【完結】二度目の転生は一度目の転生で俺が作ったメイドロボットでしかも人妻だった件

神谷モロ

文字の大きさ
8 / 109
第一章

第8話 入学試験

しおりを挟む
 …………。

 なぜだろう、学校だ、懐かしすぎる感覚が俺を襲う。

 別にいじめられたとかそういう記憶はないのだが学校にはなにか独特の緊張感があった。

 中に入ると大学っぽい感じの教室で筆記試験はそこで行われるようだった。


 周りをみると、緊張しながらノートをぶつぶつ言いながら復唱しているガリ勉風の子や、堂々としているお嬢様風の、あれはツインドリルか。

 なるほど、彼女は入学後には見事、悪役令嬢ポジションを確立するのだろうか。他には複数人で談笑しているリア充っぽい男子など様々な子供たちがいた。


 さて、俺はどうなのかというと実に堂々としている、俺はお嬢様側のポジションを目指すとしよう。

 そうだな、ツインドリルの取り巻きポジションが理想だろう。きっと高貴な家柄で、情報に事欠かないだろうし。

 貴族の情報網を簡単に得るには友達になることが大事だ。それに今から悪役令嬢だと決めつけるのも彼女に失礼じゃないか。


 おっと、試験が始まる、筆記試験は今の俺にとってはなんの問題もない。なぜなら俺にはロボさんがいる。

 百点満点も余裕だが。どうだろう、ここで俺は学院主席になるつもりはない。

 なぜなら目立つ、おそらく主席になったら全校生徒の前で挨拶とか明らかにめんどくさいイベントがついてくる。

 俺は無難なポジションでいいのだ。かといって劣等生は嫌だ。あれも目立つ、劣等生の癖にチート能力とかカッコよすぎて目立ち過ぎる。

 よって、狙いはAクラスの真ん中辺りを目指すべきだろう。俺はあらかじめロボさんに100点満点中の95点をオーダーした。

 これなら主席は回避出来るだろう。これで主席になったら、まあそん時はそん時で、諦めるしかないか。

 どうやら同学年には名家のご子息がいるらしい。それに加えて公爵家の令嬢、さっきのツインドリルがそうらしいということを知った。というか周りの会話でわかった。

 この身体の聴覚をなめてもらってはこまる。全ての噂話は筒抜けだ。だが、今後はオフにしようかと思う。だって陰口が露骨すぎておれの精神によくない。

 そんなこというのかよ、こわいぞ。もしこれが俺の話題だったら引きこもりたくなる。


 まあ、余談はその辺で、筆記試験は始まった。正直余裕だった。俺はロボさんの言うとおりに回答欄をうめる作業を繰り返した。


 さて、次は実技試験だ。あれ、実技試験って聞いてないぞ? 


 俺は聴覚を再び強化し、周りの話に聞き耳を立てる、どうやら、周りは当たり前のように実技試験をうけるようだ。

 自信満々といった感じだ、とくにツインドリルの声がでかい。

 というか、お前の声しか聞こえないぞ? なんだお前は、入学前から悪役令嬢ムーブが過ぎるぞ。

 いやいや、それどころではない。実技は当然、魔法を使うだろう。

 俺は勇者の魔法しか使えない、つまりチートのたぐいだ。

 この世界でいうところの無詠唱魔法というやつだ。頭で思った現象を具現化する能力で、無詠唱魔法が使えるイコール天才になってしまう。

「どどどどうしようロボさん」

(マスター、私は魔法が使えませんのでなんともできません)

 まずい、このまま実技試験など受けたら、もれなく天才、勇者の生まれ変わりだとかもてはやされてしまう。どうしよう。

 俺はおそらく青ざめていたのだろう。そんな俺にツインドリルが声をかけてきた、ちょうどさっき実技試験を受け終わって、その自慢のツインドリルを風になびかせながら。

「あなた大丈夫? お顔が真っ青よ?」

 今、俺に声をかけるな、まずい、というか俺の身体は顔色が変わるのか。そういえば感情表現はそれなりに再現できるように設計したっけ。

 感情表現は一つ間違えると化け物顔になるから苦労した記憶がある。結局は表情豊かなのは諦めて、目や顔色を微妙にいじるのが最適解だったっけ。

 いやいや、現実逃避はよくない今はツインドリルが目の前にいるのだ。返事をしないと。

「……あの……私……緊張してしまって……その……ありがとう……」

 なんだそれは、まるでコミュ障じゃないか。相手はツインドリルだぞ! いや、だからだろうか、こんなに堂々としたご令嬢オーラを前に萎縮してしまったのだ。

 貴族相手に一般人はこうなるのだ。なってしまったのだ。

 しかし、今はそれどころではない。

 俺は試験官に相談した。そうだ、やってしまうまえに相談だ、考えなしに行動するのは若者の特権だがそれは違う! 俺は結構いい歳だ。

 いい歳の癖に俺は泣きそうだった。声が震えていたのだ。認めざるを得ない。俺はコミュ障だった。だがここで頑張らないと。

「あの……私……詠唱魔法が使えません……その、魔力を……飛ばすくらいなら……できます」

 詠唱魔法、先ほどのツインドリルは見事な物だった。実にカッコいい詠唱を披露していた。火の精霊の契約により……うんぬんかんぬん、だっけか。

 なんだろう、昔の俺なら絶対覚えた中二ワードのはずなのだが、無詠唱魔法が使える現状ではまったく意味がない、無駄な言葉は頭に入らないのだ。


 おっと、また現実逃避してしまった。今は目の前の状況に集中すべきだ。

 俺の必死な訴えに試験官は笑顔で答えた。

「おや、たしかあなたはアール嬢、問題ありません。詠唱魔法が使えない新入生はたくさんいらっしゃいます。ここは詠唱魔法が使える貴族のご子息が受ける、まあ、言ってしまえば特別待遇の為の試験です」

 なるほど、露骨に親のコネで特別待遇を得るよりは実力主義的な階級ができたほうがまだ健全だという学院側の判断なのだろう。

 やや苦笑いを浮かべて試験官が言っていたのでそれも決していい風習とはいえないということだろうか。

 というか聞いてないぞ、そうか、一般人はここに来なくてよかったのだ。なんだと少しほっとしていると。

 この試験官はさらに俺に聞いてきた。今度は興味津々と言った感じで。

「アール嬢、詠唱魔法は使えないが、魔力を飛ばすことができるというのは興味がありますね。ぜひこの場で披露されてはどうでしょうか」

 しまった。この流れは天才現るだ。ちょっと申し訳程度に力を抑えた無詠唱魔法でごまかせないかと口から出たでまかせだった。

 どうしよう、汗が、あれ、ロボットの身体に汗が。そうだったこの身体は汗をかくのだ。俺の現実逃避は続く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

処理中です...