10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました

専業プウタ

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18.強引なキス

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 私は冬馬さんと目が合ってしまって、思わず目線を逸らした。
(昨日、別れたばかりなのに気まずい⋯⋯いつからそこにいたの?)

 すると、冬馬さんの存在に気がついた江夏君がすかさず彼に挨拶する。

「城ヶ崎副社長お疲れ様です。ファッションウィークも盛況だったみたいですね。『ブルーミング』の秋冬物もフェミニンさを残しつつエッジが効いてて、とてもかっこよかったです」

 江夏君が昨日の緊迫したやりとりなどなかったように、さらりと挨拶した。
 私は社会人と引きこもり歴10年の自分の差を見せつけられたようで恥ずかしくなった。

 意を決して冬馬さんの方に向き直り挨拶をしようとした瞬間、見覚えのある女性が彼の方に駆け寄って来るのが分かった。

 私の下着とキッコーロープを持って来てくれた秘書の女性だ。

「城ヶ崎副社長ー! ファッションウィークの打ち上げも参加せずに帰っちゃおうするなんて寂しいじゃないですか。せっかくだから、この後2人きりで打ち上げしません。今日の私は思いっきり乱れたい気分なんです!」
 冬馬さんを誘惑するような視線で妖しく近づいて来て、擦り寄る彼女の姿を見て気分が悪くなった。

 彼女も冬馬さんと体の関係があるのだろう。
 そんな女性に私の下着を50セットも持って来させた彼の常識を疑う。

 隣にいる江夏君が私を心配そうな顔で見ているのに気がついた。
 私は背伸びをし、彼を安心させるように耳元で囁く。

「もう、彼とは他人だから大丈夫だよ」
 私の言葉の返事のように、彼が私の頭をそっと撫でた。
 昔と立場が逆転しているのは、私の時間が中学時代から止まっていて内面の成長が遅れているからだろう。

 エレベーターが到着する音がして、前を見ると到着したのは高層階のエレベーターの方だった。
 タワーマンションのエレベーター事情の悲惨さに驚いていると、突然強く腕を引かれた。

 気が付くと私はエレベーターの中で私は冬馬さんと2人きりになっていた。
 私が疑問を口にするように先に、私の口は彼の深い口付けで塞がれた。
 彼に壁に強く押し付けられていて、足が床についていない。

 明らかにエレベーター内には防犯カメラがあって、そのような監視された場所でこんなことをする事に抵抗を感じる。

(はっ、離して⋯⋯)
 酸欠で脳が朦朧としているのか意識が遠のきそうだ。
 
 エレベーターが到着する音がした。
 気がつけば、私は冬馬さんに無言で米俵のように担がれていた。

「城ヶ崎さん、やめてください! 私を誘拐するおつもりですか?」
「これみよがしに、呼び方変えて⋯⋯結構嫌な奴だなお前⋯⋯」
 彼の冷ややかな声に私は急に怖くなった。
 彼のする事は私の理解を超えていて、考えていることも全く分からない。
 秘書の方や江夏君の前では冷たい声を出していたが、私の前ではいつも優しい穏やかな声をしていた。それが、今は違う。

 あれよあれよという間に、冬馬さんの部屋まで連れて行かれる。
 明らかに強引に連れて行かれた私を防犯カメラで見たマンションの管理人が助けに来てくれる事を願った。

「あの、降ろしてください。怖いです」
 私は彼のベッドにモノのように投げつけられた。
 その乱暴な行動に震えが止まらなくなる。

 冬馬さんが私を見据えながら、シュルッと自分のネクタイを解くのが分かった。その流れるような動作に一瞬見とれていると、両腕を、そのネクタイで拘束されているのに気が付く。

「待ってください! なんで、私は縛られたんですか?」

 スーパーコンピューターのような脳を手に入れたはずなのに、脳が熱暴走を起こしているのか私はパニック状態になった。

 どうして米俵のように持ち上げられた上にベッドに投げられたのか、手首をネクタイで拘束されたのか彼の行動が一つも理解できない。

 彼は私をベッドに力技で押さえつけ、一緒に選んだシャツワンピースのボタンを素早く外していく。私はその状況が理解できず、ひたすらに拘束された手首を見ていた。

 一瞬、チリッと首筋に痛みを感じた。
(今度は何をされたの?)

 体を大きな手で撫でられて、皮膚が泡立つような感覚を感じる
「はぁっん!」
 自分のものとも思えない不思議な声が漏れた。

「随分、感度が良いんだな。昨晩は元彼と盛り上がったのか?」
「元彼? 江夏君はそんなんじゃありませんよ。昨晩は病院に泊まったので静かに過ごしました。もしかして、私がどこにいるとか心配掛けましたか? もう私たちはお別れして他人になった訳ですし心配しな⋯⋯」

 私が言い終わらない内に、また深い口付けをされた。
 私は混乱しつつも、身を捩る。
 なんとか、彼から逃れ私は涙目になりながら彼の目を見つめ懇願した。

「冬馬さん⋯⋯ちゃんと話しましょう」
 私の言葉に私に覆い被さっていた冬馬さんが、起き上がる。
 私も昨日はショックのあまり一方的に彼を拒絶して酷かったと思う。

 顔合わせという重要な席もすっぽかしてしまった上に、病院まで明らかに急いで来てくれた彼を追い出した。

「結局、丁寧に我慢しながら接してても未来は手に入らなかった。だから、このまま強引に俺のものにすることにする」

 冬馬さんは私にまた顔を近付けてくる。
 私は思いっきり顔を逸らした。

「私はキスじゃなくて話し合いがしたいです。昨日は私も興奮してしまって失礼な態度をとって申し訳ありませんでした」

 私はなんとか腹筋を使って体を起こし、頭を下げた。
 自分の姿を改めて見ると、ほぼ半裸状態だ。
 
 とにかく手首の拘束を外して欲しくて、彼の前に無言で両手を差し出す。
 彼は観念したように私を縛っていたネクタイを外した。

「ここではなくて、リビングに行きませんか?」
「いいけど⋯⋯」
 私の言葉にそっけなく冬馬さんが呟いて、先にリビングの方へ行ってしまった。私は肌けた洋服を自分できっちりと直して彼の後を追った。





 




 
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