記憶喪失で美醜反転の世界にやってきて救おうと奮闘する話。（多分）

幕間 姫の騎士の独り言 （短い

クロエットは一人豪華な輝白石の廊下で、ため息をつく。
ロゼット姫様に言いすぎたと思う。
ロゼットは生まれたくもないのに、勝手に生まれながらにして王族として義務付けられて、奉仕するのが当たり前のように、育てられた。
ロゼットは選べていないのだ。自分の運命さえ。
過酷な民になれと急に言われたら、それは戸惑うだろう。すべては重い増税をしているこのスラムを治める貴族の連中がいけないのだ。
クロエットはロゼットの不細工と言われている顔を思い浮かべ、もう一度クロエットはロゼットの笑顔が大好きだ。
それは今も変わらない。
最近のロゼットは、シルベリアとして事実を突き止めようとしなくなってしまった。それがクロエットは民への裏切りに思えて、あんなことを言ってしまった。
事実を突き止められないのは、軍やヴェルディやその父からの圧力もあるからだろう。
下手に正義を貫くと、あっさり暗殺されたりする。

ロゼットはクロエットが守る。ロゼットとともに本当は逃げたいが、あのロゼットの反応だと無理だろうなと思う。
「ロゼット様」
ぽつりとつぶやき、クロエットは剣を握りしめた。
そしてクロエットは、ロゼット姫への面会を待つ人間がいる部屋の戸を叩き、「失礼します」と声をかけて、中に向かった。

その待合室の部屋には、クロエットの予想外の人間がいた。