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第66話 祝賀会
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ソニアの快気祝いで、皆でごちそうを作ることになった。
本当はソニアの体に残っている毒のことが、気になっているアルだったが、皆がまた家に集えたお祝いだ。ハウナがいないのは寂しいが。
クワイエットさんとスノーリーの二人に留守番を任せて、アルとソニア二人で市場に買い出しに行くことになった。
アルはソニアの横顔をちらりと隠れ見る。
顔色は普通に見えるが。
アルは道の途中で、立ち止まった。
「ソニアさん」
「なんだ?」
「ジルさんに聞きました。ソニアさんが毒におかされているって。体調は大丈夫ですか?」
「そうか。体調は時々血を吐くくらいで、まだそんなに悪くない」
「いや、悪いじゃないですか」
「大丈夫だ」
ソニアの澄んだ瞳は何一つ動じていないように見えるが。
「病院には通うんですよね?お茶師のジュラさんにも、毒について聞いてきますから。ソニアさんは、どんな毒にあたってしまったんでしょうか?」
「西の森の聖獣の毛皮をとろうとして、呪われた」
「聖獣?」
「魔力が強くて人を襲わない獣のことを、聖なる獣だという」
「どんな形状の獣だったんでしょうか?」
「大きな赤い鳥だった」
「そう、ですか」
「心配するな、アル」
ソニアの手が、アルの頭の上に置かれて、すぐに離れた。
「もう、無茶しないでください。冒険の仕事、休むんですよね?」
「ああ」
「あの、やめて家の仕事をするのはどうでしょうか?」
「それはできない」
ソニアは首を横に振る。
「ど、どうしてですか?」
「これが俺の仕事だからだ。行こう、アル」
ソニアが歩き出す。
アルはその場でうつむいて、歩き出した。
色とりどりの魚。スパイスのいい香り。そんな心躍る光景が広がっているのに、アルの心は暗いままだ。
「ただいま」
買い物を終えて、アルとソニアは家に帰ってくる。
アルが玄関でこの世界の一般的なサンダルみたいな独特な靴を脱いでいると、「おかえり!」と目を輝かせる子供たちが走って出迎えてくれた。
出迎えてくれた兎獣人の子供のピーノの頬には、朝にはなかった青あざができている。転んだのかどうしたのか、あとから冷やしてあげようと思いながら、ピーノの頭をアルはなでた。
ライが抱き着いてきたので、ライの頭をなでる。
黒狐獣人の子供のレオン君の姿はいない。ここ最近レオン君はいつも一人で、積み木で遊んでいる。また一人で遊んでいるのだろう。
あとからレオン君の様子も見て、今度拘置所?にいるお父さんのジャーファルに会いに行こうと考えている。
「お帰り、兄ちゃん!」
横ではソルが目を輝かせて、ソニアに抱き着いているが、ソルはアルの視線に気づいて顔を赤くすると、すぐさまソニアから離れる。
ソルは照れたようで、仏頂面でアルの方をちらりと見て顔をそらすと、「おかえり、アル」
と言った。
相変わらずソルも可愛い。
アルはにっこり微笑むと、「ただいま」と言って、ソルの頭をなでようとするが、「やめろよ!」といって、手を叩かれてしまった。
少し悲しいが、ソルの成長を感じてアルは嬉しくなったのだ。
叩かれたアルの手を、ライは舐めてくれた。
獣人だからそこは人と違うのか、舐めるのを止めたほうがいいのかわからないアルなのだった。
部屋の中から赤ん坊の泣き声がする。スノーリーはうまくやっているのか不安になり、アルは「少し赤ちゃんの様子をみてきます」といって、赤ん坊の泣き声の方へと向かう。
そこには赤ん坊を抱いたスノーリーさんが、クワイエットさんにでれでれした顔をしている姿だった。
その姿を見たら、アルの目が死んだ。
一応無言でスノーリーの背後に立っていると、クワイエットが驚いた顔をしていた。まぁ、そうだろう。無言で立っているからな。
今夜絶対スノーリーとは別の部屋で寝ようと、アルは決意した。
食事の準備に台所にアルたちが向かうと、台所のテーブルにはジルの姿があった。
「何しているんです?遅いですよ」
我が物顔で何故かジルがお茶を飲んでいる。
まぁ、今日はソニアの快気祝いとして、ソニアの冒険仲間も呼んでいるからいるのは当たり前なのだけれど。
前々からジルはすっかり我が物顔でこの家でくつろいでいる。その姿はまるで猫のようだなと、内心アルは思う。
アルが食事作りを台所でしていると、ソルが後ろから抱き着いてくる。甘えたい気分なのかと、アルはソルの頭をなでなでなでる。
「どうかした?」
ソルは元気ない様子である。
「スペルの奴がもううちにはこないって」
スペルとはソルの人間の友達だ。ソルによくあいにきて、一緒に遊んでいた。
「どうしたんだろうね」
「うちに来ると、いじめられるって」
「そっか」
もう一度アルはソルの頭をなでた。
獣人への人の差別は根強いと聞く。そうなのかもしれないと、スペル少年を思い浮かべて、残念に思う。
「またいつかスペル君と遊べるといいね」
「うん」
台所にほかの人の気配を感じると、ソルはすぐさまアルから離れて、走って台所を出ていく。その後ろ姿を、アルは微笑んで見送る。
ソニアのことがアルの脳裏に浮かぶ。
ソニアの冒険の仕事を時々手伝うのもいいかもしれないなと思う。ソニアをむしばむ毒のことも、色んなことも絶対あきらめず、希望をもって無理せずにやっていこうと、野菜を切りながら考える。
今はみんなにまた出会えたことを祝いたいと、嬉しいことだけを頭に思い浮かべた。
アルやクワイエットなど皆が手伝って作った祝賀会のごちそうは、子供たちは「うわぁあああ」と歓声を上げて、目を輝かせて喜んでくれた。
大人たちも喜んでくれた。
あと、ソニアの仲間のレニンは相変わらず、セクハラでアルに対してうざかった。
レニンは料理を運んでは手伝ったからと、アルに、キスして!とせがんでくる。嫌なので、「無理です」とアルは始終断っておいた。
ソニアがそんなレニンを止めてくれていたが。
わいわいがやがやみんなで食事を楽しんでいると、にこにこアルは切り出す。
「新しい、いい物件が見つかるといいですね」
アルの隣にいたソニアが頷く。
「そうだな」
「いい物件なら、紹介したでしょう」
不機嫌な顔のジルが、肉をもりもりかじりながらこちらを向く。
「確か、事故物件ですよね?」
「広いし安いしいいじゃないですか?悪霊なら神父とか聖魔法に通じる人間なら、一発で成仏させることができますし。あ、これおかわりお願いします」
流石ファンタジーの世界だなと、アルは感心する。
「そうですか。それならその物件いいかもしれませんね。あ、台所におかわりあるので、好きによそってください」
「え!?まさか、うちって引っ越すの!?俺この家がいいー!!」
ソルがアルたちの話に気づいて、悲鳴を上げる。
ソルたち子供たちに話していなかったなと、アルは反省する。
「もっと広い家になるかもしれませんし。新しい隠れ家を作りましょうね、ソル君」
ぶすくれるソル君なのだった。
「新しい家を探してリフォームするのなら、私も呼んでくれ。私は修理は得意なんだ」と、ソニアの仲間の絶世の美女のドワーフ族のカタルがそう言ってくれる。
おかわりを山盛りよそってきたジルは、明後日にその物件の管理者に話をつけておくと、いってくれたのだった。
正直事故物件は嫌なので、他の物件を見つけたいと思っているアルなのだった。
(注意)
カタル₌ドワーフの少女
レニン₌犬獣人の青年
名前間違っています。すいません。
本当はソニアの体に残っている毒のことが、気になっているアルだったが、皆がまた家に集えたお祝いだ。ハウナがいないのは寂しいが。
クワイエットさんとスノーリーの二人に留守番を任せて、アルとソニア二人で市場に買い出しに行くことになった。
アルはソニアの横顔をちらりと隠れ見る。
顔色は普通に見えるが。
アルは道の途中で、立ち止まった。
「ソニアさん」
「なんだ?」
「ジルさんに聞きました。ソニアさんが毒におかされているって。体調は大丈夫ですか?」
「そうか。体調は時々血を吐くくらいで、まだそんなに悪くない」
「いや、悪いじゃないですか」
「大丈夫だ」
ソニアの澄んだ瞳は何一つ動じていないように見えるが。
「病院には通うんですよね?お茶師のジュラさんにも、毒について聞いてきますから。ソニアさんは、どんな毒にあたってしまったんでしょうか?」
「西の森の聖獣の毛皮をとろうとして、呪われた」
「聖獣?」
「魔力が強くて人を襲わない獣のことを、聖なる獣だという」
「どんな形状の獣だったんでしょうか?」
「大きな赤い鳥だった」
「そう、ですか」
「心配するな、アル」
ソニアの手が、アルの頭の上に置かれて、すぐに離れた。
「もう、無茶しないでください。冒険の仕事、休むんですよね?」
「ああ」
「あの、やめて家の仕事をするのはどうでしょうか?」
「それはできない」
ソニアは首を横に振る。
「ど、どうしてですか?」
「これが俺の仕事だからだ。行こう、アル」
ソニアが歩き出す。
アルはその場でうつむいて、歩き出した。
色とりどりの魚。スパイスのいい香り。そんな心躍る光景が広がっているのに、アルの心は暗いままだ。
「ただいま」
買い物を終えて、アルとソニアは家に帰ってくる。
アルが玄関でこの世界の一般的なサンダルみたいな独特な靴を脱いでいると、「おかえり!」と目を輝かせる子供たちが走って出迎えてくれた。
出迎えてくれた兎獣人の子供のピーノの頬には、朝にはなかった青あざができている。転んだのかどうしたのか、あとから冷やしてあげようと思いながら、ピーノの頭をアルはなでた。
ライが抱き着いてきたので、ライの頭をなでる。
黒狐獣人の子供のレオン君の姿はいない。ここ最近レオン君はいつも一人で、積み木で遊んでいる。また一人で遊んでいるのだろう。
あとからレオン君の様子も見て、今度拘置所?にいるお父さんのジャーファルに会いに行こうと考えている。
「お帰り、兄ちゃん!」
横ではソルが目を輝かせて、ソニアに抱き着いているが、ソルはアルの視線に気づいて顔を赤くすると、すぐさまソニアから離れる。
ソルは照れたようで、仏頂面でアルの方をちらりと見て顔をそらすと、「おかえり、アル」
と言った。
相変わらずソルも可愛い。
アルはにっこり微笑むと、「ただいま」と言って、ソルの頭をなでようとするが、「やめろよ!」といって、手を叩かれてしまった。
少し悲しいが、ソルの成長を感じてアルは嬉しくなったのだ。
叩かれたアルの手を、ライは舐めてくれた。
獣人だからそこは人と違うのか、舐めるのを止めたほうがいいのかわからないアルなのだった。
部屋の中から赤ん坊の泣き声がする。スノーリーはうまくやっているのか不安になり、アルは「少し赤ちゃんの様子をみてきます」といって、赤ん坊の泣き声の方へと向かう。
そこには赤ん坊を抱いたスノーリーさんが、クワイエットさんにでれでれした顔をしている姿だった。
その姿を見たら、アルの目が死んだ。
一応無言でスノーリーの背後に立っていると、クワイエットが驚いた顔をしていた。まぁ、そうだろう。無言で立っているからな。
今夜絶対スノーリーとは別の部屋で寝ようと、アルは決意した。
食事の準備に台所にアルたちが向かうと、台所のテーブルにはジルの姿があった。
「何しているんです?遅いですよ」
我が物顔で何故かジルがお茶を飲んでいる。
まぁ、今日はソニアの快気祝いとして、ソニアの冒険仲間も呼んでいるからいるのは当たり前なのだけれど。
前々からジルはすっかり我が物顔でこの家でくつろいでいる。その姿はまるで猫のようだなと、内心アルは思う。
アルが食事作りを台所でしていると、ソルが後ろから抱き着いてくる。甘えたい気分なのかと、アルはソルの頭をなでなでなでる。
「どうかした?」
ソルは元気ない様子である。
「スペルの奴がもううちにはこないって」
スペルとはソルの人間の友達だ。ソルによくあいにきて、一緒に遊んでいた。
「どうしたんだろうね」
「うちに来ると、いじめられるって」
「そっか」
もう一度アルはソルの頭をなでた。
獣人への人の差別は根強いと聞く。そうなのかもしれないと、スペル少年を思い浮かべて、残念に思う。
「またいつかスペル君と遊べるといいね」
「うん」
台所にほかの人の気配を感じると、ソルはすぐさまアルから離れて、走って台所を出ていく。その後ろ姿を、アルは微笑んで見送る。
ソニアのことがアルの脳裏に浮かぶ。
ソニアの冒険の仕事を時々手伝うのもいいかもしれないなと思う。ソニアをむしばむ毒のことも、色んなことも絶対あきらめず、希望をもって無理せずにやっていこうと、野菜を切りながら考える。
今はみんなにまた出会えたことを祝いたいと、嬉しいことだけを頭に思い浮かべた。
アルやクワイエットなど皆が手伝って作った祝賀会のごちそうは、子供たちは「うわぁあああ」と歓声を上げて、目を輝かせて喜んでくれた。
大人たちも喜んでくれた。
あと、ソニアの仲間のレニンは相変わらず、セクハラでアルに対してうざかった。
レニンは料理を運んでは手伝ったからと、アルに、キスして!とせがんでくる。嫌なので、「無理です」とアルは始終断っておいた。
ソニアがそんなレニンを止めてくれていたが。
わいわいがやがやみんなで食事を楽しんでいると、にこにこアルは切り出す。
「新しい、いい物件が見つかるといいですね」
アルの隣にいたソニアが頷く。
「そうだな」
「いい物件なら、紹介したでしょう」
不機嫌な顔のジルが、肉をもりもりかじりながらこちらを向く。
「確か、事故物件ですよね?」
「広いし安いしいいじゃないですか?悪霊なら神父とか聖魔法に通じる人間なら、一発で成仏させることができますし。あ、これおかわりお願いします」
流石ファンタジーの世界だなと、アルは感心する。
「そうですか。それならその物件いいかもしれませんね。あ、台所におかわりあるので、好きによそってください」
「え!?まさか、うちって引っ越すの!?俺この家がいいー!!」
ソルがアルたちの話に気づいて、悲鳴を上げる。
ソルたち子供たちに話していなかったなと、アルは反省する。
「もっと広い家になるかもしれませんし。新しい隠れ家を作りましょうね、ソル君」
ぶすくれるソル君なのだった。
「新しい家を探してリフォームするのなら、私も呼んでくれ。私は修理は得意なんだ」と、ソニアの仲間の絶世の美女のドワーフ族のカタルがそう言ってくれる。
おかわりを山盛りよそってきたジルは、明後日にその物件の管理者に話をつけておくと、いってくれたのだった。
正直事故物件は嫌なので、他の物件を見つけたいと思っているアルなのだった。
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