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その十七
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車内に無理やり押し入れられた忍は、すぐに目隠しされてしまい、両手は後ろ手に手錠をはめられ、忍は身動きがとれなくなってしまう。
「ひ!!あの、僕はお嬢さんじゃないです!!おろしてください!!」
恐怖を必死でおさえて、忍は叫ぶ。
「いややわぁ、あんさんは義嗣さんの好いひとまっしゃろ?うらやましい限りやね」
間延びした男の声が、忍の耳に聞こえてくる。迫力ある妙に浮世離れした声に、忍は恐怖を覚える。
「あ、あの義嗣さんの、知り合いの方ですか?」
恐る恐る忍は真っ暗の視界の中、車内で男の声のほうへと顔を向ける。
「ん?まぁ、そうやね。わしは義嗣のお友達の若頭の島田宗次いう。仲ようしたってな♥」
「あの、この目隠しとってください。どこへ向かっているんですか?」
「ええところ。ちょっとまっといてぇな」
男は懐から扇子を取り出して、口元を隠した。
「あの、もしかしてヤクザさんですか?」
忍が問いかけると、男は含み笑いを漏らす。
「そうやとしたら、どうしまっしゃろ?」
「義嗣さん、ヤクザをやめさせてあげてください」
「へぇ?車、とめぇ」
若頭宗次の命令で車は道路を避け、公園わきに寄せられた。宗次は手を伸ばし、忍の目を覆う目隠しを下す。
忍は真っ暗闇から突然やってきた日の光のまぶしさに、何回か目を瞬いて、目の前の紫色の眼鏡をした若い男の顔を見た。
「ヤクザにヤクザをやめさせろなんて、相当勇気がある物言いや。覚悟はあるんやろうな?」
鋭い宗次の目が、忍を貫く。だが忍にも譲れないものがある。飲み込み、忍は宗次を見据える。
「僕は、僕は何でもします。僕は義嗣さんにヤクザをやめさせてあげたいんです」
忍の体は恐怖で勝手に震える。けれど義嗣と一緒に花屋をするのが夢だ。自分の気持ちはごまかせない。
「はん?あんさんはよほど後藤義嗣が好きなんやね?そんなん震えなくとも安心せい、ヤクザもんにはヤクザもんの流儀があってな。敵対しているヤクザであっても、ヤクザの身内には手をだしひんのや。けど、組み抜けるにはそれなりの礼儀と流儀が必要や。
佐々木忍君?」
何故か忍の名前を知っている宗次に、忍は呼吸を止める。
「そうやねー、忍君は男好きみたいやから、わし達相手にしてもらおうかな?」
「相手?」
「組み全体の慰労や。わし達とセックスしたってや?」
「せ、セックス」
「そやたら義嗣のことええで」
「あの、あなた男ですよね?」
「そうや」
忍は首をかしげる。
「男同士でセックスってできるんですか?」
そう忍が言うと、げらげら宗次は天井をむいて顔を覆って、げらげら笑いだす。
「ええわ。男同士のセックスについては、わしが教えてやるやさかい。どうする?」
鷹のような宗次の目が忍を見る。
怖い。
怖いが、忍の中で決心は揺るがない。
けれど恐怖に勝てず、忍はただうなずく。
宗次の手が、忍の顎をつかんで持ち上げた。
「可愛がってやるやさかい。覚悟しいや」
そう言って、宗次は忍の頭上にある目隠しをもう一度、忍の目に下した。
宗次は京都弁+大阪弁+広島弁ミックスにしたいと思ってます。間違っていたらすいません。ありがとうございます。
「ひ!!あの、僕はお嬢さんじゃないです!!おろしてください!!」
恐怖を必死でおさえて、忍は叫ぶ。
「いややわぁ、あんさんは義嗣さんの好いひとまっしゃろ?うらやましい限りやね」
間延びした男の声が、忍の耳に聞こえてくる。迫力ある妙に浮世離れした声に、忍は恐怖を覚える。
「あ、あの義嗣さんの、知り合いの方ですか?」
恐る恐る忍は真っ暗の視界の中、車内で男の声のほうへと顔を向ける。
「ん?まぁ、そうやね。わしは義嗣のお友達の若頭の島田宗次いう。仲ようしたってな♥」
「あの、この目隠しとってください。どこへ向かっているんですか?」
「ええところ。ちょっとまっといてぇな」
男は懐から扇子を取り出して、口元を隠した。
「あの、もしかしてヤクザさんですか?」
忍が問いかけると、男は含み笑いを漏らす。
「そうやとしたら、どうしまっしゃろ?」
「義嗣さん、ヤクザをやめさせてあげてください」
「へぇ?車、とめぇ」
若頭宗次の命令で車は道路を避け、公園わきに寄せられた。宗次は手を伸ばし、忍の目を覆う目隠しを下す。
忍は真っ暗闇から突然やってきた日の光のまぶしさに、何回か目を瞬いて、目の前の紫色の眼鏡をした若い男の顔を見た。
「ヤクザにヤクザをやめさせろなんて、相当勇気がある物言いや。覚悟はあるんやろうな?」
鋭い宗次の目が、忍を貫く。だが忍にも譲れないものがある。飲み込み、忍は宗次を見据える。
「僕は、僕は何でもします。僕は義嗣さんにヤクザをやめさせてあげたいんです」
忍の体は恐怖で勝手に震える。けれど義嗣と一緒に花屋をするのが夢だ。自分の気持ちはごまかせない。
「はん?あんさんはよほど後藤義嗣が好きなんやね?そんなん震えなくとも安心せい、ヤクザもんにはヤクザもんの流儀があってな。敵対しているヤクザであっても、ヤクザの身内には手をだしひんのや。けど、組み抜けるにはそれなりの礼儀と流儀が必要や。
佐々木忍君?」
何故か忍の名前を知っている宗次に、忍は呼吸を止める。
「そうやねー、忍君は男好きみたいやから、わし達相手にしてもらおうかな?」
「相手?」
「組み全体の慰労や。わし達とセックスしたってや?」
「せ、セックス」
「そやたら義嗣のことええで」
「あの、あなた男ですよね?」
「そうや」
忍は首をかしげる。
「男同士でセックスってできるんですか?」
そう忍が言うと、げらげら宗次は天井をむいて顔を覆って、げらげら笑いだす。
「ええわ。男同士のセックスについては、わしが教えてやるやさかい。どうする?」
鷹のような宗次の目が忍を見る。
怖い。
怖いが、忍の中で決心は揺るがない。
けれど恐怖に勝てず、忍はただうなずく。
宗次の手が、忍の顎をつかんで持ち上げた。
「可愛がってやるやさかい。覚悟しいや」
そう言って、宗次は忍の頭上にある目隠しをもう一度、忍の目に下した。
宗次は京都弁+大阪弁+広島弁ミックスにしたいと思ってます。間違っていたらすいません。ありがとうございます。
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