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17.家事代行?
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もう、真夜中の0時を過ぎた。
電気を消した病室で私と江夏君はまるで修学旅行のように、巡回する看護師に隠れてこそこそとお喋りしてた。
「江夏君、そろそろ就寝しないとまずいかと思うよ。お願いだからベッドで眠って!」
「それは無理、流石に女の子を簡易なソファーベッドで寝かして、自分がベッドはないでしょ」
私と江夏君は結局、巡回の看護師が来るとそれぞれベッドとソファーベッドに分かれて寝たふりををしていた。
また、巡回の看護師さんが私たちを覗きに来る。
先程まで2人でベッドに座って話していたが、咄嗟に江夏君がソファーベッドで寝たふりをしたので私はベッドで眠ったふりをした。
看護師さんが去ると共に、私は江夏君に抗議した。
「流石に付き添いの私がメインベッドに寝てるのは可笑しくない?」
「可笑しかったかも⋯⋯カカア天下なカップルと思われたかもね」
江夏君の言葉に確かに私と彼は側から見るとカップルに見えるのかもしれないと思った。冬馬さんは世界が違いすぎて、私は彼といる時いつも緊張していた。今は本当に気が抜けて自然体でいられる。
「俺の刺されたニュース出てるわ」
江夏君が私にスマホの画面を見せてくる。
「ニュースに出るくらいの事件で怪我を負っているのに、2週間後には北海道に異動しなくちゃいけないの?」
「俺も辞令が取り下げられるか、異動が延期になるかと思ったんだけどな⋯⋯」
私は肩を落とす江夏君が心配になった。
「北海道って梅雨がないらしいよ。今から東京は暑い夏もやってくるのに、北海道は涼しいし、私は札幌生活悪くない気がするな」
私の言葉にニヤリと江夏君が微笑んだ。
「それなら、桜田さんも一緒に来ない?」
「えっ?」
私は一瞬何を言われているのか分からなかった。
彼の告白は確かに断ったはずだ。
「俺、北海道は行った事ないんだよね。2週間で部屋も探して、あっちに行ったらすぐに生活を立ち上げなければいけなくて⋯⋯」
「私、手伝うよ。私のせいで、こんな怪我したばかりなのに、そんなの一人でやるなんて無理だよ」
彼が言い終わらない内に私は手伝いを申し出ていた。
「一緒に札幌に行ってくれるってこと? 良かったらさ、住み込みで家事代行みたいなこともしてくれると嬉しい。もちろん、給与は払うからさ」
江夏君の謎の提案に私は首を傾げた。
彼は私と彼が雇用関係になる話をしている。
もしかしたら、私が今無職だから心配してくれているのかもしれない。
「住み込みって、私と江夏君が一緒に住むってこと?」
「まあ、そうなんだけど。もちろん、気持ちもないのに恋人になれって言っている訳じゃないよ。ただ俺が家事が苦手で助けが欲しくて、桜田さんも東京を少し離れたいならウィンウィンの提案かなと思ったんだ」
「うん⋯⋯」
私の頭の中には冬馬さんと一緒に暮らした短い時間の記憶が蘇っていた。
恋を穢らわしいと思っていた私が恋をしていたと思う。
今、思い起こすと本当にあった出来事かも疑わしい程に夢みたいな時間だ。
「結構前に住み込みの家事代行をテーマにしたテレビドラマをやっていたけど見なかった?」
「見ていないかな⋯⋯」
昨今はテレビをつけるとドラマは不倫を題材としたものが多く、私はメンタルが削られてとてもじゃないけれど見られなかった。
でも、テレビドラマの題材になるくらいなら住み込みの家事代行サービスというのはメジャーなものなのだろう。
「経費別で1日2万円でどお?」
「2万円? いつから江夏君ってそんなお金持ちになったの? 無理してない?」
「無理してないよ」
「そっか、ご両親に海外旅行をプレゼントできるくらいだもんね。偉いな。凄く頑張ったんだね」
私はまた江夏君の頭を撫でていた。
なんとなくだが彼は私に頭を撫でて欲しいタイミングで目を閉じて、私に撫でられるように頭を下げて来ている気がする。
「その提案って私しか得をしない気がするけど、それで良いの?」
日給2万円も貰えて、冬馬さんの生活圏から離れられるなんて私にとっては願ったり叶ったりだ。
江夏君が私との恋に敗れた後、私に対して気まずいと感じた気持ちが今なら分かる。私はもう冬馬さんと会いたくない。
簡易のソファーベッドを開くことなく並んで色々とお喋りしてたら、結局朝になってしまった。
カーテンから差し込む光が朝を告げているのに、私は今かなり眠い。
「江夏君、眠くない? 流石に私はちょっと眠いかも⋯⋯」
私の言葉に彼が私を横抱きにしてベッドに横たわらせていた。
「ここで、眠ってて良いよ。俺は今から検査行ってくるから。軽い外傷だけだから、検査なんていらないと思うんだけどな」
「私のせいで迷惑かけてごめんね。今日も会社お休みしなきゃいけなくなっちゃったんだよね。検査は面倒でも受けといた方が良いと思うよ。私はここで待ってるからさ」
私は自分の脳がスーパーコンピューターのような状態になっている事を思い出していた。江夏君も大したことないと私を心配させないように言ってくれるが、一時は意識を失い掛けている。脳や体の機能のどこかで異常事態になっている可能性は十分ある。
「迷惑なんて思わないで。俺、ずっと10年前に桜田さんを助けられなかった事を後悔してたんだ。今度は守る事ができたよね」
「うん。守ってくれてありがとう」
「じゃあ、検査に行ってくるね」
江夏君は私の髪を撫でると、そのまま病室を出た。
眠る気はなかったのに、私は気がつけばベッドでシーツに包まり眠りに落ちていた。
♢♢♢
誰かが私の頬を撫でるように触っている気がする。
(冬馬さん?)
目を開けると、江夏君が私の顔を覗き込んでいた。
「ごめん、私、眠っちゃってた。今、何時?」
「俺が眠っててと言ったんだから謝る必要なくない? ちなみに今は17時だよ」
「17時!?」
「結構、待ち時間が多くてさ。病院って予想以上に時間がかかるね」
江夏君は予想外に寝入ってしまった私に気を遣わせないように優しい嘘をついてくれている気がした。
江夏君の引っ越しの準備をする為にマンションに戻る。
エントランス前まで行くと、昨日同じくらいの時間にここで見知らぬ男に刺されそうになったのを思い出した。ニュースでも住所不定無職となっていた犯人。私はなぜそのような男に恨まれるようになったのかの記憶がない。
「大丈夫?」
「全然、大丈夫だよ。江夏君こそ大丈夫? 私が引っ越しの箱詰めとかするから、横で寝ててね。江夏君は寝てないんだから、相当疲れているでしょ」
「あと2週間はあるからそんなに慌てなくても、一緒にのんびり寝転がってから動けば良いよ。桜田さんが側にいるだけで、俺は疲れを感じないんだ」
彼は私に笑い掛けると、手を引いてマンションの中に入って行った。
江夏君は32階に住んでいるらしい。
32階でも中層階という括りになるのは、東京に高層の建物がいかに多いかが分かる。
そして、タワーマンションの弊害かエレベーターがなかなか来ない。
「江夏君。家事代行の話だけど3ヶ月間は試用期間という事で無給で良いからね。それで私が思うような働きじゃなかったら、問答無用にクビにして!」
「そんなの日本じゃあり得ない雇用形態だと思うけど、桜田さんって本当に真面目だなあ」
江夏君が私の言葉に楽しそうに笑っている。
「私は結構、現金なところもあるよ。実は暑いのが苦手で夏の北海道とか楽しみだったりするんだ。3ヶ月は私も楽しみだからお金はいらないの!」
私は地元の千葉と東京以外の県に行った事がない。
中学3年まで学校に行ってれば修学旅行の京都奈良には行けたかもしれないが、その頃は鬱になっていて私は学校に行けなくなっていた。
札幌でも高卒認定試験は受けられるし、関東にいると記憶のない間に出会った人が私の命をまた狙いに来るかもしれない。
何より、本州から出ることで冬馬さんと遭遇する確率が激減する。
私にとっては良いことしかない、ありがたいお話だ。
「俺も実は桜田さんのお陰で新生活が楽しみなんだ。あとで一緒にネットで家探ししよ。内覧する程の時間がないから、間取りと立地だけで決めちゃおうかと思ってるんだよね。こういう間取りが良いとか希望はある? アイランドキッチンが良いとか⋯⋯」
雇われ側の私の希望まで聞いてくれる彼は本当に優しい人なんだろう。
アイランドキッチンで、パソコンと睨めっこしながらお仕事をする冬馬さんの姿をチラチラ覗き見しつつ料理をしていた記憶が蘇り、胸がキュッと苦しくなった。
「脱衣所さえあれば良いかな」
「脱衣所がない間取りの家なんてあるの?」
「うちの実家が脱衣所がなかったよ!」
私の言葉に江夏君が驚愕している。
私と母の女2人の暮らしだから、そのような間取りで生活が成立したのだろう。
「北海道行ったら、何か食べたいものとかある?」
「札幌ラーメンとか?」
「それ、東京でも食べれるやつ。というか、今家にインスタントで良いならあるから俺作るけど!」
江夏君がとても楽しそうに笑っていてホッとした。
それにしても、家事が苦手と言っていたのに料理はできるらしい。
彼は大学からは東京で完全に一人暮らしだと言っていたが、私の手伝いは本当に必要なのだろうか⋯⋯。
そんな事を考えていたら、斜め後ろから強い視線を感じたので振り向いた。
そこには私たちを睨みつけるように立っているスーツ姿の冬馬さんが怒りを抑えるように立っていた。
電気を消した病室で私と江夏君はまるで修学旅行のように、巡回する看護師に隠れてこそこそとお喋りしてた。
「江夏君、そろそろ就寝しないとまずいかと思うよ。お願いだからベッドで眠って!」
「それは無理、流石に女の子を簡易なソファーベッドで寝かして、自分がベッドはないでしょ」
私と江夏君は結局、巡回の看護師が来るとそれぞれベッドとソファーベッドに分かれて寝たふりををしていた。
また、巡回の看護師さんが私たちを覗きに来る。
先程まで2人でベッドに座って話していたが、咄嗟に江夏君がソファーベッドで寝たふりをしたので私はベッドで眠ったふりをした。
看護師さんが去ると共に、私は江夏君に抗議した。
「流石に付き添いの私がメインベッドに寝てるのは可笑しくない?」
「可笑しかったかも⋯⋯カカア天下なカップルと思われたかもね」
江夏君の言葉に確かに私と彼は側から見るとカップルに見えるのかもしれないと思った。冬馬さんは世界が違いすぎて、私は彼といる時いつも緊張していた。今は本当に気が抜けて自然体でいられる。
「俺の刺されたニュース出てるわ」
江夏君が私にスマホの画面を見せてくる。
「ニュースに出るくらいの事件で怪我を負っているのに、2週間後には北海道に異動しなくちゃいけないの?」
「俺も辞令が取り下げられるか、異動が延期になるかと思ったんだけどな⋯⋯」
私は肩を落とす江夏君が心配になった。
「北海道って梅雨がないらしいよ。今から東京は暑い夏もやってくるのに、北海道は涼しいし、私は札幌生活悪くない気がするな」
私の言葉にニヤリと江夏君が微笑んだ。
「それなら、桜田さんも一緒に来ない?」
「えっ?」
私は一瞬何を言われているのか分からなかった。
彼の告白は確かに断ったはずだ。
「俺、北海道は行った事ないんだよね。2週間で部屋も探して、あっちに行ったらすぐに生活を立ち上げなければいけなくて⋯⋯」
「私、手伝うよ。私のせいで、こんな怪我したばかりなのに、そんなの一人でやるなんて無理だよ」
彼が言い終わらない内に私は手伝いを申し出ていた。
「一緒に札幌に行ってくれるってこと? 良かったらさ、住み込みで家事代行みたいなこともしてくれると嬉しい。もちろん、給与は払うからさ」
江夏君の謎の提案に私は首を傾げた。
彼は私と彼が雇用関係になる話をしている。
もしかしたら、私が今無職だから心配してくれているのかもしれない。
「住み込みって、私と江夏君が一緒に住むってこと?」
「まあ、そうなんだけど。もちろん、気持ちもないのに恋人になれって言っている訳じゃないよ。ただ俺が家事が苦手で助けが欲しくて、桜田さんも東京を少し離れたいならウィンウィンの提案かなと思ったんだ」
「うん⋯⋯」
私の頭の中には冬馬さんと一緒に暮らした短い時間の記憶が蘇っていた。
恋を穢らわしいと思っていた私が恋をしていたと思う。
今、思い起こすと本当にあった出来事かも疑わしい程に夢みたいな時間だ。
「結構前に住み込みの家事代行をテーマにしたテレビドラマをやっていたけど見なかった?」
「見ていないかな⋯⋯」
昨今はテレビをつけるとドラマは不倫を題材としたものが多く、私はメンタルが削られてとてもじゃないけれど見られなかった。
でも、テレビドラマの題材になるくらいなら住み込みの家事代行サービスというのはメジャーなものなのだろう。
「経費別で1日2万円でどお?」
「2万円? いつから江夏君ってそんなお金持ちになったの? 無理してない?」
「無理してないよ」
「そっか、ご両親に海外旅行をプレゼントできるくらいだもんね。偉いな。凄く頑張ったんだね」
私はまた江夏君の頭を撫でていた。
なんとなくだが彼は私に頭を撫でて欲しいタイミングで目を閉じて、私に撫でられるように頭を下げて来ている気がする。
「その提案って私しか得をしない気がするけど、それで良いの?」
日給2万円も貰えて、冬馬さんの生活圏から離れられるなんて私にとっては願ったり叶ったりだ。
江夏君が私との恋に敗れた後、私に対して気まずいと感じた気持ちが今なら分かる。私はもう冬馬さんと会いたくない。
簡易のソファーベッドを開くことなく並んで色々とお喋りしてたら、結局朝になってしまった。
カーテンから差し込む光が朝を告げているのに、私は今かなり眠い。
「江夏君、眠くない? 流石に私はちょっと眠いかも⋯⋯」
私の言葉に彼が私を横抱きにしてベッドに横たわらせていた。
「ここで、眠ってて良いよ。俺は今から検査行ってくるから。軽い外傷だけだから、検査なんていらないと思うんだけどな」
「私のせいで迷惑かけてごめんね。今日も会社お休みしなきゃいけなくなっちゃったんだよね。検査は面倒でも受けといた方が良いと思うよ。私はここで待ってるからさ」
私は自分の脳がスーパーコンピューターのような状態になっている事を思い出していた。江夏君も大したことないと私を心配させないように言ってくれるが、一時は意識を失い掛けている。脳や体の機能のどこかで異常事態になっている可能性は十分ある。
「迷惑なんて思わないで。俺、ずっと10年前に桜田さんを助けられなかった事を後悔してたんだ。今度は守る事ができたよね」
「うん。守ってくれてありがとう」
「じゃあ、検査に行ってくるね」
江夏君は私の髪を撫でると、そのまま病室を出た。
眠る気はなかったのに、私は気がつけばベッドでシーツに包まり眠りに落ちていた。
♢♢♢
誰かが私の頬を撫でるように触っている気がする。
(冬馬さん?)
目を開けると、江夏君が私の顔を覗き込んでいた。
「ごめん、私、眠っちゃってた。今、何時?」
「俺が眠っててと言ったんだから謝る必要なくない? ちなみに今は17時だよ」
「17時!?」
「結構、待ち時間が多くてさ。病院って予想以上に時間がかかるね」
江夏君は予想外に寝入ってしまった私に気を遣わせないように優しい嘘をついてくれている気がした。
江夏君の引っ越しの準備をする為にマンションに戻る。
エントランス前まで行くと、昨日同じくらいの時間にここで見知らぬ男に刺されそうになったのを思い出した。ニュースでも住所不定無職となっていた犯人。私はなぜそのような男に恨まれるようになったのかの記憶がない。
「大丈夫?」
「全然、大丈夫だよ。江夏君こそ大丈夫? 私が引っ越しの箱詰めとかするから、横で寝ててね。江夏君は寝てないんだから、相当疲れているでしょ」
「あと2週間はあるからそんなに慌てなくても、一緒にのんびり寝転がってから動けば良いよ。桜田さんが側にいるだけで、俺は疲れを感じないんだ」
彼は私に笑い掛けると、手を引いてマンションの中に入って行った。
江夏君は32階に住んでいるらしい。
32階でも中層階という括りになるのは、東京に高層の建物がいかに多いかが分かる。
そして、タワーマンションの弊害かエレベーターがなかなか来ない。
「江夏君。家事代行の話だけど3ヶ月間は試用期間という事で無給で良いからね。それで私が思うような働きじゃなかったら、問答無用にクビにして!」
「そんなの日本じゃあり得ない雇用形態だと思うけど、桜田さんって本当に真面目だなあ」
江夏君が私の言葉に楽しそうに笑っている。
「私は結構、現金なところもあるよ。実は暑いのが苦手で夏の北海道とか楽しみだったりするんだ。3ヶ月は私も楽しみだからお金はいらないの!」
私は地元の千葉と東京以外の県に行った事がない。
中学3年まで学校に行ってれば修学旅行の京都奈良には行けたかもしれないが、その頃は鬱になっていて私は学校に行けなくなっていた。
札幌でも高卒認定試験は受けられるし、関東にいると記憶のない間に出会った人が私の命をまた狙いに来るかもしれない。
何より、本州から出ることで冬馬さんと遭遇する確率が激減する。
私にとっては良いことしかない、ありがたいお話だ。
「俺も実は桜田さんのお陰で新生活が楽しみなんだ。あとで一緒にネットで家探ししよ。内覧する程の時間がないから、間取りと立地だけで決めちゃおうかと思ってるんだよね。こういう間取りが良いとか希望はある? アイランドキッチンが良いとか⋯⋯」
雇われ側の私の希望まで聞いてくれる彼は本当に優しい人なんだろう。
アイランドキッチンで、パソコンと睨めっこしながらお仕事をする冬馬さんの姿をチラチラ覗き見しつつ料理をしていた記憶が蘇り、胸がキュッと苦しくなった。
「脱衣所さえあれば良いかな」
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「うちの実家が脱衣所がなかったよ!」
私の言葉に江夏君が驚愕している。
私と母の女2人の暮らしだから、そのような間取りで生活が成立したのだろう。
「北海道行ったら、何か食べたいものとかある?」
「札幌ラーメンとか?」
「それ、東京でも食べれるやつ。というか、今家にインスタントで良いならあるから俺作るけど!」
江夏君がとても楽しそうに笑っていてホッとした。
それにしても、家事が苦手と言っていたのに料理はできるらしい。
彼は大学からは東京で完全に一人暮らしだと言っていたが、私の手伝いは本当に必要なのだろうか⋯⋯。
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