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第47話 おはようの朝と、短縮再会と下ネタ。
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声がして、寝ぼけているアルが玄関先に向かう。
そこには、超絶不機嫌なジルと、眉を寄せて俯くソルと、えぐえぐ泣きないているシルカと、まっすぐアルを見つめるライの姿があった。
アルの姿を見ると、全員抱き着いてきた。
「お、お帰り、みんな」
アルは皆を抱きしめる。
「子供たちは勝手に家に帰ろうと私の家を抜け出そうとするし、噛みつくし、散々な目にあいました。食事毎日作ってもらわないと、割に合いません」
どことなくげっそりしているジルがそういった。
「す、すいません」
アルに子供たち皆爪を立ててしがみついてくるので、アルはたいそう痛くて涙ぐんだ。
「それからあなたへソニアからの伝言です。どうせアルは俺を心配させまいと一人で突っ走るだろう。無理せず、ジルか俺に相談しろ。だそうです」
ジルが真顔でそういう。
いろいろソニアにはバレているらしい。なんだか嬉しくて、アルは微笑んだ。
「分かりました。ジルさんに相談したいことが色々あります。朝ごはん食べていってください。あまり食材がないので、おいしいものは作れませんが」
「そんなことだろうと、私が食材を持ってきました。さっさとご飯をつくってもらいましょうか?」
そういったジルに、心底アルは感動したのだった。
「ありがとうジルさん」
そういうと、ジルはいつものように不機嫌そうに鼻を鳴らした。
でかい肉に、瓜のような野菜、それになんとお米をジルは手渡してきた。
嬉しくなったアルは肉を、ハーブ水と塩などで煮つけて、そのスープでご飯を炊いて、煮込んだ肉をそのお米の横に置いて、細かく香りがいい葉を刻み甘辛いたれを作り、肉の上にかけた。
瓜みたいな野菜は、肉を煮込んだスープによくわからない調味料で味付け、その中に入れてみた。
ご飯を作っている間、ずっと、ソルやシルカやライは、アルのそばを離れないのであった。それでもまだソルやシルカやライは、まだ家が落ち着かないので、ジルの家に戻ってもらうのだが、なるべく納得して戻ってもらいたい。
朝ご飯を何とか作り終え、クワイエットは何故か泣きながらそれを食べた。
「あの、まずかったですか?」
気になってアルがきくと、クワイエットは泣きながら「ううん。おいしい」と言っていた。
朝ご飯おいしく食べてもらえてよかった。
ぶつぶつ言っているルナルには、のどに詰まらせないように、お米をお粥上にして、アルはスプーンで、ルナルの口に押し込んでみた。
ぶつぶつ言うのをやめて、初めてルナルはご飯を飲み込んでくれた。あの精神を落ち着かせるお茶のおかげかもしれないと、アルは感動した。
ジルと二人きりで話すことがあると、アルはソルシルカライに、別の部屋に行くように諭したのだが、泣き叫んで噛みついてアルから離れない子供たちをなんとか、一時離れてもらおうとするが、全力で噛みつかれてアルは痛みで、涙を流す。
ジルの魔法で子供たちに眠ってもらい(ごめん)、アルは皆には別の部屋に行ってもらい、ジルと二人きりで話した。
アルはジルに、大家に追い出されそうになっているので、大家さんに話に行くということ、
クワイエットさんが月見草の中毒で困っていること、あとウノリ君が呼吸器系の病気のために綺麗な空気にする魔法がないかと、相談してみる。
「家のことは自分でどうにかしなさい。私は知りません。月見草の中毒を解毒することはできます。暗示で月見草を忘れさせて、ものすごくまずいものと認識させる方法があります。教会でやっているところがあります」
「本当ですか!?」
喜ぶアルに、心底冷たいジルの目が見つめる。
「ただし、成功確率は低いです」
「そうなんですか?」
「ええ。月見草の売人は決して顧客を逃がさないのと、人は苦い記憶を忘れると、同じことを繰り返す生き物ですからね」
「きっと大丈夫だと思います。教会でやっているということは、カタリさんの教会でもやっているんでしょうか?」
「あのへなちょこ悪魔は暗示が得意そうだから、やっているんじゃないですか?」
カタリさんが悪魔だということは、ジルさんは知っているらしい。
「そうですか。よかったぁ」
クワイエットさんは大丈夫そうだと、アルは心底ほっとした。
「とにかく厄介ごとを持ち込みすぎないようにしないと、私もソニアも迷惑です。自分で解決できないことを、むやみやたらと持ち込まないようにしなさい」
「そうですね。すみません」
「にこにこしながら言うと、まったく真剣みが伝わってきませんが」
「そうだ。火石が熱発しなくなってしまって。火石って、一度冷たくなると暖かくならないんでしょうか?」
「ああ、火石は滅多に冷たくなることはないんですがね?個体によって差があるとは言われていますが。冷たくなった火石は魔力をこめると、また暖かくなります」
「魔力をこめれば」
アルは期待を込めた目で、ジルを見る。
ジルは目をそらす。
「金貨一枚でやってやってもいいですよ」
金貨一枚は十万円ほどの価値だったはず。
た、高い。
がっくりアルは俯く。
けれどもやってもらえなければ命にかかわる。もちろん薪ストーブも考えるが。アルは勝負をした。
「もう少し安くなりませんか?分割払いでもお願いします」
アルは深くジルに頭を下げる。いや、ついでに土下座もしてみる。
「…………××をしたらいいですよ」
「へ」
「それを私にしたら、少しは安くしてやってもいいですよ」
そういってジルは意地悪く笑みを浮かべる。
「まさかの下ネタ!?」
アルは美しい清廉潔白だと思っていたジルの言葉に、ショックを受ける。下ネタとは違うような気がするが。
けれど、背に腹は代えられない。
下ネタ?とつぶやき首をかしげているジル。
えいやっと、アルはジルの襟首をつかんで、ジルの額に口づける。
「じょ、冗談に決まっているでしょ!!あなたへの嫌がらせで言ったんですよ!!」
顔を真っ赤にしたジルに、拳骨を頭におとされた。
セクハラだし、げせない気持ちでいっぱいになったアルだった。
そこには、超絶不機嫌なジルと、眉を寄せて俯くソルと、えぐえぐ泣きないているシルカと、まっすぐアルを見つめるライの姿があった。
アルの姿を見ると、全員抱き着いてきた。
「お、お帰り、みんな」
アルは皆を抱きしめる。
「子供たちは勝手に家に帰ろうと私の家を抜け出そうとするし、噛みつくし、散々な目にあいました。食事毎日作ってもらわないと、割に合いません」
どことなくげっそりしているジルがそういった。
「す、すいません」
アルに子供たち皆爪を立ててしがみついてくるので、アルはたいそう痛くて涙ぐんだ。
「それからあなたへソニアからの伝言です。どうせアルは俺を心配させまいと一人で突っ走るだろう。無理せず、ジルか俺に相談しろ。だそうです」
ジルが真顔でそういう。
いろいろソニアにはバレているらしい。なんだか嬉しくて、アルは微笑んだ。
「分かりました。ジルさんに相談したいことが色々あります。朝ごはん食べていってください。あまり食材がないので、おいしいものは作れませんが」
「そんなことだろうと、私が食材を持ってきました。さっさとご飯をつくってもらいましょうか?」
そういったジルに、心底アルは感動したのだった。
「ありがとうジルさん」
そういうと、ジルはいつものように不機嫌そうに鼻を鳴らした。
でかい肉に、瓜のような野菜、それになんとお米をジルは手渡してきた。
嬉しくなったアルは肉を、ハーブ水と塩などで煮つけて、そのスープでご飯を炊いて、煮込んだ肉をそのお米の横に置いて、細かく香りがいい葉を刻み甘辛いたれを作り、肉の上にかけた。
瓜みたいな野菜は、肉を煮込んだスープによくわからない調味料で味付け、その中に入れてみた。
ご飯を作っている間、ずっと、ソルやシルカやライは、アルのそばを離れないのであった。それでもまだソルやシルカやライは、まだ家が落ち着かないので、ジルの家に戻ってもらうのだが、なるべく納得して戻ってもらいたい。
朝ご飯を何とか作り終え、クワイエットは何故か泣きながらそれを食べた。
「あの、まずかったですか?」
気になってアルがきくと、クワイエットは泣きながら「ううん。おいしい」と言っていた。
朝ご飯おいしく食べてもらえてよかった。
ぶつぶつ言っているルナルには、のどに詰まらせないように、お米をお粥上にして、アルはスプーンで、ルナルの口に押し込んでみた。
ぶつぶつ言うのをやめて、初めてルナルはご飯を飲み込んでくれた。あの精神を落ち着かせるお茶のおかげかもしれないと、アルは感動した。
ジルと二人きりで話すことがあると、アルはソルシルカライに、別の部屋に行くように諭したのだが、泣き叫んで噛みついてアルから離れない子供たちをなんとか、一時離れてもらおうとするが、全力で噛みつかれてアルは痛みで、涙を流す。
ジルの魔法で子供たちに眠ってもらい(ごめん)、アルは皆には別の部屋に行ってもらい、ジルと二人きりで話した。
アルはジルに、大家に追い出されそうになっているので、大家さんに話に行くということ、
クワイエットさんが月見草の中毒で困っていること、あとウノリ君が呼吸器系の病気のために綺麗な空気にする魔法がないかと、相談してみる。
「家のことは自分でどうにかしなさい。私は知りません。月見草の中毒を解毒することはできます。暗示で月見草を忘れさせて、ものすごくまずいものと認識させる方法があります。教会でやっているところがあります」
「本当ですか!?」
喜ぶアルに、心底冷たいジルの目が見つめる。
「ただし、成功確率は低いです」
「そうなんですか?」
「ええ。月見草の売人は決して顧客を逃がさないのと、人は苦い記憶を忘れると、同じことを繰り返す生き物ですからね」
「きっと大丈夫だと思います。教会でやっているということは、カタリさんの教会でもやっているんでしょうか?」
「あのへなちょこ悪魔は暗示が得意そうだから、やっているんじゃないですか?」
カタリさんが悪魔だということは、ジルさんは知っているらしい。
「そうですか。よかったぁ」
クワイエットさんは大丈夫そうだと、アルは心底ほっとした。
「とにかく厄介ごとを持ち込みすぎないようにしないと、私もソニアも迷惑です。自分で解決できないことを、むやみやたらと持ち込まないようにしなさい」
「そうですね。すみません」
「にこにこしながら言うと、まったく真剣みが伝わってきませんが」
「そうだ。火石が熱発しなくなってしまって。火石って、一度冷たくなると暖かくならないんでしょうか?」
「ああ、火石は滅多に冷たくなることはないんですがね?個体によって差があるとは言われていますが。冷たくなった火石は魔力をこめると、また暖かくなります」
「魔力をこめれば」
アルは期待を込めた目で、ジルを見る。
ジルは目をそらす。
「金貨一枚でやってやってもいいですよ」
金貨一枚は十万円ほどの価値だったはず。
た、高い。
がっくりアルは俯く。
けれどもやってもらえなければ命にかかわる。もちろん薪ストーブも考えるが。アルは勝負をした。
「もう少し安くなりませんか?分割払いでもお願いします」
アルは深くジルに頭を下げる。いや、ついでに土下座もしてみる。
「…………××をしたらいいですよ」
「へ」
「それを私にしたら、少しは安くしてやってもいいですよ」
そういってジルは意地悪く笑みを浮かべる。
「まさかの下ネタ!?」
アルは美しい清廉潔白だと思っていたジルの言葉に、ショックを受ける。下ネタとは違うような気がするが。
けれど、背に腹は代えられない。
下ネタ?とつぶやき首をかしげているジル。
えいやっと、アルはジルの襟首をつかんで、ジルの額に口づける。
「じょ、冗談に決まっているでしょ!!あなたへの嫌がらせで言ったんですよ!!」
顔を真っ赤にしたジルに、拳骨を頭におとされた。
セクハラだし、げせない気持ちでいっぱいになったアルだった。
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