記憶喪失で美醜反転の世界にやってきて救おうと奮闘する話。（多分）

第135話 言い争い

アルたちはエルフ達の里に行く途中の道。
エルフ達は、汚れていたが容姿端麗の者達が多い。畑仕事をしていたエルフ達は仕事をとめて、アルたちの方を凝視している。

アルはびくりと、体を震わせる。
一様に時が止まったように凝視する様子に、アルは恐怖する。

こ、怖い。

エルフ達はアルを見ていた。正確にはアルの胸に吸い付いている赤ん坊の方を見ていた。

「アル様、お願いがあります」
アルの後ろを歩いていた、エルフのフィノムが切羽詰まった様子で、アルの前に来る。

「今このエルフの村では食料難です。エルフの赤ん坊のミルクが足りません。少しアル様のミルクを他のエルフの赤子にも分けていただけませんか？」

「え」

「勝手なことをするな、フィノム！」
ゼノムが激高して、フィノムに詰め寄る。
「この者は、人間だぞ！男のくせに乳を出す妖魔だ。エルフの赤子たちに危害があるかもしれんのだぞ！この者は神に生贄にこそ、ふさわしい」

「ですが、ゼノム様、その赤ん坊はおいしそうに、アル様のお乳をのんでいるではありませんか！ゼノム様はエルフの子供たちの命と、いるかわからない神の方が大切なんですか？」

必死にフィノムは言い募る。

「なんと不敬な！神の意向を疑うのか？この痴れ者が！！」

エルフ達がにらみ合い、一触即発の雰囲気だ。
アルは慌てて、「や、やめてください！」と間に分け入る。

「ゼノムもおいしそうに、アルの乳を飲んでいたではないか？」
ツォレケルォの一言に、その場の皆が凍り付いた。
ジルだけが何を考えているかわからない無表情だった。

というわけで、アルはエルフ達の子供が集められて、アルのお乳をあげることになったのだった。
お乳を何人のエルフの子供にあげることによって、アルの乳首はもげそうなくらい痛くなったのだった。

栄養が足りない大人のエルフにも乳をあげることになり、乳首を舐めながら回復されるという、アルはセクハラじみた回復をされて泣きそうになった。




あけましておめでとうございます！いいお年を！