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第七章 学園編3
第110話 それでいいのか?
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「ぐぬぬ、理解は出来たんだけど、やっぱり上手く行かないか」
魔法が発動する気配はない。相変わらず氷の欠片がこぼれるだけであった。
やはり中級魔法の習得は一朝一夕にはできない。
イレーナやソフィアが実際に使っている所も何度か見せてもらっていたが、それでも上手く行かない
「うーん。まだ気づかない何かがあるのかも。とはいっても何度もお願いするのも気が引けるし」
そう、中級魔法は魔力の消費が大きい。一日に何度も撃っていては魔力枯渇を起こしてしまう。
かといって他に頼める人はそうそう居ない。
その時、ルーシーは閃いた。
「そうだ! もう一人いた。しかも割と身近に! いでよ! ハインド君」
そう言うがはやいか。ルーシーの目の前にはボフンと音を立てて、黒い煙からハイドが登場する。
『お呼びでしょうか、マスター』
もはや長ったらしい口上を言わなくてもルーシーも気にしていない様子だった。
周りのクラスメイト達も慣れたようで、不気味な謎の骸骨が現れても何も言わなくなっていた。
「うむ、ご苦労、今から、ハインド君には中級魔法を魔力が無くなるまで撃ってもらう」
ハインドは教室の様子を見て察する。
皆、中級魔法の勉強をしているようだった。
『なるほど、それは名案と言えるでしょうな。実物を見て学ぶのは良い事ですな。ではさっそく……』
「ちょっとまった! 教室ではダメ。訓練場に行きましょう。皆も見たいならついてきてー」
「あの、イレーナ先生よろしいんですか? ルーシーさん達、先生に許可もなく……」
ソフィアは数人の生徒達を連れて教室を出ていくルーシーを見てイレーナに言った。
「あー、いいんじゃない? まあ、せっかくだし皆も行きましょうか、実際私達も魔力的にはギリギリだったし、もっと見れるに越したことはないわ」
イレーナにソフィアも、生徒達に中級魔法を実演しており、魔力枯渇寸前であった。
訓練場には初級魔法用の的の他に、中級魔法の練習用に耐魔法レンガで出来た大きな壁の様な構造物がある。
耐魔法レンガは宮殿など要人の住む場所に使われる材料であり、高価な反面その耐久性は抜群である。
『ではマスター。早速いくつか撃ってみましょうか? リクエストはありますかな?』
「うん。とりあえずアイスジャベリンを何発か撃ってみてちょうだい」
『承りました。では行きますぞ! アイスジャベリン!』
ハインドはいとも簡単に中級魔法を連続で発動させた。
人の身長ほどの長さがある氷の槍は耐魔法レンガにぶつかると粉々に砕け、キラキラと輝き宙を舞う。
「うむむ。分かっていたことだが、自分の眷属がこうも簡単にぽんぽんと中級魔法を使われると、真剣に勉強している私って一体なんだろうって思う……」
ニコラスはふと疑問に思った。
「それなんだけど、なんでルーシーは使えないんだ? あいつが出来るならマスターである君にも使えても良いはずなのに」
「むー。殿下もそういう意地悪を言う。使えないのだからしょうがないじゃないか……」
口を尖らせながらニコラスの問いに答える、だがその目線の先はハインドの放つ魔法を真剣に見ている。
アイスジャベリンを数回繰り返すハインドだが。やがて魔力が切れたのか。ルーシー達に振り向く。
『ふう、こんなものですか。皆さま、お役に立ちましたかな? 私でよろしければいつでも呼んでください、ではまた明日』
ボフンと、黒い煙と共に姿を消すハインド。
ちなみにハインドとルーシーの魔力はそれぞれ独立しており、ルーシーはハインドを呼び出すときにそれなりの魔力を消費するが、その後はハインドの魔力で単独行動が可能である。
魔力の回復も、普通の魔法使いと同じで一日ほどで完治する。
「ふう、こんな使い方があったとは。最近いまいちハインド君の出番がないと思っていたけど、あいつも役に立つじゃないか」
「ああ、そうだな、だがハインドはあれで良いのか? ……お前等の主従関係はそれでいいのか?」
少し歪な主従関係に、皇子であるニコラスとしては言及せざるを得ない。
「さあ、いいんじゃない? 本人は既に諦めてるし、別に何か目的があるわけでもないし。それより皆は参考になったかな? 教室に帰って今見たことをまとめましょう」
こうして、ゆっくりだが、中級魔法の習得に向けて確実に日々をこなすルーシー達であった。
魔法が発動する気配はない。相変わらず氷の欠片がこぼれるだけであった。
やはり中級魔法の習得は一朝一夕にはできない。
イレーナやソフィアが実際に使っている所も何度か見せてもらっていたが、それでも上手く行かない
「うーん。まだ気づかない何かがあるのかも。とはいっても何度もお願いするのも気が引けるし」
そう、中級魔法は魔力の消費が大きい。一日に何度も撃っていては魔力枯渇を起こしてしまう。
かといって他に頼める人はそうそう居ない。
その時、ルーシーは閃いた。
「そうだ! もう一人いた。しかも割と身近に! いでよ! ハインド君」
そう言うがはやいか。ルーシーの目の前にはボフンと音を立てて、黒い煙からハイドが登場する。
『お呼びでしょうか、マスター』
もはや長ったらしい口上を言わなくてもルーシーも気にしていない様子だった。
周りのクラスメイト達も慣れたようで、不気味な謎の骸骨が現れても何も言わなくなっていた。
「うむ、ご苦労、今から、ハインド君には中級魔法を魔力が無くなるまで撃ってもらう」
ハインドは教室の様子を見て察する。
皆、中級魔法の勉強をしているようだった。
『なるほど、それは名案と言えるでしょうな。実物を見て学ぶのは良い事ですな。ではさっそく……』
「ちょっとまった! 教室ではダメ。訓練場に行きましょう。皆も見たいならついてきてー」
「あの、イレーナ先生よろしいんですか? ルーシーさん達、先生に許可もなく……」
ソフィアは数人の生徒達を連れて教室を出ていくルーシーを見てイレーナに言った。
「あー、いいんじゃない? まあ、せっかくだし皆も行きましょうか、実際私達も魔力的にはギリギリだったし、もっと見れるに越したことはないわ」
イレーナにソフィアも、生徒達に中級魔法を実演しており、魔力枯渇寸前であった。
訓練場には初級魔法用の的の他に、中級魔法の練習用に耐魔法レンガで出来た大きな壁の様な構造物がある。
耐魔法レンガは宮殿など要人の住む場所に使われる材料であり、高価な反面その耐久性は抜群である。
『ではマスター。早速いくつか撃ってみましょうか? リクエストはありますかな?』
「うん。とりあえずアイスジャベリンを何発か撃ってみてちょうだい」
『承りました。では行きますぞ! アイスジャベリン!』
ハインドはいとも簡単に中級魔法を連続で発動させた。
人の身長ほどの長さがある氷の槍は耐魔法レンガにぶつかると粉々に砕け、キラキラと輝き宙を舞う。
「うむむ。分かっていたことだが、自分の眷属がこうも簡単にぽんぽんと中級魔法を使われると、真剣に勉強している私って一体なんだろうって思う……」
ニコラスはふと疑問に思った。
「それなんだけど、なんでルーシーは使えないんだ? あいつが出来るならマスターである君にも使えても良いはずなのに」
「むー。殿下もそういう意地悪を言う。使えないのだからしょうがないじゃないか……」
口を尖らせながらニコラスの問いに答える、だがその目線の先はハインドの放つ魔法を真剣に見ている。
アイスジャベリンを数回繰り返すハインドだが。やがて魔力が切れたのか。ルーシー達に振り向く。
『ふう、こんなものですか。皆さま、お役に立ちましたかな? 私でよろしければいつでも呼んでください、ではまた明日』
ボフンと、黒い煙と共に姿を消すハインド。
ちなみにハインドとルーシーの魔力はそれぞれ独立しており、ルーシーはハインドを呼び出すときにそれなりの魔力を消費するが、その後はハインドの魔力で単独行動が可能である。
魔力の回復も、普通の魔法使いと同じで一日ほどで完治する。
「ふう、こんな使い方があったとは。最近いまいちハインド君の出番がないと思っていたけど、あいつも役に立つじゃないか」
「ああ、そうだな、だがハインドはあれで良いのか? ……お前等の主従関係はそれでいいのか?」
少し歪な主従関係に、皇子であるニコラスとしては言及せざるを得ない。
「さあ、いいんじゃない? 本人は既に諦めてるし、別に何か目的があるわけでもないし。それより皆は参考になったかな? 教室に帰って今見たことをまとめましょう」
こうして、ゆっくりだが、中級魔法の習得に向けて確実に日々をこなすルーシー達であった。
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