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17.俺のものになって、日陰さん。
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「信じられないわ。美談にすり替わっている」
一晩中、緋色さんと攻防し、朝テレビをかけると昨日の出来事は全く違う物語にすり替わってた。
小笠原社長が私が隠し子であることを公表したのだ。
そして、元々精神疾患を持っていた陽子が、父親に隠し子がいることを知り追い詰められたことになっている。
「思っていた以上だったな小笠原社長は⋯⋯今日から日陰の周りも少し騒がしくなるかもしれない」
「そうだ、今日からプレ幼稚園にひなたを連れて行きます。ご報告遅れました」
「パパ、僕、幼稚園に行ってきます」
ひなたの無邪気な笑顔に救われる。
世の中は全く事実とは違った方向に向かっていっていた。
小笠原社長は夫人が重い精神疾患を患っていることに苦しんでいた。
苦しみの中、心を通わせた相手である須藤玲香との間にできた愛の結晶が私⋯⋯夫人の魔の手から逃すように私を望月夫婦の手に託したというストーリー。
事実を曲げられた小笠原社長に都合の良い感動ポルノが、朝から巷を賑わせていた。
小笠原製薬の株価も上がっている。
(陽子や小笠原夫人より、私は小笠原社長が一番嫌⋯⋯)
「日陰、大丈夫か? 今日はプレ幼稚園は休んで家族で一緒に部屋で過ごそうか?」
緋色さんが私のことを心配をしているのが分かる。
「幼稚園に行けないの?」
「行けるよ。ひなた」
不安そうな顔を向けてきたひなたを思いっきり抱きしめた。
「緋色さん、今晩は私のことを思いっきり抱っこしてくれますか?」
自分でも、はしたない事を言っている気がする。
変な誘い方だとは思うが、ひなたの前なのでおかしな事はいえない。
出生のこと、小笠原家のことで頭がパンクしそうだ。
「日陰、嫌ってくらい抱っこするから覚悟してろよ」
緋色さんの言葉に勇気が出た。
私は彼に本当は最初から相当惹かれている。
それを認めるまで、沢山のことがブレーキをかけてきた。
「じゃあ、行ってきます」
緋色さんは仕事へ、私はひなたとプレ幼稚園に行く。
「ママとパパはお友達?」
幼稚園に行く途中でひなたが話しかけきた。
「お友達じゃないけれど、仲良しだよ」
ひなたはお友達を「仲良し」という意味で使っているんだろう。
私はもっと緋色さんと仲良くなりたい。
「お友達じゃないのに仲良しなの?」
ひなたが不思議そうに聞いてくるのが可愛くて仕方がない。
「お友達じゃなくて、ひなたとママとパパは家族なんだよ。だから仲良しなの」
私はひなたの手をギュッと握りしめた。
(この幸せがずっと続けば良い⋯⋯大好きなひなたと緋色さんと3人家族の幸せ)
「では、ひなた君をお預かりしますね。11時半にお迎えに来てください」
「はい、よろしくお願いします」
プレ幼稚園は午前保育だ。
公園で見たことある先生に、ひなたも安心したようだった。
他の保護者からの視線を感じるが、ニュースでも私の顔は被害者として出てしまっているし仕方がない。
(ひなたに悪い影響がなければ、私はどう思われたって良いわ)
ひなたのプレ幼稚園は2時間だ。
私がとりあえず一旦家に帰ろうとした時、目の前に黒塗りの車が止まった。
「小笠原社長がお話があるので来てください」
「お断りします。私、忙しいので」
中から出てきた妙齢のベテラン秘書のような男性の申し出を断ると苦笑された。
「11時半まで暇ですよね。反抗的な態度で男の気を引くのは須藤玲香そっくりですね」
冷たい目をした男に腕を引かれ車に乗せられる。
須藤玲香さんは全ての男が虜になりそうな魔性の女に見えたが、この男には嫌われていたようだ。
「ちょっと、何なのよ。偉そうに」
私を嘲笑う男に抗議をしようとしたら、隣から聞いたことある声がした。
「玲香に似て美しいな。良い女になったな日陰」
黒塗りの車の後部座先の座っていたのは小笠原社長だった。
(娘に対して言うセリフなの? なんか女として見られているようで、気持ち悪いわ)
「今更、私のことを自分の娘として扱わないでください。私の父親は望月健太です」
「そうではないことは君も知っているだろう。君は私と玲香の愛の結晶だ。生かしておいて良かった。こんなに美しく育つとは」
他の愛人の子は殺してそうなセリフに、恐怖を感じる。
妻がいながら、愛人との子を愛の結晶などと宣う彼が心底気持ち悪い。
「降ろしてください。それと私はあなたを父親とは思っていません。愛の結晶って何ですか? 所詮、愛人との子でしょ」
自分で言って、自分をナイフで傷つけているような気分になった。
きっと、小笠原夫人や陽子にとって私は所詮愛人との子なのだろう。
小笠原社長にとってはお気に入りの愛人の子だっただけだ。
望月夫妻にとっては、私は迷惑な存在でしかなかったのかもしれない。
(緋色さんと、ひなたに会いたい⋯⋯何だか苦しいわ)
「私は妻を愛していなかった。私を公私ともに支えてくれたのは、玲香だ。聡明で美しい彼女と私は心から愛し合っていた。先に家柄だけの妻と結婚してしまっただけの話だ」
言い捨てるように話した小笠原社長の話に感動できないのはなぜだろう。
(両親が愛し合っていたという話なのに、気持ち悪くて仕方がない)
「小笠原社長も玲香さんも私に興味などありませんでしたよね。2人を見かけたことがありますが、愛の結晶であるはずの私を無視していたと記憶しています」
私は2人を見かけたことが幼少期に何度もあった。
でも、2人は私を全く見ることがなかった。
2人で愛し合ってできた子だとか言う癖に愛情など感じなかった。
「拗ねているのか? そういう駆け引きのうまさも母親譲りだな。それにしても白川社長は本当にやり手だな。君と結婚したことで彼は小笠原家の財産も手に入れることになった」
小笠原社長の言葉に私は気分が悪くなった。
(緋色さんは私に一目惚れしてプロポーズしたと言っていたけれど、私の出生の秘密を知っていて近づいてきたの?)
「勝手なことばかり言わないでください。もう、降ろしてください。私は今後一切小笠原家とは関わる気はございません。それに緋色さんは私に一目惚れしたって言ってました」
「流石は白川緋色だな。あれだけのルックスだ。女を利用することにも慣れているんだろう。君のような男慣れしていない女を落とすなど朝飯前だろうな」
小笠原社長の言葉に何も返せなくなる。
勇という彼氏と10年以上付き合っていたけれど、自分が男慣れしているとは思えない。
緋色さんの一挙手一投足に翻弄されて、彼にどんどん惹かれていってしまっているのも事実だ。
私は緋色さんが話してくれた初めての出会いの瞬間を覚えていない。
(あれが作り話で、緋色さんが初めから財産目当てで私に近づいたなんて可能性もあるの?)
「日陰、白川社長と離婚して森田君と一緒になりなさい。私はお前の幸せを望んでいる。利用されて不幸になることは望んでいない」
「私に指図しないでください。私はあなたを父親とは思っていません」
小笠原社長の全てが不快だ。
彼が私の父親だなんて信じられない。
(離婚しろ? 森田と一緒になれ? 森田って誰よ)
突然、車を降ろされて庭園みたいな場所にいたのは森田蓮だった。
「蓮君、日陰は色々あってナーバスになっているようだから宜しく頼むよ」
遊び人で有名な陽子の元婚約者だ。
(小笠原社長はどうしても森田食品との強いつながりが欲しいみたいね)
「日陰さん。あなたを一目見た瞬間から、恋に落ちました」
私を見るなり森田蓮が近づいてくる。
「遊び人なら遊び人らしい個性のある口説き方をしたらどうですか? 一目惚れみたいな言葉はもう聞き飽きました」
「一目惚れ」と言う言葉で口説かれたのは緋色さんが初めてではない。
私が緋色さんの言葉を特別に思っていただけだ。
(私、緋色さんのことが本当に好きなんだわ。だから、彼の言葉を全部信じてしまってた⋯⋯)
はっきり言って私は男を見る目に自信が全くない。
初恋の綾野先輩には裏切られたし、勇には裏切っていたのかも分からない愛され方をしていた。
(男の人は何を考えているか分からない。好きになって傷つくのはもう嫌だ)
「じゃあ、俺のやり方で行くよ。君を俺のものにしたいのは本当だ。俺のものになって、日陰さん」
私の頬を包み込み、森田蓮の顔が近づいて来る。
あの音声データを聞いて、私の好みは強引なタイプだとでも考えたのだろうか。
だとしたら、それは間違いだという訂正情報も流したいと思った。
一晩中、緋色さんと攻防し、朝テレビをかけると昨日の出来事は全く違う物語にすり替わってた。
小笠原社長が私が隠し子であることを公表したのだ。
そして、元々精神疾患を持っていた陽子が、父親に隠し子がいることを知り追い詰められたことになっている。
「思っていた以上だったな小笠原社長は⋯⋯今日から日陰の周りも少し騒がしくなるかもしれない」
「そうだ、今日からプレ幼稚園にひなたを連れて行きます。ご報告遅れました」
「パパ、僕、幼稚園に行ってきます」
ひなたの無邪気な笑顔に救われる。
世の中は全く事実とは違った方向に向かっていっていた。
小笠原社長は夫人が重い精神疾患を患っていることに苦しんでいた。
苦しみの中、心を通わせた相手である須藤玲香との間にできた愛の結晶が私⋯⋯夫人の魔の手から逃すように私を望月夫婦の手に託したというストーリー。
事実を曲げられた小笠原社長に都合の良い感動ポルノが、朝から巷を賑わせていた。
小笠原製薬の株価も上がっている。
(陽子や小笠原夫人より、私は小笠原社長が一番嫌⋯⋯)
「日陰、大丈夫か? 今日はプレ幼稚園は休んで家族で一緒に部屋で過ごそうか?」
緋色さんが私のことを心配をしているのが分かる。
「幼稚園に行けないの?」
「行けるよ。ひなた」
不安そうな顔を向けてきたひなたを思いっきり抱きしめた。
「緋色さん、今晩は私のことを思いっきり抱っこしてくれますか?」
自分でも、はしたない事を言っている気がする。
変な誘い方だとは思うが、ひなたの前なのでおかしな事はいえない。
出生のこと、小笠原家のことで頭がパンクしそうだ。
「日陰、嫌ってくらい抱っこするから覚悟してろよ」
緋色さんの言葉に勇気が出た。
私は彼に本当は最初から相当惹かれている。
それを認めるまで、沢山のことがブレーキをかけてきた。
「じゃあ、行ってきます」
緋色さんは仕事へ、私はひなたとプレ幼稚園に行く。
「ママとパパはお友達?」
幼稚園に行く途中でひなたが話しかけきた。
「お友達じゃないけれど、仲良しだよ」
ひなたはお友達を「仲良し」という意味で使っているんだろう。
私はもっと緋色さんと仲良くなりたい。
「お友達じゃないのに仲良しなの?」
ひなたが不思議そうに聞いてくるのが可愛くて仕方がない。
「お友達じゃなくて、ひなたとママとパパは家族なんだよ。だから仲良しなの」
私はひなたの手をギュッと握りしめた。
(この幸せがずっと続けば良い⋯⋯大好きなひなたと緋色さんと3人家族の幸せ)
「では、ひなた君をお預かりしますね。11時半にお迎えに来てください」
「はい、よろしくお願いします」
プレ幼稚園は午前保育だ。
公園で見たことある先生に、ひなたも安心したようだった。
他の保護者からの視線を感じるが、ニュースでも私の顔は被害者として出てしまっているし仕方がない。
(ひなたに悪い影響がなければ、私はどう思われたって良いわ)
ひなたのプレ幼稚園は2時間だ。
私がとりあえず一旦家に帰ろうとした時、目の前に黒塗りの車が止まった。
「小笠原社長がお話があるので来てください」
「お断りします。私、忙しいので」
中から出てきた妙齢のベテラン秘書のような男性の申し出を断ると苦笑された。
「11時半まで暇ですよね。反抗的な態度で男の気を引くのは須藤玲香そっくりですね」
冷たい目をした男に腕を引かれ車に乗せられる。
須藤玲香さんは全ての男が虜になりそうな魔性の女に見えたが、この男には嫌われていたようだ。
「ちょっと、何なのよ。偉そうに」
私を嘲笑う男に抗議をしようとしたら、隣から聞いたことある声がした。
「玲香に似て美しいな。良い女になったな日陰」
黒塗りの車の後部座先の座っていたのは小笠原社長だった。
(娘に対して言うセリフなの? なんか女として見られているようで、気持ち悪いわ)
「今更、私のことを自分の娘として扱わないでください。私の父親は望月健太です」
「そうではないことは君も知っているだろう。君は私と玲香の愛の結晶だ。生かしておいて良かった。こんなに美しく育つとは」
他の愛人の子は殺してそうなセリフに、恐怖を感じる。
妻がいながら、愛人との子を愛の結晶などと宣う彼が心底気持ち悪い。
「降ろしてください。それと私はあなたを父親とは思っていません。愛の結晶って何ですか? 所詮、愛人との子でしょ」
自分で言って、自分をナイフで傷つけているような気分になった。
きっと、小笠原夫人や陽子にとって私は所詮愛人との子なのだろう。
小笠原社長にとってはお気に入りの愛人の子だっただけだ。
望月夫妻にとっては、私は迷惑な存在でしかなかったのかもしれない。
(緋色さんと、ひなたに会いたい⋯⋯何だか苦しいわ)
「私は妻を愛していなかった。私を公私ともに支えてくれたのは、玲香だ。聡明で美しい彼女と私は心から愛し合っていた。先に家柄だけの妻と結婚してしまっただけの話だ」
言い捨てるように話した小笠原社長の話に感動できないのはなぜだろう。
(両親が愛し合っていたという話なのに、気持ち悪くて仕方がない)
「小笠原社長も玲香さんも私に興味などありませんでしたよね。2人を見かけたことがありますが、愛の結晶であるはずの私を無視していたと記憶しています」
私は2人を見かけたことが幼少期に何度もあった。
でも、2人は私を全く見ることがなかった。
2人で愛し合ってできた子だとか言う癖に愛情など感じなかった。
「拗ねているのか? そういう駆け引きのうまさも母親譲りだな。それにしても白川社長は本当にやり手だな。君と結婚したことで彼は小笠原家の財産も手に入れることになった」
小笠原社長の言葉に私は気分が悪くなった。
(緋色さんは私に一目惚れしてプロポーズしたと言っていたけれど、私の出生の秘密を知っていて近づいてきたの?)
「勝手なことばかり言わないでください。もう、降ろしてください。私は今後一切小笠原家とは関わる気はございません。それに緋色さんは私に一目惚れしたって言ってました」
「流石は白川緋色だな。あれだけのルックスだ。女を利用することにも慣れているんだろう。君のような男慣れしていない女を落とすなど朝飯前だろうな」
小笠原社長の言葉に何も返せなくなる。
勇という彼氏と10年以上付き合っていたけれど、自分が男慣れしているとは思えない。
緋色さんの一挙手一投足に翻弄されて、彼にどんどん惹かれていってしまっているのも事実だ。
私は緋色さんが話してくれた初めての出会いの瞬間を覚えていない。
(あれが作り話で、緋色さんが初めから財産目当てで私に近づいたなんて可能性もあるの?)
「日陰、白川社長と離婚して森田君と一緒になりなさい。私はお前の幸せを望んでいる。利用されて不幸になることは望んでいない」
「私に指図しないでください。私はあなたを父親とは思っていません」
小笠原社長の全てが不快だ。
彼が私の父親だなんて信じられない。
(離婚しろ? 森田と一緒になれ? 森田って誰よ)
突然、車を降ろされて庭園みたいな場所にいたのは森田蓮だった。
「蓮君、日陰は色々あってナーバスになっているようだから宜しく頼むよ」
遊び人で有名な陽子の元婚約者だ。
(小笠原社長はどうしても森田食品との強いつながりが欲しいみたいね)
「日陰さん。あなたを一目見た瞬間から、恋に落ちました」
私を見るなり森田蓮が近づいてくる。
「遊び人なら遊び人らしい個性のある口説き方をしたらどうですか? 一目惚れみたいな言葉はもう聞き飽きました」
「一目惚れ」と言う言葉で口説かれたのは緋色さんが初めてではない。
私が緋色さんの言葉を特別に思っていただけだ。
(私、緋色さんのことが本当に好きなんだわ。だから、彼の言葉を全部信じてしまってた⋯⋯)
はっきり言って私は男を見る目に自信が全くない。
初恋の綾野先輩には裏切られたし、勇には裏切っていたのかも分からない愛され方をしていた。
(男の人は何を考えているか分からない。好きになって傷つくのはもう嫌だ)
「じゃあ、俺のやり方で行くよ。君を俺のものにしたいのは本当だ。俺のものになって、日陰さん」
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