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第二章
第68話 旧人類の遺産
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魔王城の地下にある研究所にて。
「さてと、デュラハンよ、この魔石の解析に君の頭を借りるとしよう」
「了解ですー、私にまっかせなさいですー」
文字通りに俺はデュラハンの首を外すと、研究室内にあるソケットとデュラハンの頭を接続した。
「魔力の外部接続を確認しました。省エネモード解除しました。マスターご命令を」
急にシャキッとしゃべりだしたデュラハンにシルビアさんは驚きを隠せない。
「え? デュラハンさんってそんな喋り方だったんだ」
「はい、シルビア、これが本来の私です、お見知りおきを」
「あ、はい、その、よろしくお願いします」
生首相手にお辞儀をするシルビアさんを横目に、旧人類の魔石をデュラハンの側まで運ぶ。
「さてと、まずはこれの魔力総量を測ろうか、デュラハンよ魔力スキャンを開始してくれ」
「はい、マスター、これよりスキャンモードに移行します。少しお待ちください」
スキャンが終わるまではこれの外観でも調べてみるか。
大きさは、そうだな、サッカーボールの三倍くらいはあるか。
球形の石というか表面は光沢がないが金属ともなんとも言えない不思議な物質だ。ミスリルともまた違う。
「マスター、スキャン完了しました、一部不明な領域がありますが、総量としてはマスターの太陽の魔石をフルチャージしても余るほどです。
あとは、どうやって取り出すか、魔法体系が異なりますので、変換装置が必要かと思われます」
「オーケー、デュラハンご苦労様、さて、ロボさんや、これで目途がついたな」
(はい、マスター、私の為にありがとうございました。マスターには感謝してもしきれません)
いや、それは俺も同じだ。二度目の人生をくれた君には感謝してもしきれん。
俺は旧人類の魔石に手を触れる。
その瞬間、急に魔石が光ったかと思えば、デュラハンの両目が点滅した。
そしてデュラハンがしゃべりだす。いや正確には旧人類の魔石がデュラハンを通してしゃべりだした。
『あなたからは勇者の魔力を感じます。あなたは当代の勇者様ですか?』
「む、そうだが、そういう君はだれだ? デュラハンを乗っ取ったのか?」
『挨拶が遅れました、勇者様。私は第三世代型機竜制御用コンピューターのシルビーと申します。デュラハンとはこの機体のことですね。ご安心ください一時的に口をお借りしているだけです』
「機竜? もしかしてユーギが言ってたメカドラゴンのことか?」
『はい、そう呼ばれております。ところで随分と時間が経過したようです。よろしければ現状を教えていただけますでしょうか?』
俺はユーギから聞きかじった知識ではあったが、ドラゴンを殲滅した後、旧人類が戦争で滅んだことなどをシルビーと名乗るこの魔石に話した。
『――なるほど、理解しました』
随分とあっさりした返事だ。機械だからだろうか、それでもこの人工知能は仕えるべき旧人類の絶滅になにを思うのか。
『お気になさらずに、私は勇者様にだけお仕えする存在ですので。それに彼らはいずれそうなっていたでしょう。私のお仕えした勇者様は何度も私に吐露したものですから』
そういうものなのか、しかし新人類である俺たちに敵意はないようなのでその辺は安心した。
『当代の勇者様、よろしければこれからは貴方が私のマスターになっていただけると嬉しく思いますが、いかがでしょう』
「うむ、そうだな、特に問題もないし、君がそれでいいなら断る理由はない」
『ありがとうございます、マスター。では、さっそくご命令をいただけますでしょうか』
「うむ、命令というか、そうだな、君ならおそらく理解していると思うが俺の身体には致命的な問題があってな、魔力が足りないんだ。少し分けてくれることはできるだろうか」
『なるほど、そういうことですか、ところでその身体には勇者さま以外にも誰かいますね、私と同じような存在でしょうか』
「ああ、メイドロボットのロボさんだ、訳があって俺は彼女の身体にお世話になっている。俺自身の身体ではないからな」
(初めまして、シルビー、私は三号介護用メイドロボットです。お見知りおきを)
『こちらこそ、勇者様の状況はだいたい理解しました。問題ありません、ですが魔力の供給は少しお時間をいただきます。当代の勇者様の魔力に波長を合わせる必要がありますので』
「それでいいよ、シルビー、では皆も紹介しよう。彼女はシルビア、その……俺の嫁だ、あとこの少年は魔王で、それとこっちのゴスロリがワンドさん」
「こっちのゴスロリって、ひどくない? ねえ、シルビア……ってあんたも照れてないで反応なさい」
「あ、師匠、すいません、アール本人から言われるのって照れちゃって」
師匠? いつのまに師弟関係を結んだのか、まあいいか、魔法に関して俺が教えれることはないしある意味適任かもしれない。
「魔王にシルビア……了解しました。皆様よろしくお願いします」
そういうとシルビーはデュラハンとの接続を切ると同時に光が消える。
「ぶーぶー、乗っ取られちゃいましたー」
いつの間にやら省エネモードになるデュラハン。今となってはこっちのキャラのが落ち着くな。
「デュラハンよ、今後も君はシルビーの口になってもらおう。とりあえず魔力接続が出来るようになるまで俺はここに引きこもることになるけどシルビアさんはどうする?」
「そうね、何かお手伝いできればいいと思ってたけど、私では役に立ちそうにないし……」
「こほん、我が弟子よ。暇なんだったら、この私があなたに特別授業をしてあげようじゃないかしら」
「うん、それでいいんじゃないかな、少年もそれでいいかな、しばらく厄介になるよ。まあ長期休暇が終わるまでだけど」
「ええ、もちろんですよ。僕も仕事の合間ですけど見に来てもいいですか? あとリッチさんも紹介したいですし」
「うむ、いろいろ世話になるけどよろしくな」
「さてと、デュラハンよ、この魔石の解析に君の頭を借りるとしよう」
「了解ですー、私にまっかせなさいですー」
文字通りに俺はデュラハンの首を外すと、研究室内にあるソケットとデュラハンの頭を接続した。
「魔力の外部接続を確認しました。省エネモード解除しました。マスターご命令を」
急にシャキッとしゃべりだしたデュラハンにシルビアさんは驚きを隠せない。
「え? デュラハンさんってそんな喋り方だったんだ」
「はい、シルビア、これが本来の私です、お見知りおきを」
「あ、はい、その、よろしくお願いします」
生首相手にお辞儀をするシルビアさんを横目に、旧人類の魔石をデュラハンの側まで運ぶ。
「さてと、まずはこれの魔力総量を測ろうか、デュラハンよ魔力スキャンを開始してくれ」
「はい、マスター、これよりスキャンモードに移行します。少しお待ちください」
スキャンが終わるまではこれの外観でも調べてみるか。
大きさは、そうだな、サッカーボールの三倍くらいはあるか。
球形の石というか表面は光沢がないが金属ともなんとも言えない不思議な物質だ。ミスリルともまた違う。
「マスター、スキャン完了しました、一部不明な領域がありますが、総量としてはマスターの太陽の魔石をフルチャージしても余るほどです。
あとは、どうやって取り出すか、魔法体系が異なりますので、変換装置が必要かと思われます」
「オーケー、デュラハンご苦労様、さて、ロボさんや、これで目途がついたな」
(はい、マスター、私の為にありがとうございました。マスターには感謝してもしきれません)
いや、それは俺も同じだ。二度目の人生をくれた君には感謝してもしきれん。
俺は旧人類の魔石に手を触れる。
その瞬間、急に魔石が光ったかと思えば、デュラハンの両目が点滅した。
そしてデュラハンがしゃべりだす。いや正確には旧人類の魔石がデュラハンを通してしゃべりだした。
『あなたからは勇者の魔力を感じます。あなたは当代の勇者様ですか?』
「む、そうだが、そういう君はだれだ? デュラハンを乗っ取ったのか?」
『挨拶が遅れました、勇者様。私は第三世代型機竜制御用コンピューターのシルビーと申します。デュラハンとはこの機体のことですね。ご安心ください一時的に口をお借りしているだけです』
「機竜? もしかしてユーギが言ってたメカドラゴンのことか?」
『はい、そう呼ばれております。ところで随分と時間が経過したようです。よろしければ現状を教えていただけますでしょうか?』
俺はユーギから聞きかじった知識ではあったが、ドラゴンを殲滅した後、旧人類が戦争で滅んだことなどをシルビーと名乗るこの魔石に話した。
『――なるほど、理解しました』
随分とあっさりした返事だ。機械だからだろうか、それでもこの人工知能は仕えるべき旧人類の絶滅になにを思うのか。
『お気になさらずに、私は勇者様にだけお仕えする存在ですので。それに彼らはいずれそうなっていたでしょう。私のお仕えした勇者様は何度も私に吐露したものですから』
そういうものなのか、しかし新人類である俺たちに敵意はないようなのでその辺は安心した。
『当代の勇者様、よろしければこれからは貴方が私のマスターになっていただけると嬉しく思いますが、いかがでしょう』
「うむ、そうだな、特に問題もないし、君がそれでいいなら断る理由はない」
『ありがとうございます、マスター。では、さっそくご命令をいただけますでしょうか』
「うむ、命令というか、そうだな、君ならおそらく理解していると思うが俺の身体には致命的な問題があってな、魔力が足りないんだ。少し分けてくれることはできるだろうか」
『なるほど、そういうことですか、ところでその身体には勇者さま以外にも誰かいますね、私と同じような存在でしょうか』
「ああ、メイドロボットのロボさんだ、訳があって俺は彼女の身体にお世話になっている。俺自身の身体ではないからな」
(初めまして、シルビー、私は三号介護用メイドロボットです。お見知りおきを)
『こちらこそ、勇者様の状況はだいたい理解しました。問題ありません、ですが魔力の供給は少しお時間をいただきます。当代の勇者様の魔力に波長を合わせる必要がありますので』
「それでいいよ、シルビー、では皆も紹介しよう。彼女はシルビア、その……俺の嫁だ、あとこの少年は魔王で、それとこっちのゴスロリがワンドさん」
「こっちのゴスロリって、ひどくない? ねえ、シルビア……ってあんたも照れてないで反応なさい」
「あ、師匠、すいません、アール本人から言われるのって照れちゃって」
師匠? いつのまに師弟関係を結んだのか、まあいいか、魔法に関して俺が教えれることはないしある意味適任かもしれない。
「魔王にシルビア……了解しました。皆様よろしくお願いします」
そういうとシルビーはデュラハンとの接続を切ると同時に光が消える。
「ぶーぶー、乗っ取られちゃいましたー」
いつの間にやら省エネモードになるデュラハン。今となってはこっちのキャラのが落ち着くな。
「デュラハンよ、今後も君はシルビーの口になってもらおう。とりあえず魔力接続が出来るようになるまで俺はここに引きこもることになるけどシルビアさんはどうする?」
「そうね、何かお手伝いできればいいと思ってたけど、私では役に立ちそうにないし……」
「こほん、我が弟子よ。暇なんだったら、この私があなたに特別授業をしてあげようじゃないかしら」
「うん、それでいいんじゃないかな、少年もそれでいいかな、しばらく厄介になるよ。まあ長期休暇が終わるまでだけど」
「ええ、もちろんですよ。僕も仕事の合間ですけど見に来てもいいですか? あとリッチさんも紹介したいですし」
「うむ、いろいろ世話になるけどよろしくな」
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