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第32話 一緒に働いてください(必死)
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基本外からきている客がいるときは、アルは仮面をかぶっている。ジルやソニアからは厄介なことになるから、なるべくとるなと言われているが、内で働くことになっているヨハナさんにはいいだろうと、豆茶をいれてヨハナさんたちがいる部屋の戸を叩く。
「ヨハナさん、アルです。少しいいですか?」
「どうぞ」
中からヨハナさんの声が聞こえてきて、ドアをあけた。
部屋の中では眠っているウノリ君と赤ん坊を抱いているヨハナさんが、くつろいでいる様子でいた。
「部屋の温度大丈夫ですか?寒くないでしょうか?」
そうこの部屋の暖房は布を引き詰めて、火石が置いてある。火石は先日ソニアさんが冒険の時に探し出して、拾ってくれた石だ。
そう薪だけに頼らず部屋を暖めてくれる石を手に入れたのだ。全部屋暖房完備である。前まではくっついて寝なければ寒くて仕方なかったが、今はもう暑いくらいである。
「すごく暖かい。ありがとうアルさん。あんたはあたいたちの命の恩人だ。あの家寒くて次の朝に冷たくなって死んでいるんじゃないかって、不安でしょうがなかったんだ。」
ヨハナのとなりで、すやすや眠っているウノリの頭をなでる。
「よかったです。ヨハナさん、暖かいお茶入れてきたんで、よかったら飲んでください」
「ありがとう」
「その、私はまだヨハナさんの前で仮面外していなかったですよね?」
「別にいいよ、無理しなくても」
「ヨハナさんはうちで働いてもらうことになるから、素顔を見ていただきたいと思いまして」
「そんな丁寧に話さなくても」
「ヨハナさんはうちの大事な従業員ですから。これからもよろしくお願いします!」
アルは仮面を外した。
いつも仮面をつけすぎて顔が涼しくなる。
正直不細工で自分の顔が好きではないアルは、仮面をつけることに安らぎを感じていた。
アルの素顔を見たヨハナは目を見開き、そして号泣した。
「えええ!?」
突然号泣しだしたヨハナに、アルは唖然とする。
そ、そんなにダメな顔だったのか?ショック
「うちの人をとらないで!!」
叫んだヨハナ。
意味が分からずアルはきょとんとする。
「どういうことですか?」
「あんた美人すぎる!うちの亭主絶対あんたに惚れちまう!あたいだってくらっとくるもの」
「いやいやいや、そんなわけないでしょ」
「あんた自覚もないの!?ひどすぎる」
「あのですね」
「ずっと仮面付けててお願い!!」
ヨハナに土下座された。
なんで!?
とにかく厄介そうなので、なるべく仮面をつけておこうと思ったアルなのでした。
母親の泣き声に起きたウノリに、「お母さんをいじめるな!」となぜか怒られたアルは踏んだり蹴ったりだ。
必死こいて一応ウノリに弁明した。
やっとできた従業員一号だ。
忙しくて教会にレアとクレアにも会えていない。ヨハナに手伝ってもらわなければ、二人にも会いに行けない。揉め事は厳禁だ。
「とにかく、私は既婚者の方には全く興味ないです!きちんと子守をするのみです!ヨハナさんにはさっそく昼食の準備の手つだいと、子供の預かりの仕事を覚えてもらいたいんです!お願いします。今子供預かり所は休みしています。一刻も早く再開しなければ、お金はびた一文はいってきません。ヨハナさんへの給料も払えません!今はそのことに集中したいんです」
そう力説すると、ヨハナは涙を拭いて頷いてくれた。
「私は昼食作った後、町に買い出しと、用事で出かけます。明日から預かり所が再開します。ヨハナさんには明日からさっそく働いてもらいます!大丈夫ですか?」
「分かったわ」
力強くヨハナさんは頷いてくれた。
ウノリ君はアルのことを睨んでいる。そんなに睨まんでも。子供に嫌われ、へこむアルなのでした。
ヨハナには子供の体調をこまめに観察することと、子供が怪我がないように見ていること、子供が具合が悪くないか一度は聞くこと、子供が喉を詰まらせないように食事時昼寝時に気を付けることなどなど、ことこまかに話した。
「茶色の髪の獣人のライ君は子供かえりでよく私の指を口に入れて吸っています。すぐ捨てられるのではないかと怯えています。寂しそうにしていたら、一度は頭をなでてあげてください。
ソル君は狼獣人のソニアさんの弟さんです。ライ君をライバルとみなしているらしく、激しい嚙み合いもしくは喧嘩するので、怪我しそうになったら止めてあげてください。
ソル君の妹のシルカちゃんは、無鉄砲なところがあるので危険な場所に踏み込むので、見張らないと危険です。
黒狐のレオン君は、お父さんが今いないので寂しそうにして、よく一人遊びしているので、頭をなでてあげてください。
あとぶつぶつ呟いている白狐の獣人の犯罪奴隷の大人のルナルさんは、時々自傷行為に走ることがあるので、気を付けてください。一応縛っておくので、トイレの面倒と食事を食べさせてあげてください。床ずれができないように、こまめに体制を変えてあげてください」
「ちょ、ちょっと、そんなに急に」
慌てるヨハナの肩をポンっと、アルは叩く。
「お願いします。子供預かりは休みだと言っていますが、勝手にお子さんを預けていく親御さんもいるから、気を付けて」
「え?」
ヨハナさんとアルは昼食を作っている途中、実際その通り親御さんがやってきて強引にアルに、お子さんを預けていくのであった。
断れないアルが悪いのだが。皆マフィアめいたことをしている黒猫なので、押しが強いのでなかなか断れない。
ヨハナさんは子育て経験あるし、大丈夫だろうと、慌てているヨハナにすべてを任せ、アルとソニアは出かけた。
「ヨハナさん、アルです。少しいいですか?」
「どうぞ」
中からヨハナさんの声が聞こえてきて、ドアをあけた。
部屋の中では眠っているウノリ君と赤ん坊を抱いているヨハナさんが、くつろいでいる様子でいた。
「部屋の温度大丈夫ですか?寒くないでしょうか?」
そうこの部屋の暖房は布を引き詰めて、火石が置いてある。火石は先日ソニアさんが冒険の時に探し出して、拾ってくれた石だ。
そう薪だけに頼らず部屋を暖めてくれる石を手に入れたのだ。全部屋暖房完備である。前まではくっついて寝なければ寒くて仕方なかったが、今はもう暑いくらいである。
「すごく暖かい。ありがとうアルさん。あんたはあたいたちの命の恩人だ。あの家寒くて次の朝に冷たくなって死んでいるんじゃないかって、不安でしょうがなかったんだ。」
ヨハナのとなりで、すやすや眠っているウノリの頭をなでる。
「よかったです。ヨハナさん、暖かいお茶入れてきたんで、よかったら飲んでください」
「ありがとう」
「その、私はまだヨハナさんの前で仮面外していなかったですよね?」
「別にいいよ、無理しなくても」
「ヨハナさんはうちで働いてもらうことになるから、素顔を見ていただきたいと思いまして」
「そんな丁寧に話さなくても」
「ヨハナさんはうちの大事な従業員ですから。これからもよろしくお願いします!」
アルは仮面を外した。
いつも仮面をつけすぎて顔が涼しくなる。
正直不細工で自分の顔が好きではないアルは、仮面をつけることに安らぎを感じていた。
アルの素顔を見たヨハナは目を見開き、そして号泣した。
「えええ!?」
突然号泣しだしたヨハナに、アルは唖然とする。
そ、そんなにダメな顔だったのか?ショック
「うちの人をとらないで!!」
叫んだヨハナ。
意味が分からずアルはきょとんとする。
「どういうことですか?」
「あんた美人すぎる!うちの亭主絶対あんたに惚れちまう!あたいだってくらっとくるもの」
「いやいやいや、そんなわけないでしょ」
「あんた自覚もないの!?ひどすぎる」
「あのですね」
「ずっと仮面付けててお願い!!」
ヨハナに土下座された。
なんで!?
とにかく厄介そうなので、なるべく仮面をつけておこうと思ったアルなのでした。
母親の泣き声に起きたウノリに、「お母さんをいじめるな!」となぜか怒られたアルは踏んだり蹴ったりだ。
必死こいて一応ウノリに弁明した。
やっとできた従業員一号だ。
忙しくて教会にレアとクレアにも会えていない。ヨハナに手伝ってもらわなければ、二人にも会いに行けない。揉め事は厳禁だ。
「とにかく、私は既婚者の方には全く興味ないです!きちんと子守をするのみです!ヨハナさんにはさっそく昼食の準備の手つだいと、子供の預かりの仕事を覚えてもらいたいんです!お願いします。今子供預かり所は休みしています。一刻も早く再開しなければ、お金はびた一文はいってきません。ヨハナさんへの給料も払えません!今はそのことに集中したいんです」
そう力説すると、ヨハナは涙を拭いて頷いてくれた。
「私は昼食作った後、町に買い出しと、用事で出かけます。明日から預かり所が再開します。ヨハナさんには明日からさっそく働いてもらいます!大丈夫ですか?」
「分かったわ」
力強くヨハナさんは頷いてくれた。
ウノリ君はアルのことを睨んでいる。そんなに睨まんでも。子供に嫌われ、へこむアルなのでした。
ヨハナには子供の体調をこまめに観察することと、子供が怪我がないように見ていること、子供が具合が悪くないか一度は聞くこと、子供が喉を詰まらせないように食事時昼寝時に気を付けることなどなど、ことこまかに話した。
「茶色の髪の獣人のライ君は子供かえりでよく私の指を口に入れて吸っています。すぐ捨てられるのではないかと怯えています。寂しそうにしていたら、一度は頭をなでてあげてください。
ソル君は狼獣人のソニアさんの弟さんです。ライ君をライバルとみなしているらしく、激しい嚙み合いもしくは喧嘩するので、怪我しそうになったら止めてあげてください。
ソル君の妹のシルカちゃんは、無鉄砲なところがあるので危険な場所に踏み込むので、見張らないと危険です。
黒狐のレオン君は、お父さんが今いないので寂しそうにして、よく一人遊びしているので、頭をなでてあげてください。
あとぶつぶつ呟いている白狐の獣人の犯罪奴隷の大人のルナルさんは、時々自傷行為に走ることがあるので、気を付けてください。一応縛っておくので、トイレの面倒と食事を食べさせてあげてください。床ずれができないように、こまめに体制を変えてあげてください」
「ちょ、ちょっと、そんなに急に」
慌てるヨハナの肩をポンっと、アルは叩く。
「お願いします。子供預かりは休みだと言っていますが、勝手にお子さんを預けていく親御さんもいるから、気を付けて」
「え?」
ヨハナさんとアルは昼食を作っている途中、実際その通り親御さんがやってきて強引にアルに、お子さんを預けていくのであった。
断れないアルが悪いのだが。皆マフィアめいたことをしている黒猫なので、押しが強いのでなかなか断れない。
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