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第116話 牢屋の中改善作戦②?
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牢獄に火がつけられる少し前。
牢獄の暗闇の中、アルは揺れる自分の体を感じながら、顔を横に向ける。獣のような暗闇に浮かぶ光る眼が、アルのことを見ている。
荒々しい狼の息とよだれがアルの顔に垂れてくる。アルは顔をそらす。
飽きもせず、オオカミの獣人はアルの体を押し開き、体を揺らす。
嫌悪感。
アルは最初は抵抗するが、抵抗しても結果は同じで、暴力でひどい目にあうだけなので、抵抗はやめた。
魔法が使えたら、こんなに犯されることはなかったんだろうか?と、そう思うとアルは涙を流す。
「すまねぇな、泣くなよ。お前さんがあまりに綺麗なのがいけねぇんだ」
そう灰色狼の獣人のバルバロスが呟く。
バルバロスは片目が潰れている狼獣人で、しつこくアルの後を追い回す獣人の一人である。
「そのいいよう酷くないですか?レイプは犯罪ですよ。被害者に原因があるなんて」
むかむかして、アルは目の前の狼を睨む。
睨まれたバルバロスはといえば、「お、う」と体を震わせて、恥ずかしそうに顔をそらして、アルの首筋に牙をたてた。
「いった!!」
アルの首筋に、激痛である。
ソニアの顔も思い出されて、涙ぐむ。
しかし、なぜこんなに狼獣人が多いのだろう?アルは不思議に思う。スラムの街にはそんなに狼獣人を見かけたことはない。
ぼんやり考えていると、バルバロスはアルに舌を入れて口づけてきた。
これに、アルは切れた。
「やめてください」
アルはバルバロスの横っ面を殴り飛ばした。
「へぶ!!」と声をあげてバルバロスは吹っ飛んだ。
犯されるのは、何でかしれないか魔人のキリルがアルの下半身に化けている?せいなのか、自分の下半身ではないようで、痛みも感覚も何も恐ろしいほど感じないのでまだ我慢ができるが、口づけは男娼をやっていて慣れているとはいえ、本当に嫌である。
それになにより、アルは実は夢魔の神父直伝の、催眠術が使える。
実際にアルのことを犯していないが、催眠術によって、アルを犯していると勘違いさせることができる。ニ三十人いる牢の中で、大人数に催眠術をかけることができなかったことがあったのだが、現在は順調である。
「何しやがる!」
激高をするバルバロスに、アルは静かに告げる。
「もう毛づくろいしませんからね」
アルの指でマッサージしつつ、手ブラシで毛づくろいするのは非常に人気だった。
「ぐ!」
言われたバルバロスは鼻白んだ。
「くっそ!わかったよ。すまなかった」
そうバルバロスは素直である。
アルは牢屋にいるけが人などのために、いろいろ頑張っていた。
不衛生な牢屋の中を改善するために、見張りの騎士に色々人には言えないことをし(催眠術込みで)、なんとか水浴びができるような場所を確保したり、病気の人に医者にかかれるように、頼み込んだり、忙しく過ごしていた。
げらげら笑う男の声に、そちらに目を向けると、片腕を失い肺炎で死にかけていた狼獣人のシロウがそこにいた。
シロウは、アルが見張りの騎士に頼み込んで、医者を呼んでもらって、一命をとりとめた狼獣人である。
「すっかりアルに牙をむかれちまったな。オオカミがざまあねぇな」
にやにやシロウは笑いながら、腕を組んでこちらを見ている。
「生意気な人間だ。力で言うこと聞かせればいいだろう」
珍しい赤い毛並みの狼獣人のハイロが、アルの腕をつかんでひねり上げる。力任せでアルの腕をつかむから、たいそう痛くてアルは顔をしかめる。
アルはこのハイロという狼獣人が苦手だ。
すぐアルに暴力を振るう。弱いものをいじめるのが好きみたいだ。
「アルに、手を出すんじゃねぇ、殺すぞ」
シロウは、ハイロに向けて殺気立ち、ガルゥと低い低い唸り声をあげる。
「片腕の弱い狼に何ができるんだよ?クズが」
ハイロはせせら笑いながら、シロウに顔を寄せる。
一触即発の空気の中、牢屋の中に騎士の男二人が、入ってくる。
「お前たち何をしている?」
警戒し、眉を顰める騎士の男。
「ち!なんでもねぇよ」
不機嫌そうに、ハイロは牢屋の奥へと去っていく。
「アル。シルベリア様が、お前に会いたがっている」
騎士の男が、アルの目にやってきてそう言った。
「シルベリア様?」
「ロゼット様だ。一緒に来てもらおうか?」
アルは騎士男二人に連れられ、牢屋の中を出た。
牢獄の暗闇の中、アルは揺れる自分の体を感じながら、顔を横に向ける。獣のような暗闇に浮かぶ光る眼が、アルのことを見ている。
荒々しい狼の息とよだれがアルの顔に垂れてくる。アルは顔をそらす。
飽きもせず、オオカミの獣人はアルの体を押し開き、体を揺らす。
嫌悪感。
アルは最初は抵抗するが、抵抗しても結果は同じで、暴力でひどい目にあうだけなので、抵抗はやめた。
魔法が使えたら、こんなに犯されることはなかったんだろうか?と、そう思うとアルは涙を流す。
「すまねぇな、泣くなよ。お前さんがあまりに綺麗なのがいけねぇんだ」
そう灰色狼の獣人のバルバロスが呟く。
バルバロスは片目が潰れている狼獣人で、しつこくアルの後を追い回す獣人の一人である。
「そのいいよう酷くないですか?レイプは犯罪ですよ。被害者に原因があるなんて」
むかむかして、アルは目の前の狼を睨む。
睨まれたバルバロスはといえば、「お、う」と体を震わせて、恥ずかしそうに顔をそらして、アルの首筋に牙をたてた。
「いった!!」
アルの首筋に、激痛である。
ソニアの顔も思い出されて、涙ぐむ。
しかし、なぜこんなに狼獣人が多いのだろう?アルは不思議に思う。スラムの街にはそんなに狼獣人を見かけたことはない。
ぼんやり考えていると、バルバロスはアルに舌を入れて口づけてきた。
これに、アルは切れた。
「やめてください」
アルはバルバロスの横っ面を殴り飛ばした。
「へぶ!!」と声をあげてバルバロスは吹っ飛んだ。
犯されるのは、何でかしれないか魔人のキリルがアルの下半身に化けている?せいなのか、自分の下半身ではないようで、痛みも感覚も何も恐ろしいほど感じないのでまだ我慢ができるが、口づけは男娼をやっていて慣れているとはいえ、本当に嫌である。
それになにより、アルは実は夢魔の神父直伝の、催眠術が使える。
実際にアルのことを犯していないが、催眠術によって、アルを犯していると勘違いさせることができる。ニ三十人いる牢の中で、大人数に催眠術をかけることができなかったことがあったのだが、現在は順調である。
「何しやがる!」
激高をするバルバロスに、アルは静かに告げる。
「もう毛づくろいしませんからね」
アルの指でマッサージしつつ、手ブラシで毛づくろいするのは非常に人気だった。
「ぐ!」
言われたバルバロスは鼻白んだ。
「くっそ!わかったよ。すまなかった」
そうバルバロスは素直である。
アルは牢屋にいるけが人などのために、いろいろ頑張っていた。
不衛生な牢屋の中を改善するために、見張りの騎士に色々人には言えないことをし(催眠術込みで)、なんとか水浴びができるような場所を確保したり、病気の人に医者にかかれるように、頼み込んだり、忙しく過ごしていた。
げらげら笑う男の声に、そちらに目を向けると、片腕を失い肺炎で死にかけていた狼獣人のシロウがそこにいた。
シロウは、アルが見張りの騎士に頼み込んで、医者を呼んでもらって、一命をとりとめた狼獣人である。
「すっかりアルに牙をむかれちまったな。オオカミがざまあねぇな」
にやにやシロウは笑いながら、腕を組んでこちらを見ている。
「生意気な人間だ。力で言うこと聞かせればいいだろう」
珍しい赤い毛並みの狼獣人のハイロが、アルの腕をつかんでひねり上げる。力任せでアルの腕をつかむから、たいそう痛くてアルは顔をしかめる。
アルはこのハイロという狼獣人が苦手だ。
すぐアルに暴力を振るう。弱いものをいじめるのが好きみたいだ。
「アルに、手を出すんじゃねぇ、殺すぞ」
シロウは、ハイロに向けて殺気立ち、ガルゥと低い低い唸り声をあげる。
「片腕の弱い狼に何ができるんだよ?クズが」
ハイロはせせら笑いながら、シロウに顔を寄せる。
一触即発の空気の中、牢屋の中に騎士の男二人が、入ってくる。
「お前たち何をしている?」
警戒し、眉を顰める騎士の男。
「ち!なんでもねぇよ」
不機嫌そうに、ハイロは牢屋の奥へと去っていく。
「アル。シルベリア様が、お前に会いたがっている」
騎士の男が、アルの目にやってきてそう言った。
「シルベリア様?」
「ロゼット様だ。一緒に来てもらおうか?」
アルは騎士男二人に連れられ、牢屋の中を出た。
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