訳ではないけれど、余命1年もない時に新しい命ができるかもしれない可能性のあることはできないわ)
「やったー。みんな一緒だ」
ひなたの満面の笑みと共に、3人で川の字で眠ることが決定した。
♢♢♢
「ふふっ、やっと寝てくれましたね」
ひなたはみんなで一緒に眠れるのが嬉しいのか、なかなか眠りにつかなかった。
「ひなたには驚いたよ。あんなに喋られるようになったんだな。本当はずっと心配していたんだ。よく考えれば、ひなたは日本語に触れる機会さえ少なすぎたのかもな。俺自身もひなたが人形みたいに見えてしまうこともあって、話しかけるのを躊躇ってたところがあった」
「緋色さんが話しかけていたから、溜めていた言葉が出てきたんですよ。それよりも本当に幼稚園で大丈夫ですか? 預かり保育とかはあリますが、シングルファザーの緋色さんには保育園の方がやはり便利な気がするのですが」
ひなたが希望するから幼稚園に通うことを提案したが、来年度から緋色さんはシングルファザーだ。
外部のサービスを利用したりして、ひなたの希望を通す為に何とかするつもりなのだろうか。
「日陰がいるじゃないか」
「来年度には私はいませんよ。それとも、またひなたのお母さん代わりを連れてくるんですか? 緋色さんと結婚したい方は沢山いそうだし、もう候補がいたりして」
私は自分が思ってもないことを口走っていることに驚いてしまった。
一緒に暮らしていても、緋色さんは仕事熱心で他の女性の影なんて感じたことがない。
しかし、彼が私と死別した後、シングルになっても相手には困らないだろうと予想ができてしまった。
「日陰、そんなことを言っていると本気で怒るぞ」
気が付くと私の上に緋色さんが乗っかってきてて驚いてしまう。
彼の目を見ると真剣に怒っているのがわかる。
(でも、私がいなくなるのは本当のことだから仕方がないじゃないか⋯⋯)
「やめてください。隣で子供が寝ているんですよ」
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