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第33話 推定無罪
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教会に行きたいのと、やはり親御さんの話は直接聞かなければと、決意をしてひたすら進む。
レオン君のお父さんのジャファールさんの行方は、工場に問い合わせてすぐに分かった
会社の金を横領したという疑いで、牢屋の中だった。
ジャファールさんは知的のインテリそうな人で、いつも親一人でレオン君のことを迎えに来る。
ジャファールさんが、そんなお金を横領するような人物に見えない。お金に困ってやってしまったりとかあるかもしれないが。
アルとソニアは牢屋の中にいるジャファールの面会に行く。
仮面をして面会するのは却下で、牢屋の見張りの兵士にアルは素顔をさらすことになってしまった。執拗に見てくる監視の兵士の男の視線が痛い。
ぞわっとする嫌な視線に、アルは嫌な気分になる。ソニアがアルの前に出て、アルのことを背中に隠してくれた。
牢屋の中で悄然と俯くジャファールの姿が見えた。
「ジャファールさん!」
アルの声に、「は!」という感じでジャファールは目を見開き、アルたちの顔を見た。
「あ、あの、もしかしてアル先生ですか?」
何故かアルのことを先生と呼ぶ。一部の人が呼び出したのだが、いつのまにかそれが当たり前になってしまった。
先生という柄でもないが、なんか拒否もしにくいので放っておいている。
「私の仮面の下を見るのは初めてでしたね、ジャファールさん」
「まさかそんなにアル先生が、美人でしたなんてね」
ジャファールが苦笑いを浮かべて、アルの顔を見ている。
「帰ってこないので、心配しましたよ。体調は大丈夫ですか?顔色がよくないです」
「アル先生、俺、横領なんてやってないんだ。はめられて、俺」
苦痛に歪むジャファールの顔。
「それを言いましたか?」
「いったが俺の言うことなんて、誰も聞きやしないんだ。俺は必死に会社のために働いてきただけなのに、なんで」
「いい弁護士雇わなければ」
「弁護士ってなんだ?」
不思議そうなソニアが、アルを見る。
「ジャファールさんを弁護して無罪を助けてくれる方のことです」
この世界に弁護士というものがあるかわからないが。
「難しいだろうな。獣人は問答無用で犯罪奴隷か、死刑だ。ここは人間が基本の国だ。少しでも獣人が罪を犯した疑いをかけられたら、そく犯罪者確定だ。この国に流れていた獣人は皆訳アリだ。よほどじゃなければ流れてこない」
「そんな!ジャファールさん無罪なのに」
「アル先生、ありがとう。俺のこと信じてくれて、レオンのことお願いします」
にこりと微笑むジャファールさんに、胸が痛くなる。
というわけで、アルとソニアは顔を見合わせた。
アルの不安そうな顔。
ソニアの慎重に頷く顔。
「ジャファールさんを、犯罪奴隷としてうちに買いましょう!」
その前にお金がないので、お金を稼がなければと、アルは決意した。
ぽかんとした顔でこちらを見ているジャファールさんに、アルは視線を向ける。
「もし犯罪奴隷にされても内に来ればいいです。それにジャファールさんの会社に行って、ジャファールさんの無罪を証明してくれる方を探してきます。誰かいませんか?それに証拠か何か持っている人を知りませんか?」
「一人だけいる。同じ事務の白猫獣人のティルさんなら証拠の書類を何か持っているかもしれない」
「そうですか。聞いてみます。レオン君はお父さんに会えなくて寂しそうにしてます。私たちも応援してますから、必ずうちに来てください」
そういうと、ジャファールさんは泣きそうな顔をして、頷いてくれた。
レオン君のお父さんのジャファールさんの行方は、工場に問い合わせてすぐに分かった
会社の金を横領したという疑いで、牢屋の中だった。
ジャファールさんは知的のインテリそうな人で、いつも親一人でレオン君のことを迎えに来る。
ジャファールさんが、そんなお金を横領するような人物に見えない。お金に困ってやってしまったりとかあるかもしれないが。
アルとソニアは牢屋の中にいるジャファールの面会に行く。
仮面をして面会するのは却下で、牢屋の見張りの兵士にアルは素顔をさらすことになってしまった。執拗に見てくる監視の兵士の男の視線が痛い。
ぞわっとする嫌な視線に、アルは嫌な気分になる。ソニアがアルの前に出て、アルのことを背中に隠してくれた。
牢屋の中で悄然と俯くジャファールの姿が見えた。
「ジャファールさん!」
アルの声に、「は!」という感じでジャファールは目を見開き、アルたちの顔を見た。
「あ、あの、もしかしてアル先生ですか?」
何故かアルのことを先生と呼ぶ。一部の人が呼び出したのだが、いつのまにかそれが当たり前になってしまった。
先生という柄でもないが、なんか拒否もしにくいので放っておいている。
「私の仮面の下を見るのは初めてでしたね、ジャファールさん」
「まさかそんなにアル先生が、美人でしたなんてね」
ジャファールが苦笑いを浮かべて、アルの顔を見ている。
「帰ってこないので、心配しましたよ。体調は大丈夫ですか?顔色がよくないです」
「アル先生、俺、横領なんてやってないんだ。はめられて、俺」
苦痛に歪むジャファールの顔。
「それを言いましたか?」
「いったが俺の言うことなんて、誰も聞きやしないんだ。俺は必死に会社のために働いてきただけなのに、なんで」
「いい弁護士雇わなければ」
「弁護士ってなんだ?」
不思議そうなソニアが、アルを見る。
「ジャファールさんを弁護して無罪を助けてくれる方のことです」
この世界に弁護士というものがあるかわからないが。
「難しいだろうな。獣人は問答無用で犯罪奴隷か、死刑だ。ここは人間が基本の国だ。少しでも獣人が罪を犯した疑いをかけられたら、そく犯罪者確定だ。この国に流れていた獣人は皆訳アリだ。よほどじゃなければ流れてこない」
「そんな!ジャファールさん無罪なのに」
「アル先生、ありがとう。俺のこと信じてくれて、レオンのことお願いします」
にこりと微笑むジャファールさんに、胸が痛くなる。
というわけで、アルとソニアは顔を見合わせた。
アルの不安そうな顔。
ソニアの慎重に頷く顔。
「ジャファールさんを、犯罪奴隷としてうちに買いましょう!」
その前にお金がないので、お金を稼がなければと、アルは決意した。
ぽかんとした顔でこちらを見ているジャファールさんに、アルは視線を向ける。
「もし犯罪奴隷にされても内に来ればいいです。それにジャファールさんの会社に行って、ジャファールさんの無罪を証明してくれる方を探してきます。誰かいませんか?それに証拠か何か持っている人を知りませんか?」
「一人だけいる。同じ事務の白猫獣人のティルさんなら証拠の書類を何か持っているかもしれない」
「そうですか。聞いてみます。レオン君はお父さんに会えなくて寂しそうにしてます。私たちも応援してますから、必ずうちに来てください」
そういうと、ジャファールさんは泣きそうな顔をして、頷いてくれた。
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