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第五章 学園編2
第62話 初恋
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ニコラスは謝罪を終え、少しだけ清々しい気持ちであった。
アベルとゴードンは教室の外で待っていた。
「お前達、すまなかった。俺は操られていたといえ、随分と迷惑をかけた。すまない」
「殿下、それは私達も同じです、怪しい魔法道具の存在に気付かずに、……殿下の友として失格でした」
アベルとゴードンにも落ち度があった。人が変わった皇子に対して何も言えずに、ただへりくだるのみだったのだ。
ニコラスに一番近い彼らが異変に気付けなかった。
本来なら彼らが今回の異変を解決する立場であったのだと深く反省していた。
「そうか、なら俺達は共犯者か、なら、今まで以上にもっと仲良くなれる。考えてみれば一月前、あの鍵のアイテムが俺を狂わせたのだ。
いつの間にやら、お前たちを鬱陶しい取り巻きと思ってしまっていたのだ。……気づくべきだった。まあ後の祭りか……その穴埋めをさせてくれ。今日はお前たちをご馳走しよう。午後の授業があるから学食ですまないが……」
「お気遣い無く、と言いたいところですが、一月ぶりにいつもの殿下です、ご相伴に預かりましょう。それに断っても聞かないでしょ?」
そう、彼らこそがニコラスにとっての生涯の友だ、皇子として生まれてから、幼いころよりずっと友達でいてくれた者達だと再認識した。
だからこそ、この一月の過ちは何よりも許せなかった。
友情を取り戻そうと、ニコラスは必死だった。
だが、アベルとゴードンにはその必要はない。よく戻ってきたと。いつもの聡明な殿下に戻ってくれた、それだけでよかった。
「ところで殿下、ルーシー・バンデルにはプロポーズをされると思っていました。ウィリアム殿下は全ての責任を取れとおっしゃってましたから……よろしかったんですか?」
アベルとゴードンはニコラスが兄から鉄拳制裁を受けた現場を目撃していた。
そしてルーシーの制服の弁償の為に服屋めぐりに付き合わされたので事情は良く知っていた。
「うむ。兄上の言うとおり。俺はルーシーに対して責任がある。……だが、彼女は平民。古い貴族の慣習に巻き込むのは酷だ……。
彼女には自由恋愛の権利がある。だが、俺のしでかした責任は重い。だからこそ、今後は俺の責任において彼女の味方になることに決めたのだ……」
ニコラスは空を見上げながら思う。
(それでも、皇子として俺は彼女にプロポーズするべきなのだろうか。俺は彼女の裸を見てしまったのだ、これは皇族として当たり前の貞操観念だ。
……でも、俺の心は地獄の女監獄長、貴女に囚われたままです。俺の命の恩人。彼女はどこからきてどこへ行ってしまったのか。
あの外見からして外法の魔法使いなのは間違いない。それに高位アンデッドの支配者、あのハヴォックの呪いを一瞬で浄化した能力。見た目は幼くとも俺よりも遥かに年上なのだろう。でも、俺はあの人にもう一度会いたい……。
いや、会えたとしても、未熟な、それこそ醜い豚のままの俺では男として見てくれないだろう)
「よし、アベル、ゴードン。俺は生まれ変わるぞ! 魔法使いとして立派になれるように。お飾りの第七皇子ではなく、ただのニコラスとして評価されるように努力しよう! 俺もレーヴァテインにならって魔法の深淵を探求せねば!」
アベルとゴードンは、幼いころに見た、夢と希望に溢れた熱いニコラス少年を再び目にしたのだった。
友情を再確認した彼ら3人は、午後の選択必修科目『闇の魔法に対する防衛術』を選択した。
二度と呪いの魔法道具に憑りつかれないために。
そしてニコラスには新たな目標ができた。
闇魔法を学べば、いずれその先にあの人がいるのだと確信して……。
「待っていてください。地獄の女監獄長。俺は貴女に相応しい存在になります」
アベルとゴードンは教室の外で待っていた。
「お前達、すまなかった。俺は操られていたといえ、随分と迷惑をかけた。すまない」
「殿下、それは私達も同じです、怪しい魔法道具の存在に気付かずに、……殿下の友として失格でした」
アベルとゴードンにも落ち度があった。人が変わった皇子に対して何も言えずに、ただへりくだるのみだったのだ。
ニコラスに一番近い彼らが異変に気付けなかった。
本来なら彼らが今回の異変を解決する立場であったのだと深く反省していた。
「そうか、なら俺達は共犯者か、なら、今まで以上にもっと仲良くなれる。考えてみれば一月前、あの鍵のアイテムが俺を狂わせたのだ。
いつの間にやら、お前たちを鬱陶しい取り巻きと思ってしまっていたのだ。……気づくべきだった。まあ後の祭りか……その穴埋めをさせてくれ。今日はお前たちをご馳走しよう。午後の授業があるから学食ですまないが……」
「お気遣い無く、と言いたいところですが、一月ぶりにいつもの殿下です、ご相伴に預かりましょう。それに断っても聞かないでしょ?」
そう、彼らこそがニコラスにとっての生涯の友だ、皇子として生まれてから、幼いころよりずっと友達でいてくれた者達だと再認識した。
だからこそ、この一月の過ちは何よりも許せなかった。
友情を取り戻そうと、ニコラスは必死だった。
だが、アベルとゴードンにはその必要はない。よく戻ってきたと。いつもの聡明な殿下に戻ってくれた、それだけでよかった。
「ところで殿下、ルーシー・バンデルにはプロポーズをされると思っていました。ウィリアム殿下は全ての責任を取れとおっしゃってましたから……よろしかったんですか?」
アベルとゴードンはニコラスが兄から鉄拳制裁を受けた現場を目撃していた。
そしてルーシーの制服の弁償の為に服屋めぐりに付き合わされたので事情は良く知っていた。
「うむ。兄上の言うとおり。俺はルーシーに対して責任がある。……だが、彼女は平民。古い貴族の慣習に巻き込むのは酷だ……。
彼女には自由恋愛の権利がある。だが、俺のしでかした責任は重い。だからこそ、今後は俺の責任において彼女の味方になることに決めたのだ……」
ニコラスは空を見上げながら思う。
(それでも、皇子として俺は彼女にプロポーズするべきなのだろうか。俺は彼女の裸を見てしまったのだ、これは皇族として当たり前の貞操観念だ。
……でも、俺の心は地獄の女監獄長、貴女に囚われたままです。俺の命の恩人。彼女はどこからきてどこへ行ってしまったのか。
あの外見からして外法の魔法使いなのは間違いない。それに高位アンデッドの支配者、あのハヴォックの呪いを一瞬で浄化した能力。見た目は幼くとも俺よりも遥かに年上なのだろう。でも、俺はあの人にもう一度会いたい……。
いや、会えたとしても、未熟な、それこそ醜い豚のままの俺では男として見てくれないだろう)
「よし、アベル、ゴードン。俺は生まれ変わるぞ! 魔法使いとして立派になれるように。お飾りの第七皇子ではなく、ただのニコラスとして評価されるように努力しよう! 俺もレーヴァテインにならって魔法の深淵を探求せねば!」
アベルとゴードンは、幼いころに見た、夢と希望に溢れた熱いニコラス少年を再び目にしたのだった。
友情を再確認した彼ら3人は、午後の選択必修科目『闇の魔法に対する防衛術』を選択した。
二度と呪いの魔法道具に憑りつかれないために。
そしてニコラスには新たな目標ができた。
闇魔法を学べば、いずれその先にあの人がいるのだと確信して……。
「待っていてください。地獄の女監獄長。俺は貴女に相応しい存在になります」
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