記憶喪失で美醜反転の世界にやってきて救おうと奮闘する話。(多分)

松井すき焼き

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幕間 アルとスノーリーの子育て その3

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アルは寝室にいって、布団をかけて目を閉じる。
もうすぐソニアが帰ってくる。ごちそうでも作ろう。
そんなことを思いながら眠りにつこうとしていたのだが、なんだか人の気配を感じて目を開けた。
そこには赤ん坊を抱いて寝ているアルを見下ろす、スノーリーの姿があった。

「ひ!」
驚いてアルの心臓が飛び跳ねる。
「お、驚かせないでください!」
スノーリーの寝室はここではない。

「俺もここで寝る」
アルの背後にスノーリーは横になる。

近い。近すぎる。
スノーリーの息と体温を感じる。
アルはいらっと、するが、無視して目を閉じる。

見ている、めちゃくちゃ見ている。背後からスノーリーの視線を感じる。
なにか知らないが、負けてたまるかという気持ちで、意地でアルは目を閉じた。
寝ようとしたときに、赤ん坊の泣き声が聞こえてくる。スノーリーがどうにかしなければならないと、アルは寝たふりを決める。

赤ん坊は泣く。
赤ん坊は泣く。

「だぁ、もう!スノーリーさん、赤ん坊が長時間泣く場合はおむつかミルクかなにか見てくださいよ!」
辛抱たまらずアルは起き上がって、赤ん坊の方を見る。そんなアルの手首をつかんで、スノーリーは微笑んだ。
「な、頼む」

そんなスノーリーを、アルは半眼で見た。
「一つ聞きたいんですけど、今日スノーリーさんは、いなかったようですが、どこにいっていたんですか?」
「早く金を稼ごうと、賭博をしていた」
「おやすみなさい。スノーリーさん。赤ちゃんにはおむつ交換か、ミルクあげてください。ミルクは台所にあるので」
そのままもう一度アルは布団の中に戻る。が、そうはさせじと、スノーリーは掴んでいたアルの腕を引く。

「教えてくれ」
真摯な顔のスノーリーに、アルは言う。
「わかりました。一度だけです。後は自分でやってください」
スノーリーにミルクの飲ませかたや、ゲップの出し方などをアルは教えて、今度こそ眠りについたのだが。
「いや、何で人の背後に寝るんですか!離れて別の部屋で寝てくださいよ!!」
アルはぶちぎれた。

スノーリーは、アルの背後一センチ付近ですぴすぴ健やかに寝ていた。
嫌すぎる。

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