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その十五
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今の島田組の組長島田恒彦を、気に入らない勢力が出てきたのだ。義嗣はすっかり油断して島田恒彦組長の養子である若頭の島田宗次の弟分の八坂輝也に刺された。
義嗣は優男で背が高い。どう見てもやくざには見えない。いいところボーイとかホストに見えるとか言われたことがある。だからなのか、ヤクザに入った当初、義嗣はほかの団員から絡まれることが多かった。
舐められたらとことん搾り取られるヤクザ世界の中で、義嗣に暴力や性暴力をくわえようとする団員や、兄貴分が多い。そういうやつらは、義嗣はみな半殺しというか半分以上殺しをしていた。
別に義嗣は暴力が好きなわけじゃない。
だから少しでも迫力をつけようと、ド派手な金髪にし、目にはサングラスをかけて誤魔化していたが、結局は義嗣の暴力と残忍性を他の団員が見て、義嗣を組み敷こうとする奴らはいなくなった。サングラスをしていると落ち着く。義嗣の目の酷薄した動きを誰にも見られないからだ。
義嗣の脳裏に兄である久継の顔が思い浮かぶ。
義嗣が学校で暴力事件を幾度とおこし、荒れていたころ、久継はどこか見透かす瞳で、義嗣に言い放つ。
『いつまで、そうしているつもりだ?』
義嗣は舌打ちをして、歩みを進める。嫌なことを思い出した。
忍の家から出て、近くにあるコンビニへと歩みを進める。ポケットに手を入れ、歯を噛み締める。裏切り者の若頭の島田宗次は義嗣によく言っていた。
性欲と暴力は似ている。お前の性欲はさぞ激しいんだろうよと、
そう言って宗次は嘲るように笑っていた。
ふと、義嗣は立ち止まって、思う。
優しく微笑む忍の姿が思い浮かぶ。彼に暴力を振るいたいか?
義嗣は眉間にしわを寄せ、吐息をついて歩き始める。
「ありえねぇ」
吐息が白い煙とともに空に消えていくのが見える。
「よお、義嗣」
馴れ馴れしく名前で義嗣のことを呼び、馬鹿にしたような男が、義嗣の目の前に現れた。
「八坂!てめぇ」
若頭の弟分の八坂輝也だ。義嗣のことを殺そうとした張本人が、現れる。
その瞬間、銃声とともに義嗣の背中に衝撃が走り、義嗣は地面に倒れた。
義嗣の後ろから拳銃を持った男が現れる。倒れた義嗣の頭を、八坂は足で踏む。
「お前なんかが、アニぃの跡継ぎなんか早いんだよ」
八坂はにやりと笑う。その足を義嗣は掴んだ。
「あん?」
不思議そうな八坂。そのまま、義嗣は掴んだ足ごと、八坂の体を地面にたたきつける。
「ぎゃぁ!」
義嗣の握力はおかしなものだが、野生のゴリラよりもある。そのまま拳銃をもった八坂の部下は何度か、拳銃を義嗣に向けて放つ。
だが義嗣は一向に倒れない。
「ば、バケモノ」
怯える八坂の部下の男に、義嗣は笑顔を浮かべ、そのまま八坂の部下に頭突きをくらわせ、そのまま殴った。
ゆっくり歩み寄り、義嗣は八坂の頭を踏み抜く。八坂のうめき声に、義嗣は牙を見せるようにして笑う。
「八坂君よぉ、いい加減にしろよ」
殺しはしないが、
義嗣は八坂の襟首をつかんで引き上げた。
「急所は外すかから安心しろよ」
「な、な、んでしなない!お前、バケモノなのか!?」
「うるせぇ」
義嗣は男の体を地面に叩きつけた。
義嗣はことを成し遂げ、煙草を取り出し、火をつける。
「何が化け物だ。俺だって学習するんだよ」
義嗣は服の下の防弾チョッキに触れる。暴力をふるった後は、体が熱くなる。暴力をふるうのは嫌いなのに。
義嗣は深いため息をついて、歩き出した。
その日義嗣は忍のもとへと帰ってこなかった。ただテーブルの上に忍が作った義嗣への花束が、置かれていた。
この花束は別の場所に置かれていたのに。
忍はその花束に触れた。
忍がぼんやりテレビを見ていると、警察に捕まったと義嗣の名前がテレビで流れていたのを、忍は見て驚く。
「義嗣さん」
忍の胸がひどく痛んだ。いますぐ義嗣に会いたかった。
義嗣は優男で背が高い。どう見てもやくざには見えない。いいところボーイとかホストに見えるとか言われたことがある。だからなのか、ヤクザに入った当初、義嗣はほかの団員から絡まれることが多かった。
舐められたらとことん搾り取られるヤクザ世界の中で、義嗣に暴力や性暴力をくわえようとする団員や、兄貴分が多い。そういうやつらは、義嗣はみな半殺しというか半分以上殺しをしていた。
別に義嗣は暴力が好きなわけじゃない。
だから少しでも迫力をつけようと、ド派手な金髪にし、目にはサングラスをかけて誤魔化していたが、結局は義嗣の暴力と残忍性を他の団員が見て、義嗣を組み敷こうとする奴らはいなくなった。サングラスをしていると落ち着く。義嗣の目の酷薄した動きを誰にも見られないからだ。
義嗣の脳裏に兄である久継の顔が思い浮かぶ。
義嗣が学校で暴力事件を幾度とおこし、荒れていたころ、久継はどこか見透かす瞳で、義嗣に言い放つ。
『いつまで、そうしているつもりだ?』
義嗣は舌打ちをして、歩みを進める。嫌なことを思い出した。
忍の家から出て、近くにあるコンビニへと歩みを進める。ポケットに手を入れ、歯を噛み締める。裏切り者の若頭の島田宗次は義嗣によく言っていた。
性欲と暴力は似ている。お前の性欲はさぞ激しいんだろうよと、
そう言って宗次は嘲るように笑っていた。
ふと、義嗣は立ち止まって、思う。
優しく微笑む忍の姿が思い浮かぶ。彼に暴力を振るいたいか?
義嗣は眉間にしわを寄せ、吐息をついて歩き始める。
「ありえねぇ」
吐息が白い煙とともに空に消えていくのが見える。
「よお、義嗣」
馴れ馴れしく名前で義嗣のことを呼び、馬鹿にしたような男が、義嗣の目の前に現れた。
「八坂!てめぇ」
若頭の弟分の八坂輝也だ。義嗣のことを殺そうとした張本人が、現れる。
その瞬間、銃声とともに義嗣の背中に衝撃が走り、義嗣は地面に倒れた。
義嗣の後ろから拳銃を持った男が現れる。倒れた義嗣の頭を、八坂は足で踏む。
「お前なんかが、アニぃの跡継ぎなんか早いんだよ」
八坂はにやりと笑う。その足を義嗣は掴んだ。
「あん?」
不思議そうな八坂。そのまま、義嗣は掴んだ足ごと、八坂の体を地面にたたきつける。
「ぎゃぁ!」
義嗣の握力はおかしなものだが、野生のゴリラよりもある。そのまま拳銃をもった八坂の部下は何度か、拳銃を義嗣に向けて放つ。
だが義嗣は一向に倒れない。
「ば、バケモノ」
怯える八坂の部下の男に、義嗣は笑顔を浮かべ、そのまま八坂の部下に頭突きをくらわせ、そのまま殴った。
ゆっくり歩み寄り、義嗣は八坂の頭を踏み抜く。八坂のうめき声に、義嗣は牙を見せるようにして笑う。
「八坂君よぉ、いい加減にしろよ」
殺しはしないが、
義嗣は八坂の襟首をつかんで引き上げた。
「急所は外すかから安心しろよ」
「な、な、んでしなない!お前、バケモノなのか!?」
「うるせぇ」
義嗣は男の体を地面に叩きつけた。
義嗣はことを成し遂げ、煙草を取り出し、火をつける。
「何が化け物だ。俺だって学習するんだよ」
義嗣は服の下の防弾チョッキに触れる。暴力をふるった後は、体が熱くなる。暴力をふるうのは嫌いなのに。
義嗣は深いため息をついて、歩き出した。
その日義嗣は忍のもとへと帰ってこなかった。ただテーブルの上に忍が作った義嗣への花束が、置かれていた。
この花束は別の場所に置かれていたのに。
忍はその花束に触れた。
忍がぼんやりテレビを見ていると、警察に捕まったと義嗣の名前がテレビで流れていたのを、忍は見て驚く。
「義嗣さん」
忍の胸がひどく痛んだ。いますぐ義嗣に会いたかった。
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